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掲載日:2022年12月20日
Q 新井一徳議員(自民)
政策とは何のためにあるのか。私は、最近、そんな素朴な疑問について深く思いをめぐらせることが多くあります。政治家がなすべきことの一つには、政策の本質を突き詰めることにあると考えるからです。私なりに考えてみました。政策とは分かりやすく言えば、行政が理想とする社会を構築するために、現在抱えている問題の解決を図り、住民のより良い生活を創造するために示す方向や対応策と言えるのではないでしょうか。この定義に基づけば、政策を作るとはこれから社会が目指すべき方向性、つまり社会的なビジョンを定め、その実現のために克服すべき課題を探り出し、その解決のための対応策を示すということであろうかと思います。
しかし、本県が策定する政策には近年、その策定プロセスに欠陥があったのではないかと疑問を感じざるを得ないものが少なからずあります。例えば、上田知事が三大プロジェクトに位置付ける埼玉エコタウンプロジェクトです。このプロジェクトは、2011年の東日本大震災を踏まえ、エネルギー問題への不安に対し、本県から一つの答えを出そうと始まったと記憶しております。その目標は、再生可能エネルギーの創エネと徹底した省エネでエネルギーの地産地消を具体的に進めるモデルを構築し、全国に発信するとのことでありました。しかし、県内自治体で先進事例として進めたモデル事業は、その後広がりを見せたとは言えず、掲げた目標の到達にはほど遠いと言わざるを得ないのではないでしょうか。
本年度を最終年度とする5か年計画でも、施策の進捗が芳しくない項目が散見されます。例えば就業支援と雇用の拡大を図るために指標として掲げた就業率などは、策定時より悪化している状況であります。なぜこのような事態が起こるのか。私は、政策形成の過程に大きな問題があるのではないかと考えるようになりました。
私は、常日頃より行政が政策を作る過程において、2つの視点が欠かせないと考えます。1つは、政策形成する上で、企画立案の段階から学者などその分野を研究する専門家を交えた議論を繰り返し行うことであり、もう1つは、社会科学的なエビデンス、つまり数値化されたような客観的なデータを大前提とすることであると考えます。しかし、県の政策形成過程には、こうした視点が決定的に欠けていると思わざるを得ません。加えて言うならば、政策が展開された後も絶えず想定した効果が現れているのか厳しくチェックすべきですが、その点でも不十分さを感じざるを得ません。つまりは、PDCAサイクルが機能していないと感じます。
本県においては、一部の職種で専門職が存在するものの、ほとんどは専門分野を持たないゼネラリストの集団であります。ゼネラリストが考える政策にはおのずと限界があると考えます。だからこそ、専門的な知見や後々の検証に耐え得るような社会科学的なエビデンスが必要なのではないでしょうか。
本県も財政状況が厳しい状況であり、少ない投資で最大の効果を生む政策を策定する必要があります。今こそ政策の策定の在り方を抜本的に見直す時期に来ていると考えますが、企画財政部長のお考えをお伺いいたします。
A 中原健一 企画財政部長
埼玉県庁において、業務を進める上での職員の心構えとして、虫の目、鳥の目、魚の目の3つの目を大事にしております。
まず虫の目は、その分野の専門的な知見でしっかりと問題に対処していくことと理解しております。
議員御指摘のように、職員の多くはジェネラリストでございますので、担当分野について自らの専門的知識を高めるだけでなく、必要に応じてその分野の専門家にも意見を聞いて検討することが必要です。
例えば、地方創生や地域公共交通、ウーマノミクスプロジェクトや先端産業創造プロジェクトなどの分野では、有識者に御意見をいただき、政策の立案や実施に活かしているところでございます。
次に、鳥の目は全体を広く見渡し問題の位置を確認していくことの重要性と考えております。
他県と数字を用いて比較し本県の特徴を確認することなどが考えられ、議員御指摘の客観的データを基に政策立案する考えとも相通ずるものと考えております。
例えば、本県は他県に比べて、女性の就業率のいわゆるM字カーブが深いという事実がございます。
この事実から女性の活躍を本県経済の活性化につなげる政策としてウーマノミクスプロジェクトが立案されたところでございます。
さらに、魚の目は、時代の流れの中で問題への対応策を考えていくことです。
過去のデータのトレンドを基に政策立案し、また、政策実施後にその展開を見つめていくことと考えております。
議員御指摘の効果を厳しくチェックする点にも通ずると考えております。
本県の5か年計画については、各施策の毎年の進捗状況を指標を活用しながら、確認しております。
全68指標のうち、本年9月末時点で目標達成の可能性が高い指標が25、概ね順調に改善されている指標が20となっており、一方、努力を要するなど状況の厳しい指標が23あります。
こうした進捗状況については公表するとともに今後の施策の進め方の改善などに活かしております。
例えば、御指摘の就業率については、平成28年に60.0%とする目標ですが、昨年の時点で58.4%と計画策定時の58.7%より低くなっております。
これは東日本大震災などによる景気の落ち込みや生産年齢人口の減少などの影響と考えております。
このため、今後ウーマノミクスプロジェクトを更に進めるとともに、新たにシニアの活躍推進を強化することとしたところです。
本県の政策につきましては、全国知事会の優秀政策の表彰制度におきまして、これまで20の政策が表彰され、受賞数は全国第2位となっております。
今年度は「糖尿病重症化予防」が優秀政策に選ばれております。
また、本県が貧困の連鎖を断ち切るために始めた生活保護世帯の子供への学習支援につきましては、国において平成27年度に法制化されましたところです。
御指摘の埼玉エコタウンプロジェクトについては、本県の住宅用太陽光発電設備の設置数は、平成28年度末に14万基にする目標に対しまして、昨年度末で11万7,800基まで増加しました。
愛知県に次ぐ全国第2位となっております。
国においても既存住宅の省エネ改修に対する補助制度が平成27年度補正予算で創設されたところです。
まだまだ不十分な面もあるかとは思いますが、真に「最小・最強の県庁」を目指して、虫の目、鳥の目、魚の目を心がけ、本県の発展に資する政策の立案及び実行に努めてまいります。
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