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掲載日:2022年8月18日
Q 永瀬秀樹議員(自民)
国土交通省によると、近居とは住居は異なるものの、親世帯と子世帯が日常的な往来ができる範囲に居住することとされています。明確な数値による定義はされていませんが、大体おおよそ半径2キロメートル以内、徒歩で30分、車で約10分以内ほどの距離感が一般的な目安とされ、そのライフスタイルがもたらす様々な影響が今注目を浴びています。
近居では、子は親の家事や介助、介護などを援助して、親は子の子育てを、育児を手伝うということで、女性の就労も支援する。そうしたお互いに助け合う関係性を築くということで、子育てをしやすい環境、コミュニティをつくることが大きなメリットだと言われています。近居は、平成18年に閣議決定された住生活基本計画の中で、初めて国の住宅政策の文言として採用されました。平成28年に策定された新たな住生活基本計画においても、三世代同居、近居の促進が掲げられ、地方自治体にはその具体的な施策展開に向けての創意工夫が求められております。
県では、平成23年からの埼玉県住生活基本計画において、高齢者の居住の安定を支える体制の確保の中で、民間と連携した融資制度などによる親族との同居、近居の促進策の検討が掲げられ、平成27年3月策定の県営住宅の在り方についてでは、高齢化対策の取組として高齢者世帯入居枠の確保として近居入居制度が設けられるなど、当初は高齢者の居住対策として取組が行われました。また、埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、子育て支援の充実策として三世代同居、近居の推進支援が掲げられています。
このように、近居については本県においても少子高齢社会における今後の都市政策、居住政策の有効な政策として着目し、その重要性を認めています。しかし、現在のところ県が実際に展開している施策は、県営住宅の入居枠の設定や住替えの相談、ホームページによる情報発信、移住・住みかえ支援機構などとの相互連携協定の締結など、住替えを促進する施策にとどまっております。近居については、県としても政策価値を認め、計画に掲げている以上、より直接的な取組を行うことが必要と考えます。
そこで質問ですが、1点目として、県は本県の近居・隣居等の状況をどのように捉えていますか。
2点目として、現在の取組により、どの程度近居・隣居等の促進を図ろうと考えていますか。
3点目として、近居・隣居等への支援に積極的に取り組む市町村への支援はどのように行っていますか。
次に、4点目として近居の政策化についてお伺いいたします。
近居の推進については、現在、都道府県や市町村において様々な意欲的な取組が始まっております。神奈川県では、神奈川県住生活基本計画の中で居住コミュニティを創出、再生に向けた住まい、まちづくりを住宅政策の基本方向と定め、その具体策として多世代近居のまちづくりの推進を重点施策として位置付けております。県内4つの地区を選定し、モデル事業を展開、その成果に基づき多世代近居のまちづくりを推進するためのノウハウや具体的な事例などをまとめたパンフレットを作成し、市町村に配布して普及啓発を図っています。さらに、まちづくりの担い手養成やコーディネーターの派遣など、広域的な支援を行うなどして多世代近居のまちづくりに積極的に取り組んでいます。
私は、近居については単なる住宅政策ではなく、地域再生を図っていくための多世代居住のまちづくり政策として、「近居」というライフスタイルに誘導する仕組みづくりにも取り組むべきだろうと考えています。基礎データの収集や住替えをした方のヒアリングを実施して、近居の現状をまず把握し、市町村や県が既存の施策の収集の整理を行い、それらを組み合わせた新しい取組を提案する。あるいは近居推進に必要なコーディネーターといった人材の育成、広域的、専門的支援の実施を行うなど、近居を望む人がおのずと選択できるような、近居を誘導する政策に取り組んではいかがでしょうか。
以上、4点について都市整備部長の考えをお聞かせください。
A 福島浩之 都市整備部長
まず、県は本県の近居・隣居などの状況をどのように捉えているかについてでございます。
「近居」とは昔から「スープの冷めない距離」と言われていますが、議員お話しのとおり明確な数値による定義はございません。
そこで、国の住宅に関する調査の項目にある「片道15分未満の場所に住んでいる」ことを「近居」と捉え、お答えを申し上げます。
平成25年の住宅・土地統計調査では、子を持つ本県の高齢者世帯が子世帯と同居あるいは近居している割合は35.5パーセントとなっております。
これは、全国平均を0.7ポイント、首都圏1都3県の平均を2.3ポイント上回っており、本県は同居や近居が比較的多いと受け止めております。
次に、現在の取組によりどの程度、近居・隣居などの促進を図ろうと考えているのかについてでございます。
平成25年の住生活総合調査によりますと、親世帯が子世帯と同居あるいは近居を希望する割合は42.9パーセントであります。
この割合と現状にギャップがあるため、近居や隣居がしやすくなる取組を進めることで、希望する割合に近づけることができると考えております。
次に、近居・隣居などへの支援に積極的に取り組む市町村への支援をどのように行っていくのかについてでございます。
県内では9つの市において定住促進を目的として、同一の市内に子世帯が親世帯と同居あるいは近居をする場合に、住宅の取得やリフォームに要する費用などを助成しています。
県ではこの取組を「埼玉県住まい安心支援ネットワーク」のホームページで県民に紹介するとともに、住宅の仲介やリフォームを行う事業者にも広く周知をしております。
また、県では公的機関である「移住・住みかえ支援機構」による「マイホーム借上げ制度」を活用するため、市町村への講習会を開催しました。
その結果、相談窓口が45の市町などに設置され、その数は全国1位になっております。
最後に、近居を誘導する政策に取り組んではいかがかについてでございます。
親世帯と子世帯の住まい方には、ライフステージやライフスタイルに応じた様々なニーズがございます。
このうち近居を望む世帯にとって、ニーズに応じた住宅が選択しやすい状況にあることが重要と有識者からも御意見をいただいております。
そこで、県では直接的な取組として、県営住宅の募集において、近居する場合の専用枠や若年世帯向けの専用枠を設けております。
また、安心して取得できる中古住宅の登録や多子世帯が中古住宅を取得する際の補助などの支援も行っております。
議員お話しのとおり、一定範囲の地域の中で近居が増えれば、地域の再生につながる可能性もあります。
このことから、少子高齢化、コミュニティの衰退、空き家などの地域の課題に応じ、福祉やまちづくりなどの施策とも連携し、総合的に取り組んでいく必要があります。
今後、地域のまちづくりの主体である市町村とともに、先進事例や近居の実態などを十分に把握し、御提案の趣旨を踏まえ、さらに近居がしやすくなる方策について、検討してまいります。
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