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掲載日:2022年8月18日
Q 内沼博史議員(自民)
コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会制度を導入している学校のことですが、これまでの学校評議員制度等の地域に開かれた学校づくりの取組を更に一歩進めるものとして、平成16年6月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により導入された制度です。このコミュニティ・スクールには、校長及び地域住民や保護者などから構成される学校運営協議会が設けられ、地域、保護者、学校が一体となって、より良い学校教育と特色ある学校づくりを推進し、地域に信頼される学校づくりを行うことが求められています。
この学校運営協議会の役割は、必須項目である校長の作成する学校運営の基本方針を承認すること、任意の、学校運営に関し教育委員会又は校長に意見を述べることができること、学校の教職員の任用に関し教育委員会に意見を出すことができることの3点が地方教育行政法で規定されています。
文部科学省では、コミュニティ・スクールを28年度までに全国の公立小学校の1割に当たる約3,000校に拡大することを目標に掲げており、平成28年4月1日現在で2,806校が指定されています。また、区域内全ての公立小中学校を指定している教育委員会は、昨年度と比べ35市町村増の114市区町村に上ります。コミュニティ・スクールによって、地域住民が積極的に学校に協力する環境が作られ、子供の課題解決に目覚ましい成果を上げているケースが多くなっています。
例えば小中一貫教育を実施している東京都三鷹市は、市立の小中学校全22校をコミュニティ・スクールに指定し、9年間の子供の成長を地域全体で支援する体制をしいていて、住民が子供の勉強をサポートする教育ボランティアなどの活動も活性化し、学力の向上が見られたほか、中学生の不登校の減少が顕著になったそうです。
また、福岡県春日市は、市内全小中学校を指定し、市内のある中学校において、生徒の補導件数が年間1,000件を超え大きな問題になり、コミュニティ・スクールで学校と保護者と住民が問題意識を共有し、地域パトロールを徹底的に行った結果、補導件数が20件前後まで減少したそうです。
文部科学省の委託調査では、コミュニティ・スクール指定校の校長先生に導入の効果を尋ねたところ、「学校と地域が情報を共有するようになった」、「地域が学校に協力的になった」などの回答が多く、学校と地域の連携が深まっている実態が裏付けされています。
埼玉県においては、平成28年4月現在で指定は9校という状況です。導入の課題になっているのは、予算の確保や担当人員の不足のほか、委員の発言で学校運営が左右されるなどの不安があると言われておりますが、文部科学省の委託により調査を行った日本大学、佐藤教授によれば、このような問題は現実的には余り聞こえてこないというお話でした。むしろ学校文化の改善という意味では、外からの風を入れ、地域の方々の声を聞けるというメリットのほうが大きいということです。
私の地元の飯能市においても、12月議会の一般質問で、議員からコミュニティ・スクールの導入についての質問があり、市教育部の答弁では、コミュニティ・スクールの意義を認め、今後検討をしていくということでした。
先ほどの事例にもありますが、全国的にもコミュニティ・スクールの効果も現れてきています。国が発表した教育再生実行会議の第六次提言では、全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組むことを目指し、検討を進めることが盛り込まれています。埼玉県の未来を開く子供たちのためにも、本県教育の方向性として、コミュニティ・スクールの積極的推進を図っていただき、市町村への働き掛けを行っていただきたいと思いますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
A 関根郁夫 教育長
コミュニティ・スクールは、学校と地域がパートナーとして相互に連携・協働し、社会総掛かりでの教育の実現を図るための有効な手段でございます。
本県は、今年度、「コミュニティ・スクール設置の推進」を教育行政重点施策の1つとして位置付け、市町村へ積極的に働きかけを行っております。
具体的には、市町村の教育長に対し、文部科学省の担当者から直接話をしていただくなど、機会あるごとにコミュニティ・スクールの趣旨や意義について説明をしてまいりました。
また、平成28年6月には、市町村担当者向けの研修会を開催し、先進的な取組をしている上越市の校長を指導者として招き、導入時のポイントや成果などの説明をしていただきました。
これらの取組により、コミュニティ・スクールの導入に向けて、積極的に検討を始めた市町村が増えてきております。
さらに、平成29年2月には、市町村の担当者のみならず、教職員、地域の学校関係者などを対象とし、講演や先進事例の発表、グループ協議などを行う予定でございます。
県といたしましては、こうした市町村への支援を引き続き行うとともに、直接訪問し説明するなど積極的な働きかけを行い、コミュニティ・スクールのより一層の推進に向けて取り組んでまいります。
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