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掲載日:2022年8月18日
Q 蒲生徳明議員(公明)
我が国では、大学生の約半数が奨学金を借りています。奨学金は、借りるだけでなく、卒業後には当然返さなければいけません。現在、受給者が最も多いのが日本学生支援機構の奨学金です。この制度は、貸付けの時点では奨学金ですが、返済の段階になると急にローン化します。返済者は、滞納3か月で信用情報機関に金融事故として登録され、9か月で裁判所から支払いの督促を受けます。同機構の調査によると、利用者が増えている中、卒業後就職しても低収入などの事情から返済の負担が重く、3か月以上返済が滞納している人は、2014年度で約17万人を超えています。返済したくてもできない実態があり、行政の支援が求められてきました。
政府・与党は、2017年度から、返す必要がない給付型奨学金について、所得の少ない非課税世帯で特に学費負担が重い人に限り先行して導入する方針を決定し、2018年度の本格実施に向け、財源も含め、現在詰めの作業が行われています。これは評価すべきですが、ただ実態は、返済が必要な貸与型奨学金を利用する学生がほとんどです。
公明党の国会議員は、給付型奨学金の創設とともに制度の拡充をリードしてきました。その結果、国は昨年度から、自治体が奨学金の返済支援のための基金を設けた場合、特別交付税措置をしています。現在、この利用も含め、地域の人材確保策として19の県が奨学金の返済支援事業を行っています。
秋田県は、県内外の出身者を問わず、県内企業に就職する若者を対象に助成制度をスタート。特に、航空機や自動車、医療、福祉など、県が指定する特定業種の企業に一定条件で就職した場合、3年間で最大60万円の助成が受けられ、対象者枠は年間約1,000人に上ります。また、県内にUターン就職した人を対象とする新潟県や、ものづくりの人材確保を目指し、県内製造業、建設業などに就職する学生や卒業生を対象とする栃木県、理系大学院生等で県内製造業の就職者を対象とした山口県などがあります。
そこで、お聞きします。本県でも、埼玉の未来を担う若者が県内で存分に働き活躍できる環境をつくるためにも、県内企業に就職する若者を対象にするなど一定の基準を設け、埼玉県独自の奨学金の返済支援を始めてはいかがでしょうか、知事の御所見を伺います。
A 上田清司 知事
生産年齢人口の減少により、各都道府県とも若者の人材確保は大きな課題であり、様々な工夫をした取組を行っております。
議員お話の奨学金の返済支援もその一つであると思います。
日本学生支援機構によれば、4年間月額8万円の有利子奨学金の貸与を受けて20年間で返還する場合、月額の返還額は1万6,270円とのことでございます。
また、平成27年度の奨学金の新規返還者の返還率は97.4%で、大部分の方々が返還されている状況です。
さらに、病気や失業などにより返還が困難になった場合には、返還期限の猶予や減額返還制度もございます。
正規の職に就いて経済的に自立すれば、多くの方は計画的に返還していけるのではないかと思います。
そこで、県の役割としましては、基本的には、就業支援を重視することが必要と認識いたします。
このため、県ではこれまでヤングキャリアセンター埼玉において正規雇用を目指す若者を支援してまいりました。
平成16年に設置して以来、1万7,960人が正規雇用で就職をしております。
また、都内大手企業に目が向きがちな大学生に県内企業を知ってもらい就職活動につなげるため、平成28年度から「大学生のための県内企業魅力発見事業」を始めました。
この事業では学生が県内企業約250社を訪問し、学生が感じた企業の魅力を企業情報とともに冊子にまとめ、他の学生にも伝えて就職活動に役立ててもらう予定でもございます。
さらに、就職した企業に定着してもらうため、平成28年度から県内中小企業の新入社員を一堂に集めた合同入社式や研修会も開催しております。
入社式には93社233人、県内6か所で開催した研修会には149社362人の新入社員が参加いたしました。
議員お話の他県の事例は、主にUターン学生などを呼び込むために実施されており、埼玉県の現状とは若干異なっているのでないかと思われます。
お話にありましたとおり、国において平成29年度から給付型の奨学金制度が開始される予定になっております。
制度の運用や定着具合なども注視しながら、議員の御提案については、今後の課題として、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。
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