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掲載日:2022年8月18日
Q 井上将勝議員(民進・無所属)
今や、不妊は日本において誰もが認める社会問題となっています。厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに行っている出生動向基本調査の2015年の調査によれば、20歳から49歳の夫婦で、不妊の心配をしている、したことがある割合は35パーセントに上り、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、又は現在受けている夫婦は、全体で18.2パーセントと、およそ5組に1組が不妊で何らかの治療を受けていると結果が出ており、この割合は年々増加傾向にあります。
しかしながら、これだけ不妊というものが社会問題化している中でも、不妊についての知識を若い世代が正確に把握する機会は余りありません。従来、不妊の要因には、年齢要因に加え、排卵、卵管、子宮内膜など女性側の要因がクローズアップされがちでしたが、近年では、無精子症や精子無力症など男性側にも要因があり、原因の半数に至ることなどが知られるようになってきました。
不妊は、別にまれなことではなく、誰でも直面する可能性があるという基本的な事実すら、男性は言わずもがな、女性にも当事者になって初めて知る方は多いのではないでしょうか。かく言う私も、女性には出産適齢期があることは分かっていても、それが具体的にどういう時期なのか深く考えたことはありませんでした。そうした知識を早い段階から持っていればと思っております。
現在、学校の性教育では避妊などを積極的に扱っていますが、不妊について、教育は十分とは言えません。不妊についても積極的に学校教育で取り入れるべきではないでしょうか。何も専門的な医学的知識を学校で教えよと言っているわけではありません。女性には、いわゆる出産適齢期があることや身体的要因で不妊になる可能性があること、男性にも身体的要因で不妊の原因となることがあるなど、極めて基本的なことを男女共に学校教育で教えることは、今後のライフプランを考えることや夫婦間の妊娠、出産面での協力を促す上で助けになると考えます。5組に1組が不妊治療をしているという今の日本の現状を考えれば、学校教育において不妊を扱う時期に来ていると考えますが、教育長の御所見をお伺いをいたします。
A 関根郁夫 教育長
現行の学習指導要領では、高等学校の「保健」の科目の中で「結婚生活と健康」という項目において、受精、妊娠、出産とそれに伴う健康課題や家族計画の意義について扱っております。
しかしながら「不妊」についての具体的な明記はございません。
そこで、県では、平成17年度から文部科学省の委託を受け、「性に関する指導実践推進委員会」を立ち上げ、学校における性に関する指導方法の研究に取り組んできたところでございます。
その中で、小学校では体の変化について、中学校では受精や妊娠について、また、高等学校では家族計画の意義などやそれに伴う健康問題について、それぞれ発達の段階に応じた指導方法を研究してまいりました。
その一環として、「不妊」の内容を取り入れた指導方法について、高等学校の保健体育科教員などを対象とした授業研究会において、実際の授業の発表を行ったところでございます。
そこでは、出産には適した時期があることや、望んでいても妊娠しないこともあること、また、「不妊」の原因は女性にも男性にもあり得ることなどを取り上げました。
この「不妊」を取り上げた実践例を指導資料「新・なるほど保健学習」に掲載し、各学校に配布いたしました。
また、県の保健医療部が作成した、不妊に関する正しい知識をまとめた冊子「願うときに『こうのとり』は来ますか?」の資料を県内の公立中学校・高等学校に配布しております。
今後は、こうした指導資料や保健医療部の冊子を活用して、各学校の授業の中で「不妊」の内容を取り扱っていけるよう、さらに工夫してまいります。
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