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掲載日:2022年8月18日
Q 蒲生徳明議員(公明)
知事は、年頭の埼玉新聞社のインタビューに答え、優れた技術を持つ県内の中小企業の例を挙げ、「いい技術を持っているが、それを商品化、製品化して販路までつなぎ切れていない事例がたくさんある。県が仲介することで中小企業の生産性を上げ、同時に技術を開花させる。それが埼玉県全体の稼ぐ力につながる」とおっしゃり、具体的な県の取組として先端産業創造プロジェクトを紹介しております。
また、知事は一貫して、「埼玉をチャンスを拡大できる県にしたい」とおっしゃっています。私は、知事のこの考えに更にマッチする提案をさせていただきます。それは、県内の中小企業が特許情報を存分に活用できる仕組みを作ることで独自の技術が生まれ、新事業の創出につながるというものです。これは、知事の言う稼ぐ力を生み出し、チャンスの拡大にもつながる一石二鳥の取組です。
私は、この提案の鍵となる特許情報について画期的な提案をされている一般社団法人発明推進協会研究所の扇谷高男所長を訪ね、意見交換を行いました。以下、提案の概要を説明します。
中小企業が新たな技術を開発しようとする際、自社だけだと力尽き、途中で挫折するケースが多々あります。そこで、自社に最も必要なパートナーを見つけ、連携し、他社と一緒に対等な研究技術開発を行い、新たな技術を生む。つまり、共に創造する競争の概念が大事で、その鍵を特許情報の活用が握っているというのです。特許情報には、バイオ、医療、IT、ソフトウエア、ナノテクなど、あらゆる技術分野の重要な最先端技術が記載されています。活用できれば、自社の新たな事業化に関わる既存の技術、最近の先端技術や研究開発の動向、誰がどんな特許を持っているのかなどがはっきり分かります。正に、特許情報は宝の山なのです。これを活用しない手はありません。
しかし、特許情報には理解しにくいという最大の欠点があります。一説によると、本当は秘密にしたい情報が公開されてしまうので、わざと分かりにくく書いてあるとの説もあります。そこで、「特許情報を分かりやすく使い勝手の良いものに加工して提供できれば、中小企業が活用しやすくなり、イノベーションを引き出す切り札になる」と、氏は言います。
具体的には、特許発明のポイントの解説と想定される適用例などを1枚のペーパーにまとめ、専門アドバイザーがその内容を分かりやすく解説できるようにします。ポイントの解説は専門的で、外部委託になると思いますが、説明する専門アドバイザーは、関連技術分野の企業技術者のOBであれば十分可能だと言っていました。
また、この分かりやすく加工した特許情報をデータベース化し、一つの情報を複数の中小企業が利用できるようにします。県が仲介して、中小企業と特許情報を持つ大学や公的研究機関とつないだり、また、長年の研究で特許を取得したものの事業化されず、泣く泣く眠っている特許技術を持つ大企業の研究者との出会いの場をつくることも考えられます。話を伺い、これが事業化できたら、正に稼ぐ力を生み、チャンスの拡大につながると思いました。
しかし、一点疑問がありました。それは、実際に特許情報を利用する場合の利用料です。確かに、利用するときは、双方の話し合いで料金を決める特許権そのものを使うわけではありません。自社に活用できる特許はどれかを見つけるために特許情報を調べるわけです。しかし、利用するのに多額の費用がかかるなら中小企業にとっては負担となり、積極的な展開ができないと思ったからです。
お聞きしたところ、「基本的には中小企業からは利用料を取る必要はなく、主な必要経費は、特許情報の加工費とアドバイザーの人件費です。これを県が負担すれば、中小企業は無料でこのサービスを受けられます」とのことで、安心しました。
ここで、成功例を1つ。青森県の中小企業が、事業化されていなかった大手電機メーカーの印刷画像にコードを埋め込む特許技術を活用し、南部煎餅に食べることのできる写真を印刷し、食べる前にその写真をスマートフォンなどで読み取ると、映像が再生される商品を開発しました。この企業は、企業や観光地をPRする商品として、今後販路の拡大に取り組むようです。こういった成功事例は、何より多くの中小企業に勇気を与えます。そして、チャレンジしてみようというファイトあふれる中小企業が出てくるに違いありません。
そこで、上田知事、今こそ新たなプロジェクトを立ち上げ、宝の山が眠る特許情報を存分に活用できる仕組みを作り、県内の99パーセントを占める中小企業に新たな夢を実現できるチャンスを与えてはいかがでしょうか、御所見をお伺いします。
A 上田清司 知事
県内中小企業が特許情報を活用し、新技術を開発・製品化に結び付くように支援していくことは、本県産業の振興にとって大変有効でございます。
県では、平成17年5月に「知的財産総合支援センター埼玉」を開設し、県内中小企業の新技術・新製品の開発を、特許や商標など知的財産の面から支援してまいりました。
同センターでは、7名の知的財産アドバイザーが、企業の求めに応じて特許情報を活用した新たな製品開発の相談などに対応をしております。
具体的には、国の特許情報データベースから相談者のニーズに即した特許を検索するとともに、相談者と特許の権利者をつなぎ、仲介をしております。
しかし、議員お話のとおり、特許情報には難しく理解しにくい点がございます。
センターのアドバイザーが丁寧に説明しているところですが、更に分かりやすい情報提供ができるように工夫をしなければなりません。
また、センターにおける特許情報の活用支援が、中小企業に十分知られていない面があったかもしれません。
「知的財産総合支援センター埼玉」をより多くの中小企業に知っていただけるよう、様々な機会を捉えてPRするとともに、商工団体とも連携を図りながら、周知に努めてまいります。
一方、中小企業が自社だけで新たな技術を開発し製品化に結び付けるまでには数多くの課題がございます。
このため、県産業技術総合センターでは、中小企業の新たな技術開発から製品化までの一貫した支援にも力を入れております。
この支援の中で、特許の権利者が第三者に利用してもらうことを前提に公開している、いわゆる「開放特許」を活用した事業化も図ってまいりました。
例えば、大手自動車メーカーのシートに使う合成皮革に関する特許を活用し、大幅に軽量化した高級ゴルフバックの製品化に結び付けた事例などもございます。
引き続き、蒲生議員御提案の趣旨を踏まえて「知的財産総合支援センター埼玉」を中核として特許情報を最大限活用しながら、「新製品を開発したい」という中小企業の夢・チャレンジを支援してまいります。
再Q 蒲生徳明議員(公明)
先ほどの知事の答弁をお聞きして、本県でも取り組んでいることは私も存じていたんですが、どちらかというと、やはり受動的な感じがするんですね。求めに応じて対応している部分が、職員の方からもお聞きしたんですけれども、これを更にやっぱり多くの中小企業、99パーセントと言われている中小企業の方が、確かに独自の技術を作るというのは、ある程度のレベルが必要かもしれませんが、更に多くの方が、やっぱりこういうふうな特許情報を活用できる環境というのを作ってあげて、独自な技術を作りやすい環境を更に広げていただきたい。要望されて、要求されてというよりも、積極的に、戦略的にそういうものをもっと使いやすい形を作ってあげて、攻めるような形で中小企業の方々にそういうふうな提案をしていくような、そういう戦略的な思考でこれに取り組んでいただきたいというのが質問の趣旨なものですから、再度知事の御答弁をお願いしたいと思います。
再A 上田清司 知事
埼玉県の知的財産総合支援センター埼玉の部分の重なる部分と、そうでない部分についての御指摘が基本的にあったのではないかというふうに思っております。
足りない部分この部分があると、このような御指摘も十分いただきました。
よく精査してですね、文字通り蒲生議員が御指摘されているような部分がしっかり受け止められるようなですね、仕組みなりプロジェクトなり考えさせていただきたいと思います。
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