トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小久保憲一議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 小久保憲一議員(自民)
私の地元比企丘陵には大小353ものため池が点在し、その密度は日本有数のものとなっています。同地は河川から離れていながら稲作が行われ、その米は谷津田(やつだ)米として高い評価を得ています。それを可能にしておりますのが、古墳時代から存在すると言われるため池です。山の谷間にため池を造ることで、たまった雨水、湧水を利用しているのです。6世紀から7世紀にかけてこのため池稲作農法が定着し、管理や補修、水利調整等を行うことで共同体意識が高まり、農村文化の基盤となってきました。土木技術の発展に伴い、大規模河川からの引水が可能になると、多くの地域でため池が姿を消す一方、河川より高台に位置する比企丘陵地域ではそのまま保存され、今なお農業用水として利用されています。また、国の天然記念物ミヤコタナゴや国蝶オオムラサキが生息し、豊かな生態系が見られます。
しかし、近年の担い手の高齢化や後継者不足によりその維持管理がままならず、ため池稲作農法の継承は危ぶまれています。また、ため池の老朽化等により近年の集中豪雨や地震への備えも急がれます。
こうした中、滑川町、東松山市、熊谷市、深谷市、嵐山町、小川町、吉見町、寄居町の3市5町や地元JAでは、今年7月6日、比企丘陵農業遺産推進協議会を設立し、ため池を水源とする伝統的米づくり、ため池稲作農法の日本そして世界の農業遺産認定を目指すことになりました。農業遺産認定による農産物のブランド化、観光地化等の恩恵は、地域はもとより本県の活性化につながります。地域の宝であるため池の維持管理に努めていくためには、3市5町の連携をはじめ本県の支援が不可欠です。
今後のため池整備における維持管理負担の在り方や農業遺産認定申請による支援について、御所見をお伺いをいたします。
A 篠崎 豊 農林部長
まず、今後のため池整備における維持管理負担の在り方についてでございます。
比企丘陵地域の谷あいに広がる田んぼ、いわゆる谷津田では、古くからため池を水源とする米づくりが行われており、ため池は農家の方々により大切に維持管理されてきました。
沼普請(ぬまぶしん)といわれるため池の簡易補修や沼さらい、草刈りなどの共同作業は、地域コミュニティーの形成にも重要な役割を果たしてきました。
しかしながら、近年、農家の高齢化や農村地域における混住化の進展などに伴い、従来から行われてきた ため池の維持管理に支障が生じ、ため池稲作農法にも影響が出ていると伺っております。
このような中、国では平成26年度に日本型直接支払制度の一つとして多面的機能支払交付金を制度化し、国・県・市町村による費用負担で、ため池や水路の草刈り・泥上げなどを支援しております。
滑川町をはじめとする3市5町では、平成28年度末時点で、多面的機能支払交付金を活用し、115組織が活動しており、このうち36の組織が165か所の ため池 の維持管理活動に取り組んでおります。
県といたしましては、市町村やため池管理者と調整を図りながら、ため池の維持管理に取り組む活動を支援してまいります。
また、ため池の決壊を防止する整備を行う場合には、地域防災対策の観点から、農家に負担を求めない国庫補助事業を活用するなど、地元負担の軽減に努めてまいります。
次に、農業遺産認定申請への支援についてでございます。
農業遺産には、国連食糧農業機関が認定する世界農業遺産と農林水産大臣が認定する日本農業遺産があります。
どちらも伝統的な農業と生物多様性や優れた景観などが一体となって保全・活用されている農業システムを認定するもので、日本と世界を一括で農林水産省に申請する仕組みとなっております。
本県では、三富地域を中心に行われている「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が、本年3月に第1回の日本農業遺産に認定されております。
議員お話の「比企丘陵農業遺産推進協議会」は、次回の認定を目指し、活動が始まったところで、県もアドバイザーとして参加しております。
農業遺産の認定により、この地域の「ため池稲作農法」が広く知られることとなり、ため池を地域で担い、守っていく機運もより深まっていくものと考えております。
今後、申請手続きを進めていく中で、県の持っている知見を生かし、支援を行ってまいります。
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