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掲載日:2023年9月20日
Q 菅原文仁議員(県民)
かつて子供は学校から帰ると、家庭や地域社会において家事や近所での自然体験、子供同士の触れ合いを通じて基本的な生活習慣、運動能力、他者に対する思いやりや善悪の判断、社会的なマナーなど、様々な生きる力を身に付けていました。しかし、共働き家庭の増加に伴う留守家庭児童の増加、都市化に伴う子供の遊び場の減少、子供同士が遊ぶ機会の減少、さらには子供たちを狙う犯罪が後を絶たないなど、子供を取り巻く環境は大きく変化をしております。
現代の子供には、「三間(サンマ)」がないと言われます。「三間」とは3つの間、時間、空間、仲間を指すようです。例えば子供が小学校で過ごす時間は1年間で約1,200時間ですが、学童保育に通っている子供は、長期休暇も合わせると1年間で約1,600時間もの長い時間を過ごすそうです。また、塾や習い事に通っている子供も多くなっている一方で、遊ぶ場所も遊ぶ友達も少なく、1人でゲームやスマホをいじっている子供も大幅に増えております。そして、様々な理由によって家にさえ居場所のない子供もいます。
これまで子供の放課後対策は、厚生労働省が管轄する共働き家庭の子供を対象とした学童保育と文部科学省が管轄とする全ての子供たちを対象とした放課後子ども教室があり、それぞれ県においても福祉部と教育委員会でその充実に努めてきたところです。また、国が策定した放課後子ども総合プランに沿って、福祉部と教育委員会が連携して対策を進めているとも伺っております。
そこで、知事にお伺いいたします。
まず1点目として、現在、学童保育の待機児童が増えている問題があります。県の平成28年度の放課後児童クラブの待機児童数は1,846人と高止まりしています。そのうち、小学校1年生の待機児童は205人と伺っており、埼玉県でも子供が小学生になると預け先に困り、仕事を続けにくくなる、いわゆる「小1の壁」問題が生まれているのではないかと思います。そこで、この「小1の壁」を打破することについて、今後県としてどのように取り組まれていくのでしょうか、御見解をお伺いします。
次に、2点目として、子供の居場所としての総合的な放課後対策については、各市町村の福祉部局と学校の連携が重要ですが、市町村を支援すべき県においても、知事部局、教育局の垣根を越えた体制を作る必要もあるのではないでしょうか。そして、そのためには子供がどのように放課後を過ごすことが望ましいのか、また、安全で快適な放課後の居場所をどう確保するのかといった目標やビジョンを総合教育会議のトップである知事が示していくことが重要だと考えます。そこで、知事が考える埼玉県の放課後対策、子供の居場所の未来像をどのように考えているのか、御見解をお伺いします。
A 上田清司 知事
小1の壁を打破することについてでございます。
近年、共働き世帯の増加や核家族に伴い放課後も子供を預けたいというニーズが高く、放課後児童クラブに対する需要が高まっております。
県ではこの需要に応える受入枠を確保するため、実施主体であります市町村に対し放課後児童クラブの整備費の補助を行っております。
平成28年度末では県内全体で63,465人の受入枠を確保いたしました。
その結果、小学1年生の待機児童数が平成28年5月の205人から平成29年5月には138人に減少をしております。
市町村を通じて様々な対策を講じておりますが、放課後児童クラブに対する需要が見込みを上回ってしまう、受入枠の確保がなかなかできない状況でもございます。
まさに放課後児童クラブの枠を増やすとそれでまた需要を増やすということで、計画的にはうまくいったと思っても実際は増えてしまうという、こういうことを残念ながら繰り返しているところが現状でございます。
また、放課後児童クラブは保育所と比べると開所時間が短いため小学校に入学すると場合によっては仕事を辞めざるを得ないというような問題を起こしています。
こうした課題に対応するため放課後児童クラブの開所時間の延長が重要であります。
県が作成したガイドラインでは開所時間を保護者の勤務実態に合わせて延長するよう努めることとしており、市町村に開所時間の延長を働き掛けております。
さらに、18時半を超えて開所する放課後児童クラブに対しては、職員の人件費を加算して補助も行っております。
県とすると市町村と協力して受入枠を確保しなければなりませんし開所時間を延長し小1の壁の問題の解消につなげていきたいとは考えております。
しかしながら、なかなか困難な部分がたくさんあるというふうに思っております。
次に、埼玉県の放課後対策、子供の居場所の未来像についてでございます。
人は、家庭、家族、学校、地域の3つで育てられていると私は認識しております。
この3つが、全てにバランスよく居場所があれば、よりよい子供の成長が見込まれるのではないかと思っております。
仮に、いいかげんな親で家庭に居場所がなくても、優れた教師がいる学校では、時として救われる可能性もありますし、残念ながら学校にも優れた教師がいなくても、向こう三軒隣、近隣社会が素晴らしい人たち、思いやりと非常にリーダーシップのある人たちに囲まれたミニ社会であれば、そこでまた、子供がよく育つ可能性もあります。
そういうことを全部整えることはなかなか難しいことで、結果として、放課後児童クラブ、放課後子供教室などが様々な形で実施をされております。
しかし、私からすると、肝心な要なものが忘れられているのではないかと思っております。
それは、学校を忘れているのではないか、学校には読書をする図書館があります。
学校にはしっかり遊んだり、スポーツをする運動場があり、雨の時でも体育館があります。
この活用が子供の居場所としてなぜ十分使われていないのか、このことが不思議であります。
もちろん、現在は管理上の責任問題がとかく問われています。
しかし、子供たちの最高の居場所ということを考えれば、色々な課題を解決するために、当然努力をすべきではないかと、私は考えております。
もちろんこれは、私から見ればそうでありますが、現場の先生たちや校長先生たち、あるいは教育委員会からすると暴論なのかもしれません。
しかし、改めて今日、問題提起を頂きましたので、元々子供の最高の居場所は、授業が終わった後の放課後、学校ではないか、このような思いを持っておりますので、しっかり、総合教育会議の場で問題提起をさせていただきたいと考えております。
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