トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(新井 豪議員)
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掲載日:2023年9月25日
Q 新井 豪議員(自民)
埼玉県立の高等学校の実習棟の耐震化が完了していないという記事が前回の6月定例会前に報道されました。昨年度の予算特別委員会において私が指摘し、6月定例会においては石井平夫議員も御指摘された問題であります。これらの指摘に対して、「実習棟の耐震化は最優先に取り組むべき課題と考えている。実習棟の老朽化を十分に認識しているので、頑張って耐震化を進めていきたい」という答弁がなされ、徐々ではありますが、実習棟の耐震化に向けて予算措置もされました。しかし、これらの指摘の中で大きな問題が表面化したのであります。
平成23年の東日本大震災以降、学校施設の耐震化には国庫補助制度を拡充するなど、国を挙げてその推進が図られてきました。その耐震化の状況を把握するべく、文部科学省により全国の自治体に対して学校施設の耐震改修状況調査が行われ、その結果についても毎年公表されるようになりました。都道府県立の高等学校施設の耐震化については、平成29年4月現在の状況で、47都道府県中、26の自治体が耐震化率100%となっており、ここに埼玉県も含まれております。しかし、この埼玉県の100%には偽りがあります。問題提起されたように、ここに実習棟が含まれていないのであります。
この文科省による状況調査の対象は、「児童生徒、教職員が日常的に使用する建物」という基準があり、補足説明として、「日常的に使用されていない建物とは、倉庫や機械室である」と明記されています。念のため、この調査を行っている文部科学省大臣官房文教施設企画室に問い合わせました。すると、「実習棟も日常的に使用する建物であり、当然調査対象に含まれる」との回答だったのであります。
さらに、全てではありませんが、半数近くの都道府県の教育局にも問い合わせしました。例えば、同じ関東地方で高等学校施設の耐震化が完了していない千葉県は、調査対象とした705棟には校舎と体育館のほかに、実習棟や格技場などを含めておりました。そのほか、100%と報告している県も「当然、実習棟も含めた数字です」との回答であり、少なくとも関東地方においては、埼玉県だけが文科省の基準を無視した虚偽の報告をしているのであります。
また、関東以外でも、問い合わせた県全てが、実習棟、食堂、格技場、部室棟などを含めた耐震化率を報告しておりました。ある東北の県の教育局では、「実習棟などを含まずに、校舎と体育館だけの数字を報告した自治体があるなんて信じられません」と憤慨していた職員もおりました。
こうした状況の中で、6月定例会で開催された文教委員会において、「新しい教育長になっても、この調査に対して、今後も校舎、体育館のみで文科省に報告するのか」という小久保副委員長の質疑に対して、「踏襲する」という答弁でありました。私が問題視するのは、細かい数字の誤差ではありません。100%という数字を出すために、国の基準を無視してまで都合の悪い部分を隠すという、その隠蔽体質が問題なのであります。まず、この虚偽報告という事実に対しての見解を教育長にお伺いいたします。
そして、日本全国にホームページでも結果が公表されるこの県立高校施設の耐震改修状況調査に対して、文教委員会での答弁のとおり、今後も埼玉県だけが基準を無視し、文部科学省に対して100%という偽りの数字を報告し続けていくのかを併せて教育長にお伺いいたします。御自身がどちらの組織から来たのかをよく考えてお答えいただきたいと存じます。
いじめが行われているにもかかわらず、それを認識していないことにして、その結果、傷害事件や生徒の自殺にまでつながるという事件が全国で後を絶たないのは、こうした教育界の隠蔽体質が原因となっているのです。埼玉県教育の姿勢を正してほしいという願いを込めて、質問させていただきます。
A 小松弥生 教育長
本県では学校施設の耐震化を、先ずは、生徒の滞在時間の長い普通教室棟、特別教室棟などの校舎と体育館から優先して行ってまいりまして、平成22年度までに耐震化が完了いたしましたので、これまで「校舎と体育館の耐震化率は100%」としてまいりました。
しかしながら、2月定例会の予算特別委員会で新井議員から、文部科学省が公表している調査に本県が実習棟を含めていないことに対してご指摘がございました。
また、6月定例会の文教委員会の場でも、「公立学校施設の耐震改修状況調査」の見直しについてご指摘がございました。
そこで調査対象について再度確認いたしましたところ、本県の解釈が文部科学省の考え方と異なっているということが判明いたしました。
よく確認せず間違った判断のもと国に報告していたことは誠に遺憾でございます。
次に「今後も基準を無視し、偽りの数字を回答し続けるのか」についてでございます。
文部科学省によりますと、調査結果の訂正は、既に公表しているものについては行わないとのことですので、次回の調査の際には実習棟なども耐震改修状況調査の対象とした数字を報告いたしたいと思います。
誠に申し訳ございませんでした。
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