トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小久保憲一議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 小久保憲一議員(自民)
本県は、医療過疎県という不名誉な事実を抱えています。人口10万人当たりの医師数、病床数とも全国最下位、産科・産婦人科医も毎年度増員いたしておりますが、10万人当たりでは依然として全国最下位です。また、分娩取扱い施設がない市町村は25に上り、5年後には1割、10年後には3割が中止となる見込みです。
こうした中、これまで新生児集中治療室(NICU)については目標値に届かない状況が長く続いておりましたが、今年1月、さいたま新都心に県立小児医療センターがオープンしたことなどにより、NICU数は現在149床となり、本県の必要数137床から164床に対しまして目標に達したことは評価できます。
また、本県では、平成23年度から搬送コーディネーター制度を設け、早産等で母体・新生児が危険にさらされながら地区担当地域周産期母子医療センターで受入れができない場合、受入先を調整、依頼し、搬送が決定されるようになりました。搬送先決定においては、昨年は平均58分を要しておりましたが、今年の1月から5月の実績では35.9分と大幅に短縮されました。県立小児医療センター、そして搬送コーディネーターの皆様の果たす役割の重要性を感じます。私も搬送コーディネーターの現場を視察させていただき、命を救おうとされているその姿に心を打たれました。
しかしながら、受入先である周産期母子医療センターの県内分布を見ると、県北では深谷赤十字病院のみで県南東部に偏在しており、秩父医療圏にはそもそも周産期母子医療センターが存在しないのは異常です。搬送先決定までの時間は短縮されても、真に重要なのは実際の搬送時間ではないでしょうか。
まず、搬送時間は地域によってどの程度差があるのか、お伺いをいたします。
また、周産期母子医療センターについて、空白となっている秩父医療圏に今後設置する予定はあるのか、ぜい弱な地域に増設するお考えはあるのかお尋ねします。
すぐに設置の見通しが立たなければ、隣接県と連携し、県内だけでなく県外にもスムーズに搬送できる体制を整えるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
現在、搬送コーディネーターの連携先は東京都のみと伺っております。しかし、緊急を要する母体に長時間の移動が与える影響を考えれば、東京都だけでなく他の隣接県とも積極的連携が極めて重要です。昨年、群馬県への搬送件数は33件とのことですが、居住地を考えれば潜在的必要件数は更に多いはずです。本来ならば関東圏、将来的には全国が一体となり、近隣都道府県の妊産婦を受け入れるシステムが望ましいと考えます。
そこで、まずは本県がその先頭に立ち、システムの構築をスタートすべきと考えます。この世に生まれる新生児の、そして母親の大切な命の問題であり、人口増加への根本的課題です。安心して産める社会の構築のため、積極的な御答弁を期待いたします。
A 本多麻夫 保健医療部長
まず、搬送時間の地域差についてでございます。
地域による搬送時間の差は大きな課題の一つであると認識しております。
平成28年度の妊婦や新生児の平均搬送時間が一番長かった地域は秩父保健医療圏の81.9分、一番短かった地域は南部保健医療圏で40.5分、県全体の平均は50.4分でございます。
このように地域差がございますが、しかしながら、特に重要なことは、患者の安全であり、地域に関わらず、重症な患者を見落とすことなく、症状や緊急度に応じた搬送を迅速かつ確実に行い、安全を確保することでございます。
出産後の大量出血や脳内出血などの重症の患者で、一刻も早い搬送が必要な場合には、もれなくドクターヘリの活用も含め、確実に迅速な搬送を行っております。
平成28年度中に妊婦や新生児の搬送にドクターヘリを活用した実績は、秩父市内からが3件、東松山市内からが1件の計4件でした。
また、その平均搬送時間は40.8分となっており、地域差が生じないよう確実に対応しております。
今後とも、地域による搬送時間の差が少しでも縮小できるよう努めてまいります。
次に、周産期母子医療センターの設置についてでございます。
出生数は減る一方、ハイリスク出産の割合が高い水準にある中、周産期母子医療センターを秩父地域をはじめとする空白地域に設置することが望ましいと考えております。
しかしながら、周産期母子医療センターを設置するには、人工呼吸器が必要な低出生体重児や先天性疾患のある新生児を専門医の下で24時間体制で管理・治療する必要があるため、医師をはじめ十分な専門医療スタッフを継続的に確保する必要がございます。
全国的にNICUの需要が高まる中、新生児科の医師数がなかなか増えない状況があり、二次保健医療圏ごとに周産期母子医療センターを設置することは、実際にはなかなか困難な面がございます。
このため、県では、圏域を越えて、救命措置が必要な妊産婦にリアルタイムに対応する母体救命コントロ―ルセンターや妊婦と新生児の搬送調整を行う搬送コーディネーターを設置し、全県的なセーフティーネットを確保したところでございます。
さらに、平成29年1月にさいたま赤十字病院と県立小児医療センターの連携により、さいたま新都心医療拠点に県内2か所目となる総合周産期母子医療センターを整備し、受入体制を強化したところです。
将来的には、医学生への奨学金や研修医への資金貸与を通じ必要な専門医師の確保を図り、1つでも多く空白地域に周産期母子医療センターを設置できるよう努めてまいります。
次に、隣接都県との連携についてでございます。
議員御指摘のとおり、隣接都県と協力し、県外にもスムーズに搬送できる体制を整えることは1つの課題であると認識しております。
平成28年中の妊娠6か月以上の妊婦の救急搬送では、約13%に当たる143人が近隣都県に搬送されております。
その主な搬送先は東京都が98件、群馬県が33件で、この2都県で県外搬送の約92%を占めております。
最も搬送件数の多い東京都とは、平成26年4月から、本県の搬送コーディネーターが県内で受入先を見つけられない場合、東京都のコーディネーターに依頼し、都内で受入先を探してもらう仕組みを整えております。
一方、群馬県については、医療機関同士が個別に連携しており、必要な場合には、ドクターヘリの相互利用も行っております。
なお、さいたま新都心医療拠点が開業した本年1月から8月末までの搬送コーディネーター事業による妊婦の県外への搬送件数は5件でありまして、昨年同時期の42件から大幅に減少をしております。
議員御提案の、隣接都県とのコーディネートシステムの構築につきましては、今後の県外搬送の推移なども踏まえながら、どのようなことが可能か研究してまいりたいと存じます。
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