トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(木下高志議員)
ここから本文です。
ページ番号:112628
掲載日:2023年9月25日
Q 木下高志議員(自民)
厳しい財政事情の下、人口減少が見込まれる中で、全国的に老朽化した社会インフラの改築や補修、撤去が課題になっております。調査によれば、平成26年度から始まった老朽化した橋やトンネルの点検では、全国340か所で補修や撤去などの緊急措置が必要とした4レベルと判定され、うち73か所は撤去又は撤去予定とのことでありました。撤去予定のところでは、地元住民と行政の間でかなりの意見対立がある状況とのことでありました。
一方で、下水道は管渠が地中に埋設され、終末処理場も市街地から離れて設置されていることが多く、県民の目に触れることはほとんどありませんが、同様に老朽化に伴う改築や補修などに大きな課題を抱えております。特に県の流域下水道に属さない14の単独公共下水道では、下水の収集から処理、汚泥の処分まで一貫して行っているので、一層深刻とのことでありました。
私の地元坂戸市でも隣町の鶴ヶ島市と坂戸鶴ヶ島下水道組合を設立し、公共下水道事業を実施しておりますが、汚泥焼却炉の稼働実績は国の補助対象となる設置後10年を大きく超えて、既に22年目を迎えております。汚泥処理は下水処理の一環であり、改築が難しい現状では焼却炉が不測の事態に陥った際のことを考えると、その対策に苦慮しております。
そうした中で、県は流域下水道と市町の公共下水道が連携を強化し、管理の効率化等を進めるため、昨年11月に埼玉県、市町村、埼玉県下水道公社による下水道事業推進協議会を設立したとのことであり、私はこの協議会の趣旨に大いに期待するものでありますが、期待が大きいがゆえに単なる情報共有や勉強のための協議会、ましてや協議のための協議になってしまっては市町村を落胆させるだけではないかと心配しております。また、厳しい行財政環境の下での職員削減や、ベテラン職員の大量退職などに伴い、技術職員の不足や技術の継承に悩んでいる市町は少なくありません。このような状況の下、流域下水道事業の設置、管理を担い、実際に下水道の現場を熟知している下水道局が積極的に市町に対する技術支援を行っていく必要があると考えます。
そこで、下水道事業推進協議会設立の趣旨と検討課題、具体的な成果や市町に対する技術支援について、下水道事業管理者の見解をお伺いいたします。
A 粟生田邦夫 下水道事業管理者
まず、「下水道事業推進協議会設立の趣旨と検討課題、具体的な成果」についてです。
この協議会は、木下議員ご指摘の厳しい事業環境の下で下水道事業を安定的、継続的に運営していくため、県と市町村、下水道公社が広域化や共同化による管理の効率化等を目的に全国に先駆けて設立したものです。
昨年11月の設立以来、全市町村に対するアンケート調査等に基づき、「経営管理」、「災害時対応への取組」、「下水汚泥の共同処理」の3つをテーマにして協議を進めてまいりました。
これまでに災害時対応では、下水道局が市町と組合をまとめて、(公益社団法人)日本下水道管路管理業協会との間で「下水道管路施設の復旧支援協力に関する協定」をこの9月20日に締結しました。
この協定は、支援を受けたい団体と支援をする民間事業者を取り持つ窓口を下水道局と協会に一本化したのが特徴で、被災時の下水道管やマンホール等の応急復旧に関する広域的な支援を迅速かつ的確に実施するものです。
また、下水汚泥の共同処理は、単独公共下水道の汚泥を流域下水道で受け入れるもので、公共側は汚泥を安く安定的に処分できる、流域側は焼却炉の運転余力を活用して新たな収益源を得るウィンウィンの取組です。
全14市町・組合のうち12団体から希望があり、坂戸、鶴ヶ島下水道組合など3団体からは来年4月に早期実施したい意向が示されています。
今後は、まず、この3団体について下水道法に基づく事業計画の変更等の手続きを進めてまいります。
さらに、県と3団体のそれぞれで地方自治法に定める事務委託に関する議会のご議決等が必要になります。下水道局では、県議会への議案のご提案に向けて、常任委員会でのご報告などを順次行ってまいります。
次に、市町への技術支援についてですが、下水道局ではその必要性は十分認識しております。
県では、従来から下水道事業に関し、公共下水道所管の都市整備部で制度的な研修を、現場を有する下水道局で初任者研修や総合的な相談を実施してきましたが、技術支援を主眼とした事業は行っておりませんでした。
そこで、終末処理場の管理・運営など現場に強い技術力を有する下水道公社では、推進協議会を契機として新たに災害対策訓練のサポートや維持管理業務に関する技術的助言など実践的な支援を開始しております。
今後とも、下水道局では都市整備部や下水道公社と一体となって、現場のニーズに即した技術支援や下水道事業の広域化、共同化などに積極的に取り組んでまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください