トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(永瀬秀樹議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 永瀬秀樹議員(自民)
高度成長期には地下水利用が急増し、地盤沈下、水質汚濁といった様々な地下水障害が発生しました。そのために、地下水の管理については、地盤沈下防止のための取水規制が中心となっており、地下水の実態は明確ではなく、適正な保全と利用に支障が出ています。また、積極的に地下水を使わなくても、各種人間活動の影響で水循環は確実に悪化している現実もあります。
そうした中、近年、地下水利用と環境保全の考え方は大きく変化をしています。かつての取水規制中心の考え方から、地下水の実態を把握し、地下水のバランスある利用と保全のルールを定め、保全と持続可能な利用を推進することへと変わってきているのです。
地下水の健全な水循環とは、例えばヒートアイランド対策など環境要素としての機能、地中熱利用といった資源としての役割、災害時協力井戸のような防災機能などを維持できることであり、それを保つための地下水の人工的かん養や地表水からの還流ルートの整備など、治水や利水、親水に続く、言うなれば水に関する新しい概念としての育水とも言うべき地下水マネジメントを進めていくことが求められております。
私の地元川口市は、かつては吹き井戸と呼ばれる湧出井戸が庭先にある家すらあった非常に地下水に恵まれた地域でした。しかし、工業用水でくみ揚げ過ぎて井戸はかれ、昭和30年代後半には激しく地盤沈下が発生し、河川水への水源転換を余儀なくされた記憶を持つ地域でもあります。しかし、地盤沈下は取水規制により沈静化し、地下水についてはコントロールできる経験を持つ土地でもあります。
県土の約3分の2が関東平野北部地域地盤沈下防止等対策要綱の対象地域である本県においては、自由度が少ない中での取組を余儀なくされることは承知しておりますが、私は、今後県土全域にわたる地下水マネジメントを進め、目には見えない地下水の実態を明確にし、適正な保全と利用を進め、かつての豊富できれいな地下水を取り戻すべきと考えております。
そこで質問ですが、1点目として、県の現在の地下水マネジメントの取組状況と今後の取組の方針について、企画財政部長の御所見をお教えください。
2点目として、今後、災害時に地下水を利用することへの期待は大きく、防災井戸としての利用などについては県が主導的役割を担うべきと考えます。危機管理防災部長の御所見をお聞かせください。
A 砂川裕紀 企画財政部長
現在の取組状況と今後の取組方針についてでございます。
地下水マネジメントは、地域の地下水を守り、水資源等として利用する「持続可能な地下水の保全と利用」を推進するものです。
現在、本県では、広域の地下水マネジメントとして国が設置した関東平野北部地盤沈下防止等対策要綱推進協議会に参画しております。
推進協議会が対象とする地域は、5つの県にまたがっておりますが、本県が最も大きい面積を占めております。
この推進協議会において、国と県及び市町が観測データを共有するなど連携し、地盤沈下防止と地下水の保全に取り組んでおります。
この広域の地下水マネジメントにより、本県の地盤沈下は以前と比べ沈静化しておりますが、いまだ沈下は継続している状況にございます。
将来にわたって、持続可能な地下水の保全と利用を進めていくことは、大きな重要な課題であると考えております。
県といたしましては庁内にワーキンググループを設け、改めて県内の地下水の適正利用について検討してまいります。
そして、地下水の適正利用が協議事項の一つとなっている、この推進協議会において、地下水マネジメントを実施してまいります。
A 槍田義之 危機管理防災部長
災害時に地下水を防災井戸で利用することについてお答えを申し上げます。
災害時には、断水により消火用水、飲料水、生活用水などが不足します。
昨年の熊本地震において、2週間断水が続いた熊本市では、水洗トイレや洗濯などの生活用水として井戸水が貴重な水源となりました。
本県では5か所の防災基地や17か所の県営公園などに防災井戸を整備しています。
また、個人や企業などが所有する井戸を災害時に開放し、生活用水などとして近隣住民に提供する、いわゆる「災害時協力井戸」の取組を行っている市町村もございます。
この井戸は、現在、県内26の市町村において1,800か所を超える数が登録されており、ホームページや防災マップへの掲載、看板設置などにより近隣住民への周知を図っている例もございます。
このように地下水を利用することは、災害時における水確保手段の多様化につながる有効な方法であると考えます。
今後、「災害時協力井戸」の先進的な事例を市町村防災担当課長会議の場で紹介するとともに、県ホームページに掲載するなど、災害時の一時的な利用として防災井戸が活用されるよう努めてまいります。
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