トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(菅原文仁議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 菅原文仁議員(県民)
子供の生きる力の育成の必要性が高まる中、地域に開かれた学校、学校と地域が連携して教育を行っていくことが進められております。私は、これからの学校経営は、学校から地域に向かって様々な発信を進め、信頼を獲得していくことが求められていると考えております。
県では、学校と地域をつなぐ方策として学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティスクールを推進しており、平成29年4月現在で導入した学校が、小中学校で105校となっております。今年度は、小中学校におけるコミュニティスクール導入等促進事業を新たに立ち上げ、積極的な支援を進めていると伺っております。
コミュニティスクールの導入は、これまで閉鎖的だった学校運営に地域や保護者が積極的に関わることによって子供たちの学びや体験が充実するなど、地域の声を生かした教育が推進されることが期待されております。また、地域にとっても、学校との関わりによって地元の活性化が促されるものと期待できます。
一方、高等学校についてはどうでしょうか。言うまでもなく、小中学校における地域とは、学区そのものを意味しているので取り組みやすく、学校の設置者である市町村も、正に自分事として推進しやすい環境があると思います。しかしながら、高等学校においては学区もなく、設置者が県であるために、市町村行政とも連携をできていない状況があります。一言で言えば、その地域で浮いている存在となってしまっている学校が多いのではないかと感じます。
県教育委員会の試算によると、今後、埼玉県の中学校卒業者数は、平成41年3月には約5万6,000人となり、現在より約6,000人も減少すると予測されています。加えて、都内を含めた県立高校以外の高等学校への流出を踏まえると、地域の名前を冠した高校が、ある日突然統廃合で廃校されてしまう事態も想定されます。地域にとって、高校がなくなることは大きな空き家を生み出すことであり、地域の貴重な人材を失うことにもつながります。県立高校を地域と結び付けて存続を図っていくことは、地域を疲弊させないためにも大変重要です。
そこで、教育長にお伺いいたします。
まず1点目として、県立学校の目的は、将来の埼玉を担う人材、言い換えれば地域に貢献する人材を輩出することです。コミュニティスクール化も含めて、県立高校と地域の連携をもっと促す取組を進めてはいかがでしょうか。今後、地域と連携して地域の課題を解決するような高等学校をつくっていくことについて、どのように考えているのか、御見解をお伺いいたします。
次に、2点目として、高校生が自分の人生を切り開いていくために求められる資質や能力を育むためには、もっとキャリア教育を浸透させることが重要であろうと考えます。平成27年度、公立高等学校における都道府県インターンシップ実施率の調査によれば、埼玉県は連続で下位に甘んじております。
そこで、今後は生徒が直接地域に足を運び、地場産業で就業活動をすることなどにより、一人一人が社会的、職業的自立に向けた能力や態度を育てることを今まで以上に積極的に進めていただきたいと思います。地域と連携した県立高校のキャリア教育についてどのように進めていかれるのか、御見解をお伺いいたします。
A 小松弥生 教育長
まず、「地域と連携して地域の課題を解決するような高校をつくることについて」です。
県立高校が、地域との連携を深め、地域の課題に取り組むことは、予測困難な社会を子供たちが力強く生き抜く力を育むうえで、大変、重要であると考えております。
県では、地域振興について生徒と町長との意見交換を実施するなど、コミュニティ・スクールが目指す、地域と連携・協働した学校づくりを県立高校2校で研究をしております。
さらに、島根県立隠岐島前(おきどうぜん)高校、地域生活学を全生徒が履修するなどの取組で有名な高校でございますけれども、こちらの高校とも交流をし、地元の行政機関などと連携して、地域が直面する課題を高校生の視点で考え、現実的な解決策を高校生が提案する取組について、研究を進めております。
県といたしましては、こうした先進的な取組も参考にしながら、一層、地域と連携し、地域の課題解決に取り組む学校づくりを進めてまいります。
次に、「地域と連携した県立高校のキャリア教育をどのように進めていくのか」についてでございます。
県では、高校生に自らの生き方を考えさせるため、多様な体験活動を推進しております。
企業での就業体験のほか、幼稚園・保育所での保育体験や、福祉施設での介護体験なども行っております。
これらの体験活動もインターンシップとしてカウントしてよいということでしたので、これらも含めますと議員御指摘の実施率は、他の都道府県と同程度でございます。
今後は、学校で学ぶことと実社会との関連をより意識できるよう、キャリア教育の一層の充実を図る必要があると考えております。
たとえば、児玉白楊高校では14の地元企業に協力をいただき、ICTを活用した庭園を造り、「彩の国ビジネスアリーナ」において、企業に交じって、生徒たちが取組内容を展示し、発表いたしました。
また、戸田市議会が開催した「高校生議会」に、戸田翔陽高校と南稜高校の生徒が参加し、「健康診断受診条例」の提案や歩道整備についての一般質問など、生徒が自ら感じた地域の課題を議論いたしました。
県といたしましては、こうした連携事例を他の学校へ積極的に広め、生徒の社会的・職業的自立に向けて、地域や企業と連携したキャリア教育を推進してまいります。
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