トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年2月定例会 > 平成29年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (山下勝矢議員)
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掲載日:2020年3月11日
Q 山下勝矢議員(自民)
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年度までに医療提供体制や高齢者福祉をいかに構築するかということは、医療、福祉関係者だけではなく、多くの県民の関心事です。高齢者医療につきましては、私は治す医療から治し支える医療に変える必要があると考えております。人は年齢を重ねるごとに、筋や骨格系の衰えは隠せません。そこで、必要なものは外科的手術、注射、薬ではなくて、あん摩マッサージ、指圧、はり、きゅうといった治し支える施術ではないかと思っております。あん摩マッサージは資格に障害のある方が通う県立特別支援学校塙保己一学園の卒業生が国家資格を取得して活躍する場の一つでもあります。
しかしながら、現状を見ると最近は業界が乱立、混乱ぎみであります。例えば、整骨院、整体院、マッサージ、もみほぐし、リラクゼーションなど、看板などではその違いも効果もよく分からず混沌としております。また、どれが国家資格を有する施術所で、どれがいわゆる民間療法の店舗であるのか、高齢者のみならず私にも分からない状況です。利用者にとって分かりやすく、安心して施術を受けられるよう業界の健全育成を進めていただきたいと思っておりますが、保健医療部長にお伺いします。
このような中、今年1月18日に厚生労働省が全国の後期高齢者医療広域連合におけるあん摩マッサージなどの療養費の不正事例について公表しました。新聞によりますと、今回の調査により明らかとなったものは氷山の一角であるとしております。高齢化が進み、あん摩マッサージ等の業界が県民の健康の維持増進に果たす役割を期待しております。優良事業者の育成と業界の健全発展のために、不正請求に対する対策も進めていくことも重要かと思われますので、併せて保健医療部長にお伺いします。
A 三田一夫 保健医療部長
まず、業界の健全育成についてでございます。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、いずれも専門の知識や技能に基づく国家資格となっており、押す、揉む、たたくなど血流やリンパ液の循環を改善し、人の自然治癒力を高める施術が行われております。
一方、議員お話しのとおり、近年では、国家資格を持たない、いわゆる民間療法の店舗において、広告に「マッサージ」などの文言が使用され、誤解をしかねないものがございます。
そこで県では、県民の皆様が、いわゆる民間療法の店舗と区別できるよう、国家資格者による施術所であることを記載した証明書を発行しております。
この証明書は、遠くからでも目立ち、県民から親しみがもたれるよう、デザインに工夫することとしました。
そこで、県立新座総合技術高等学校デザイン専攻科の生徒に作成を依頼し、専門家を交えたコンペによりデザインを選定しました。
コバトンをあしらい、分かりやすく大変親しみのもてるデザインとなっております。
県内4,000を超えるすべての施術所の入口に掲示していただけるよう、更なる周知に努めてまいります。
また、業界健全化のため、関係団体が行う研究、研修を支援し、超高齢社会において、あん摩マッサージ指圧師などの施術者が、その専門性を生かした役割を果たしていくよう、資質向上を図ってまいります。
次に、不正請求に対する対策についてでございます。
あん摩マッサージなどの施術は、医療機関での治療を補完するもので、その費用は「療養費」と呼ばれ、医療保険の給付対象となっております。
高齢化とともに、療養費の支給件数は増えており、本県の後期高齢者医療では、平成27年度は14万7,000件となっております。
療養費の不正請求は、公的医療保険制度を歪めるものであり、看過できない問題です。
しかし、現在の制度では、国や県に施術所が行う療養費請求に対する指導・監査権限はなく、保険者が詐欺罪として告発するしかないため、不正請求の実態は明らかとなっておりません。
先般、厚生労働省は全国の後期高齢者医療広域連合を対象に、初めて利用状況調査を実施しましたが、この調査では国民健康保険は対象となっておりません。
そこで本県では、対象とならなかった国民健康保険における利用状況調査を実施し、問題点、課題などを明らかとし、必要な対応策を検討してまいります。
また、市町村などの保険者において、療養費請求のチェック機能の充実を図ることも効果的です。そのため、県では市町村向けの研修会において、実務に即した講義を進めてまいります。
例えば、往診料に当たるものを「往療料」と申しますが、診療所に通院している患者に対して、施術所が歩行困難な方にしか算定できない往療料を請求していないかなど、重点チェックポイントを示してまいります。
さらに、現在、国では施術所に対する効果的な指導・監督について、検討しておりますが、県にとって実効性のある指導・監督が早期に実現できるよう、要望してまいります。
平成30年度からは、県も保険者となりますので、市町村など他の保険者とともに、あん摩マッサージ等の療養費の適正化に努めてまいります。
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