トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年2月定例会 > 平成29年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (山下勝矢議員)
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掲載日:2020年3月11日
Q 山下勝矢議員(自民)
私が選出をさせていただいております三郷市は、埼玉県の最も東南部に位置し、東京都と千葉県の両方に隣接をしております。このため、特に圧倒的な存在感を持っている「東京」という存在を意識しながら生活しているというのが感覚であります。埼玉県も高いポテンシャルを持っていますが、圧倒的な存在感を持つ東京があるからのものでもあります。本日は、強過ぎる東京にいかに埼玉県を埋没させないか、東京というブランド力をいかに埼玉県が利用して発展に役立てるのか、言い換えれば今後どのように東京からいかに人を呼び込むのか、いかにお金を呼び込むのかについて、質問1から質問4の東京オリンピック・パラリンピック関連にかけて、この視点から質問をいたしたいと思っております。
私は、かねがね埼玉県に本来入るべき法人事業税や法人県民税、いわゆる法人二税が埼玉県に納税をされておらず、市町村に本来入るべき法人市民税等が市町村に納税されておらず、莫大な税金が東京都に流れているのではないかと思っております。法人運営の例を挙げると、法人の本社機能はブランド力や情報収集力、一大消費地、クライアントの集積、人材確保などを考えて東京都内に本店を置き、そして埼玉県には事務所、事業所、倉庫、店舗、工場、作業所、社員寮、保養所等を置くケースが大変多いものです。
東京都内に本社を置く法人が埼玉県に事業所や支店等を設置する場合には、法務局の登記の有無に関わらず、法人設置届出書を県税事務所や市町村に提出をしなければならないことになっています。この届出書が残念ながら適切に提出されていないケースが相当数あるのではないかと危惧をしております。埼玉県に所在する事務所、事業所、倉庫、店舗、工場、作業所、社員寮、保養所等のうち、かなりの数が未届けになっているため、東京都に税収を取られて埼玉県及び市町村の税収になっていないものが多いと推測をしております。
例えば、倉庫は使用状況によっては法人二税の対象となるケースが多数あります。また、埼玉県に多い大型ショッピングセンターなどではテナントなどが入れ替わりが多いところでは届け出を省略していないでしょうか。また、社員寮、保養所であっても埼玉県及び市町村に入るべき法人県民税と法人市町村税の均等割は、法人の資本規模や従業員数によって変わりますが、例えば資本金1億円の法人は18万円もしくは20万円、資本金50億円の法人では95万円もしくは229万円の均等割を納付する必要があります。
地方税法では、2つ以上の都道府県に店舗や事業所等を有する法人は、従業者数や事務所数に応じて課税標準所得を分割し、それぞれの都道府県及び市町村に法人事業税及び法人県民税等を納税しなければならないと規定されております。事業者数には、パートや派遣社員も含まれます。
そこで、このような地方税法の規定にも関わらず、埼玉県内に事業所などを有しながら適正な届け出や申告を行っていない法人に対し、適正な届け出や申告をさせることで、貴重な自主財源である県税収入を確保することができます。
これに対して、県でも調査を行い、未届けが発覚した法人に対し、適正な届け出や申告を指導した結果、東京都を中心とした他都道府県から埼玉県に返金された法人事業税及び法人県民税は、直近3年間では平成25年度では464件、1億9,800万円、平成26年度は194件、1億1,200万円、平成27年度では224件、4億1,500万円でした。年々増加傾向にあります。このほか、当然に埼玉県の市町村にもこの3年間で2億円程度の法人市民税が東京都を中心とした他都道府県から返金されていると試算をしました。そして、埼玉県の調査による是正指導とメリットのもう一つは、単年度ではなく翌事業年度以降の税収等にも継続的につながるというメリットもあります。
私は、法人のこのような指導を徹底すれば、県による過去の申告是正の累積と合わせて、私の肌感覚では今までの調査で是正した金額の10倍以上の税金、つまり最低でも30億とか50億円程度の法人事業税、法人県民税、法人市民税が東京ではなくて埼玉県及び市町村に入るのではないかと考えております。県内の事務所、倉庫、店舗、工場、作業所、社員寮、保養所等を調査し、適正な届け出をするよう指導するべきです。職員にも限りがあると思いますので、市町村の協力を得ながら様々な調査方法を工夫し、積極的に推し進めるべきです。東京都に奪われている財源を取り返していただきたいと思います。総務部長の御見解をお聞かせください。
A 飯島 寛 総務部長
議員御指摘のとおり、本県は東京都に隣接し高速道路網も整備されていることから、東京都内に本社機能を置き、県内に生産や物流などの事業活動の拠点を置く法人が多く進出しています。
これらの法人の中には、埼玉県に法人の設立等報告書を提出しないで事業活動を行っている、いわゆる未届法人もあります。
こうした法人に対しても適正な課税を行うことで、貴重な自主財源を確保することができます。
そこで、県では従来から、求人広告や工業団地の名簿、ショッピングモールのテナントリスト等の情報から、未届法人を調査・捕捉し、適正な課税に努めてきたところです。
これに加えて、平成28年度から新たな取組といたしまして、「未届法人ローラー作戦」と銘打ち、電話番号情報や許認可の情報を活用して未届法人を捕捉しております。
法人は県内に事業拠点を新設する場合、電話の開設と広告を兼ねてNTTタウンページに社名等を掲載することが多く、また、業種によっては県などの許認可を得た上で事業所等を開設する必要があります。
そこで、NTTタウンページの情報約7万件、製造・販売などの許可リスト約1,500件と県税務システムの登録情報とを突合させ、未届法人と疑われる約1,700社を抽出いたしました。
各県税事務所では抽出した約1,700社について平成28年度と平成29年度の2か年で文書照会や現地調査などを行い、法人の事業実態の確認を進めていくこととしております。
平成28年度の実績でございますが、1月末までに、求人広告などによる従来の調査により約3,900社、「未届法人ローラー作戦」により約1,000社の確認を行いました。
この結果、事務所、事業所として認定できた227社から約9,000万円の法人県民税、法人事業税の申告納付がありました。
また、議員御提案の市町村との協力につきましては、市町村が有する地域の情報を積極的に活用することも、事業の実態を確認する有効な方策のひとつであると考えます。
つきましては、これまで以上に市町村との協力、連携によりまして、一層の効率化と未届法人調査の徹底を図り、法人県民税、法人事業税の適正な課税によって税収確保に努めてまいります。
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