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掲載日:2020年3月9日

平成29年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(鈴木正人議員)

家族の在り方と教育について

Q 鈴木正人議員(県民

昨今、家族の形が大きく変わり、大切なものが失われつつあると感じております。もちろん、家族はそれぞれの在り方があります。人間の根本は個でありますが、それをつくり上げるのは基本的に家族にほかなりません。古き日本は、複数世代同居は当たり前でありました。この複数世代が様々な経験や英知を分かち、世の中のルールや道徳、伝統の日々の生活の中で養ってきました。しかし、核家族化が進み、限られた世代での家族構成は、こうしたすばらしい英知が伝承されず、ますます個人主義化が加速しております。もちろん、経済的な問題や現代社会のありようで、この家族の在り方が変化していくことは当然のことなのかもしれません。
しかし、家族のみならず、地域も含めて役割を担い、我が国を世界に誇れる秩序ある国につくり上げてきた伝統が消えつつあることは、大切な我が国の国柄が失われることを意味しているわけであります。近年、いじめをはじめ教師の不祥事など、教育の問題について耳にしない日はありません。教育現場も混乱の様相を呈し、教師にかかる負担も極めて大きくなっているとも伺っております。
こうした中、学校での指導不足を問題視する声もありますが、果たしてそれだけが問題なのでしょうか。確かに、教師の教育者たる資質は極めて高いレベルで担保されなければならないと思いますが、教育の基本は家族、家庭にあることを忘れてはならないと思うのであります。
偉そうなことは言えませんが、核家族化や親の仕事を理由に、そもそもの家庭での教育がおろそかになってしまい、それを学校に転嫁してエスカレートすると、おはしの持ち方は学校で教えるものや、挨拶ができないのは学校指導が足りないからだなどといった主張も出てくるわけであります。しかし、これは本来、親が果たすべきものであり、本末転倒であると考えております。もっとも、親自身が子供を産み育てるという意識が欠如している場合も多く、それも含めて家族の在り方、形が失われている場面もあります。授業参観日に我が子の姿を見るよりも、廊下で友達とおしゃべりに夢中になっている親の姿をつい見てしまうと、我が国の将来に強い不安を感じてしまうのは考え過ぎなのでしょうか。
一方、教育現場としての学校も、このような状況を含め、子供たちに本当に必要な教えを考えていかなければならないと思うのであります。そもそも教育は、家庭における十分な基礎があり、それを補完、充実、発展させるのがあるべき学校の姿であるはずですが、そうでない現状が厳然たる事実となっております。家族の形の変化は、誤った方向に行けば犯罪、DV、虐待、いじめなど現在抱える問題に直結してしまいます。互いを尊重し、慈しみ、助け合うといった心は、まず家族から生まれ、養われるわけで、それが周りの人々や取り巻く環境に及び、道義国家としての我が国の美しい和を大切にする心をつくり上げてきたのだと確信をしております。
そこで、上田知事にお尋ねいたします。
知事は家族についてどのような考えをお持ちで、正にお子さんたちが成長され、家族を創っていると思いますが、昨今の家族の在り方の変化についてどのように考えているのか。さらに、今後県として家庭での教育にどう関わっていくのかをお尋ねいたします。
また、現状を鑑み、家族の在り方について学校での教育をどのようにすべきだと考えているのか、教育長にお伺いいたします。

A 上田清司 知事

家族についてどのような考え方を持っているのかについてでございます。
幕末の思想家、吉田松陰が親に先立つ心情を詠んだと言われる歌に、「親思ふ 心にまさる親心 今日の音づれ 何と聞くらん」というものがございます。
御案内のように、子供が親を思う心がいかに強くても、親が子供を思う慈愛に勝るものはないという意味でございます。
私の子育ての経験の中でも、子供が熱を出していれば、代わってあげたいという思いを持っておりました。
自分の父母も、そういう思いを持って育てたんだなということを、初めて理解するわけでございます。
正に、家族が互いを思う気持ちは、今も昔も本質的には変わらないのではないかというふうに思っております。
子供にとって家族は一番身近な存在であり、基本的な生活習慣や社会的なマナーなどを身に付け、社会で自立するために必要な「生きる力」を育むのが、正に家族だと思います。
次に、昨今の家族の在り方の変化についてどう考え、今後、県として家庭での教育にどう関わっていくかについてでございます。
現在、核家族や一人親世帯の増加など、家族の形態が多様化し、家庭を取り巻く環境は著しく変化しております。
一般論として申し上げれば、家庭の教育機能というものは弱くなって、併せて、地域の教育機能も弱い、学校の教育機能も弱い。
その三つの重要な教育機能が弱いという現実を様々な形で補完的な役割を果たす仕組みというものをいろんな形で作っておかなければいけない、というのが現状ではないかというふうに思います。
例えば、家庭において、子育てに悩んだときに身近に相談ができるような支援、あるいは、#8000なんかもそうだというふうに思います。
また、学校なんかでは、学校応援団などがそうかもしれません。
あるいはまた、地域では、見守り隊をはじめとする様々な動きもございます。
そこで県では、子育て中の親同士が意見を交換し、お互いの子育てに共感したり、自らの子育てを振り返ったりする「親の学習」を推進しております。
親同士が話し合い、子育ての先輩からアドバイスをいただくことで、親としての大きな助けになってまいります。
今、むしろ、子育ても大事でありますが、「親の学習」というものも、極めて大事な時代になってきたのではないかと思っております。
そういう意味でも、「親の学習」を通じて、家庭での教育を支援していきたいと考えているところでございます。 

A 関根郁夫 教育長

現在、学校では、児童生徒が家族の一員として自覚を持って行動できるよう、道徳の時間をはじめ、教科の時間などを使い、児童生徒の発達段階に応じて、家族の在り方を考えさせる指導に取り組んでおります。
例えば、小学校では、家族のために進んで役に立とうとすることの大切さを、中学校・高等学校では、生徒自身が家族の中でどのような役割を果たせばよいのかを考えさせる学習を行っております。
さらに、県では近い将来親となる中学校・高等学校の生徒を対象とした「親になるための学習」を推進しております。
この学習は、乳幼児やその保護者とふれあう体験などを通じて、家族の在り方や子育てについて学ぶものでございます。
生徒からは、「親がたくさんの愛情を子供に注いでいることが分かった」、「家族を大切にしていきたいと思った」などの感想が寄せられ、家族への感謝の気持ちや子育てに対する理解が深められていると認識しております。
今後も、このような取組を通じて、学校における家族や家庭に関する教育を一層充実してまいります。

  • 上記質問・答弁は、速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。 

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