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掲載日:2024年12月20日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(鈴木  弘議員)

みどりの学校ファームの現状と農業体験学習の推進について

Q   鈴木  弘   議員(自民

私は、県立熊谷農業高校に通っていた頃から、これからの農業に対する一存や熱い思いを新聞の投書欄に頻繁に投稿しておりました。20歳のときに毎日新聞の特集企画で、戦後農政の第一人者とも言われ、アジア経済研究所の初代所長を務めた農業経済学者の東畑精一氏と、私は日本を代表して対談する機会を得ました。その対談は昭和36年4月23日付けの毎日新聞に掲載していただきました。今顧みると、何と怖いもの知らずで大それたことをしたと思ったか分かりません。その頃から子供たちの農業体験の必要性について常々考えていました。
その後、私は、農業を営みながらも、3つの論文を書きました。昭和53年には「農の体験と人づくり」であります。それから、昭和54年には、「休日を農に生かそう、学校に農園を造ろう、今こそ子供たちに農の体験を」という冊子を作りました。昭和57年には、「農で育ち、農に学び、農に結ぶ」という生涯教育をつなぐ農の役割ということで冊子を出版いたしました。こうした研究のかいあってか、国会の農林水産委員会からも連絡を頂き、「学校農園の設置と子供たちの農業体験の必要性について」ということで、参考人として委員会に呼ばれて報告をさせていただきました。
私は、子供たちが学校農園等により農業体験を行うことは、食の生産に関わる人々への理解や感謝の気持ちを深める上で有効だと考えています。また、農業に触れることにより、農の持つ生命の尊厳という根源的な意義を自身の命に根付かせることができ、食育の観点からも大きな意義や価値を持つと考えています。子供たちの農業体験活動は、次代の埼玉農業を担う若者が誕生することにつながると確信しています。
私は、学校農園の取組による3点のメリットがあると考えています。
まず1点目は、学校のメリットです。学校農園には多くの地域の方も参加されますので、取組を通して地域との交流を深めることができます。また、教室の外で体験活動を行うことで授業の活性化が図れます。
2点目は、家庭や地域のメリットです。学校農園の取組は、子供たちだけではなく、地域の方にとっても貴重な機会となっています。子供たちに知識や技術を教える中で、学校と一緒に子供たちを育て、大切にする心が芽生えるようになります。また、取組にはPTAなどの団体に協力いただくこともあり、各団体の活性化が図れるといった効果も期待できます。
3点目は、一番大切である子供たちへのメリットであります。様々なメリットがありますが、その中で私が重要だと考えているのが、農業や農産物への関心を高めることであります。取組を通じて、普段何気なく口にしている食べ物が多くの労力や苦労の上でもたらされていることを学び、それにより農業に関わる人々への理解や感謝の気持ちを深めることができます。これは次代の埼玉農業を担う人材を育成する上でも非常に有益であります。小中学校では新たな学習指導要領の実施を控え、教員も子供たちも忙しくなることは承知していますが、各教材、教科の学習だけではなく、農業に触れる教育も大切ではないでしょうか。
本県では、食育の推進や農地の有効活用を目的に、平成20年度からみどりの学校ファームとして、学校応援団などの地域の方々に支援を頂きながら、学校敷地内や周辺農地を活用して子供たちに農業を体験させる取組が行われております。平成25年度からは全ての公立小中学校で取組が行われています。県の努力に敬意を表するところですが、埼玉県のより多くの子供たちに学校農園のような農業体験学習を受けさせてあげたいと願ってやみません。次代の埼玉農業を担う若者が数多く誕生すると確信しているからです。
そこで、今後もみどりの学校ファームの取組を継続していくためには、学校だけに任せるのではなく、JAや農業に関する豊富な経験と高い技術を持つ地域の方々にも協力していただく必要があると考えます。みどりの学校ファームの現状と学校への支援状況について、農林部長にお伺いいたします。
また、みどりの学校ファームではどのような取組が行われ、どのような効果があったのか、さらに、それを踏まえた小中学校における農業体験学習の推進についての教育長の御見解をお伺いいたします。

A   篠崎   豊   農林部長

まず、みどりの学校ファームの現状についてでございます。
みどりの学校ファームの取組は、上田知事の発案により始まったもので、子供たちが食べ物の生産過程を体験することで、いのちの大切さを学ぶ教育効果、遊休農地の活用、さらには、ボランティアや地元農家と学校の交流による地域活性化の「一石三鳥」を狙ったものです。
平成20年度から始まり、都道府県規模での実施は全国初の取組です。
関係者皆様のご協力により、平成25年度には埼玉県内全ての公立小中学校で取り組まれることとなり、平成29年度末時点では、小学校811校、中学校413校、合計1,224校で、みどりの学校ファームが農業体験学習の場として活用されています。
参加した子供たちからは「ご飯一粒の大切さがわかった」、「収穫までいろいろな作業があることを知り、好き嫌いせず食べなくてはいけないと感じた」などの言葉が寄せられています。
また、学校からは、「農業への関心が高まった」、「勤労観・就業観が高まった」との声もあり、農業や農作物への関心を高める大切な機会になっていることが伺えます。
次に、学校への支援状況でございます。
県では、取組を始めた初年度の平成20年10月に、埼玉県農業協同組合中央会と「学校ファームの推進と食農教育の振興を図るための相互連携に関する協定」を締結いたしました。
この協定に基づき、県農協中央会からは、これまで毎年、学校ファームに必要な種や苗、肥料などを提供いただいております。
また、県では学校からの求めに応じて、地元JAの職員や農業者の方々などと協力し、作物の選定、栽培技術の指導や日常の農園管理などの支援を行っております。
平成29年度は、県内公立小学校の約3割で地元の農業者の方々が子供たちに対して、直接、農業指導を行っております。
深谷市立川本南小学校では、5年生が校外にある田んぼで水稲を栽培しており、地域の農家7名が田植えから収穫まで、年間を通してサポートしています。
収穫されたお米は、学校で餅つき大会を開いて全校児童で味わうとともに、市の友好都市である岩手県田野畑村の小学校に届けられ、交流の輪が広がっています。
議員お話の昭和36年の新聞記事を私も読ませていただきました。
当時20歳の鈴木弘青年は戦後農政の第一人者とも言われる東畑精一氏と、法案として提出されていた農業基本法や養豚をされていた御自身の農業経営、さらには日本農業の将来について熱く語っていらっしゃいました。
鈴木青年の言葉には、これからの農業に夢を持って頑張っていくという決意がみなぎっていました。
みどりの学校ファームは、鈴木弘議員がまとめた論文の中でも示されている「農による人づくり」を正に実践する場であります。
子供たちが「農を体験すること」は、作物を育てる楽しさ、難しさを実感し、自然と調和して生きる力を養う機会となるだけでなく、将来の埼玉農業を支える人材の育成にもつながるものと考えております。
みどりの学校ファームについては、引き続き、JAなど農業関係者を始め、市町村や教育局とも連携し、支援に努めてまいります。

A   小松弥生   教育長

まず、「みどりの学校ファームではどのような取組が行われ、どのような効果があったのか」についてでございます。
私は、教育長就任直後に鈴木弘議員から「農の体験と人づくり」など3つの論文を頂戴すると同時に、お話を伺い、大変感銘を受けました。
この論文は、学校教育において体験学習の重要性が強調される以前から、農業体験学習の各般にわたる効果から実施に当たっての留意点までを指摘されたもので、時代を先取りした構想をおまとめになったものと存じております。
県といたしましても、農業体験学習を通じて生命や食物などへの理解を深め、地域の方々と一緒に活動を続けることで、生産に関わる方々への感謝の気持ちを醸成することは非常に重要なことと考えております。
平成25年度からは全ての小中学校で「みどりの学校ファーム」の取組が行われ、ミニトマトやさつまいも、米など季節に応じた農作物の栽培や収穫に取り組んでおります。
例えば、田植えから稲刈り、脱穀などの米作りにおける一連の活動を体験するほか、地元の方と収穫した餅米をつき、一緒に食べるという活動を行っている学校があります。
学校からは「地域の方々へ感謝する気持ちや自然を大切にする心を持てるようになった」、「物事に粘り強く取り組む態度を育むことができた」などの効果が報告されております。
また、地域の方々からは、明るく朗らかな子供たちと触れ合い、交流しながら農作業をすることで元気をもらっているとの声を伺っております。
次に、「小中学校における農業体験学習の推進」についてでございます。
現在、全ての小中学校で「みどりの学校ファーム」の取組が行われておりますが、その中には取組に工夫を加え、内容を充実させているものもございます。
具体的には、キャリア教育の一環として、農業高校と連携し、農作業についての専門的なノウハウを学ばせている学校や、農作物の生産から収穫、販売までを体験させている学校などがございます。
また、梨や苺、ねぎや花など地域の特産物を扱うことで、子供たちの地域への理解を深め、郷土愛を育んでいる学校もございます。
県では、各市町村の担当者が集まる会議等でこうした特色ある取組の情報提供を行っているほか、ホームページに掲載するなどして普及に努めております。
今後も、市町村や関係部局、地域の方々の御協力をいただきながら、農業体験学習を充実し、子供たちの豊かな心と埼玉の農業を誇りに思う気持ちを育んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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