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掲載日:2024年12月23日
Q 井上将勝 議員(立憲・国民・無所属)
まず、法改正により今後、小規模巡回型支援施設が排除されないかお伺いいたします。
社会福祉法等の改正に伴い、現在、厚生労働省において社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会が行われ、無料低額宿泊所の運営や基準について検討がされています。その議論の行方によっては、社会福祉士が中心となって行われている、いわゆる小規模巡回型支援施設が排除される可能性があります。小規模巡回型支援施設が厚生労働省令の位置付けからそもそも排除される可能性もありますし、何より問題なのは、設置に数千万円かかるスプリンクラー設置が施設要件となれば、戸建て住宅を大家、管理会社の理解を得つつ活用してきた多くの小規模民間支援団体にとっては、事実上の倒産宣告に等しい事態となります。このままでは財政基盤の小さな民間支援団体は短期間で財政難に陥り、閉鎖、倒産が連鎖する可能性が十分に懸念されます。その結果、入居している利用者の方が路上生活に落ちてしまう事態も危惧されます。
厚生労働省において検討会が始まっており、正に議論が行われている最中ですので、その動向を見極めながら対応されることは重々承知しておりますが、11月5日の第1回検討会において厚生労働省から示された今後のスケジュールによると、厚生労働省令が制定された暁には、速やかに埼玉県も自治体条例を策定しなければなりません。路上生活に陥っているホームレス状態の方の命と生活を考えれば、現段階から良質な支援を提供している支援団体が倒産しないよう準備、対応しておくべきと考えますが、福祉部長のお考えをお伺いいたします。
次に、大規模管理収容型の無料低額宿泊所の問題点についてお伺いいたします。
くしくもけさの東京新聞で大きく報じられましたが、昨今、劣悪な大規模施設にホームレス状態の方を囲い込み、生活保護費を月額9万円近く搾取し続ける貧困ビジネスが社会問題化しています。埼玉県においても、平成27年に「被保護者等住居・生活サービス提供事業の業務の適正化等に関する条例」を改正し、対応を強めてきたところです。しかしながら、私は、路上生活者を支援している方から、埼玉県内において幅広く展開している大規模無料低額宿泊所で、1居室をベニヤ板1枚で間仕切りしただけのプライバシーも何もない、福祉の専門家もいないひどい施設で、逃げて来ている人が多くいるという話をこれまで多く聞いております。
また、同じくけさの東京新聞に一例となる写真が掲載されていましたが、私は、1つの居室を大規模無料低額宿泊所運営事業者の都合で単にベニヤ板などで間仕切りしただけで、さらには天井部が30センチ近く常時開口し、つながっている、いわゆる簡易個室は、小規模型、大規模型を問わず全廃すべきものと考えます。
簡易個室で健康で文化的な生活を送り続けることは困難で、利用されている方の権利を著しく損なうものです。火災が起きれば、簡易個室からの避難経路として想定されるベランダへの扉は、驚くべきことに片側の利用者の方が開ければ、もう片側の利用者の方は避難経路を塞がれることになります。こうした簡易個室を埼玉県内において野放しにしている現状を看過することはできません。
ついては、今後の厚生労働省令を受け、策定することになっている自治体条例においても、指定都市、中核市と足並みを合わせた条例としつつ、簡易個室は認めないものとすべきと考えます。
そこで、質問いたします。無料低額宿泊所の入所定員数の多い経営主体名を上位5つお伺いいたします。また、簡易個室を有する施設箇所数及び簡易個室数をお伺いいたします。
さらに、人権侵害はなはだしい簡易個室について県はどのように認識をしているのか、簡易個室を発見した場合に県はどのように対応しているのか、福祉部長にお伺いいたします。
A 知久清志 福祉部長
まず、現段階において良質な支援を提供している支援団体が倒産しないように準備・対応しておくべきについてでございます。
無料低額宿泊所は、ホームレスなどの生活困窮者を5人以上、一時的に生活させて社会生活に戻れるよう支援する施設です。
本年12月1日現在、県が所管する施設は30施設で、「被保護者等住居・生活サービス提供事業の業務の適正化等に関する条例」やガイドラインに基づき指導しております。
全ての施設に対して年1回以上立入調査を実施し、利用者に対する良好な生活環境の確保や防災等の安全対策が行われているかなどを確認しております。
無料低額宿泊所の設備・運営等に関する基準は、本年6月に社会福祉法が改正され、国が定める基準を基に県が改めて条例で定めることになりました。
具体的な基準はこれから国において検討される予定です。
県といたしましては、引き続き利用者に良質なサービスが提供されるよう国の検討状況を確認しながら条例制定に向けた準備をしっかりと進めてまいります。
次に、無料低額宿泊所の入所定員数の多い経営主体についてでございます。
県が所管する無料低額宿泊所のうち、入所定員数の多い経営主体は、NPO法人ライズケア6施設539人、NPO法人エスエスエス6施設210人、NPO法人さくら福祉推進協会3施設123人、有限会社スム・エンタープライズ2施設113人、NPO法人和青苑1施設91人となっております。
次に、簡易個室を有する施設箇所数及び簡易個室数についてでございます。
一つの部屋を間仕切りして利用している、いわゆる簡易個室を有する施設は、11施設、個室数は600となっております。
次に、簡易個室について県はどのように認識し対応しているかについてでございます。
簡易個室は1つの部屋を間仕切りして利用しているため、住環境が悪くなる可能性があると考えています。
一方、簡易個室であることが直ちに条例等の基準に抵触するものではありませんが、面積基準を下回っている場合などは基準を満たすよう強く指導しております。
引き続き、全ての施設で利用者の安心・安全を確保できるよう努めてまいります。
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