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掲載日:2024年12月20日
Q 新井一徳 議員(自民)
さいたま市に本店を置く県内大手建設業の株式会社エム・テックが10月、経営再建を目指して民事再生法の適用を東京地裁に申請し、スポンサー企業を探していたものの、結局は見つからず、翌11月には破産手続の開始決定を受けました。全国88件の工事の契約は全て解除となり、負債総額は民事再生法の申請時点では約253億円と言われています。この会社については、平成27年6月議会において、我が党の諸井真英議員も取り上げています。
当時、この会社は、工事の遅延や手抜き工事が原因で、県内をはじめ複数の自治体で指名停止を受けている最中であり、また、常習的に指名停止処分を受けている、ある意味ではいわくつきの会社でありました。また、この会社からは、上田知事が県外企業の関係者と平成25、26年と立て続けに実施したアセアン訪問団に社長をはじめ複数の人間が参加していました。複数の自治体から指名停止処分を受けている最中にも関わらず訪問団に参加したことに加え、訪問後にはベトナムで高速道路や橋りょうの建設を受注したとの話が出るなど、不自然な感を拭えません。
この会社が経営破たんした影響は、至るところに出ています。東京都内では2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックのテニス競技の会場整備がストップ、県内では、来春開校予定のさいたま市立美園南中学校の校舎建設を受注していたものの、工事中断により、生徒たちは来年の1学期は別の校舎で授業を受けることが決まったばかりです。このほか、川越市では町並みを紹介する蔵造り資料館の耐震化工事が中断、このために、多くの訪日客が見込める東京オリンピック・パラリンピックまでの完了が見通せない状況だそうであります。
建設業界は裾野の広い業界だと指摘されます。この会社に下請けとして協力してきた県内の建設業者や資機材の納入業者は相当数に上ると想像されます。今回の経営破たんによって、工事や資機材の代金の未払いなどが発生し、資金繰りに困るなど経営面で不安を抱えることになった企業が多数存在する可能性すらあります。元請企業が経営破綻した際に、そのしわ寄せが来るのは下請けなど周囲の企業です。
そこで、今回の経営破たんが引き起こす影響をしっかりと把握し、経営不安を抱えている企業への支援を県としてすべきと考えますが、産業労働部長のお考えをお伺いします。併せて、ベトナムへの影響の有無についてもお伺いします。
A 渡辺 充 産業労働部長
まず、経営不安を抱えている企業の支援についてでございます。
株式会社エム・テックは、平成30年10月1日に民事再生法の適用を申請し、11月に破産手続に移行しました。
民間調査機関によれば、負債総額は約253億円で、債権者は全国で887者にのぼるとされています。
このうち県内で、債権額が100万円以上の債権者は72者、債権額の合計は約57億円となっています。
こうした倒産が発生した場合に、県として、まず第一に対応しなければならないのは、取引を行っている企業の資金繰りを支援し、連鎖倒産を防ぐことです。
このため、県では、直ちにエム・テックと取引のある中小企業を県制度融資の経営安定資金の対象とし、通常よりも低い利率で運転資金を融資できるようにいたしました。
その後、商工会議所などが窓口となって対応した結果、11月末までに5社、総額で約1億7,000万円の融資が実行されています。
一方で、中小企業の中には、取引先の倒産など環境変化の対応が難しい企業もございます。
例えば、特定の企業に取引が集中していたり、特定の商材に特化している企業では、取引先の企業の状況によって自社の業績が大きく影響を受けるリスクがあります。
そこで、長期的な視点に立って取引先を拡大するなど、中小企業の収益源を多様化していくことが必要です。
県では、国内最大級の展示商談会である「彩の国ビジネスアリーナ」を毎年開催し、国内外の企業とのマッチングの場を設けています。
また、製品開発費の補助や経営革新計画の策定支援などにより、新商品やサービスの開発、新分野への進出を促進しています。
今後も制度融資により中小企業を金融面から支え、経営不安を解消するとともに、企業の取引先の拡大を支援するなど、県内企業が不測の事態に柔軟に対応できるよう取り組んでまいります。
次に、ベトナムへの影響の有無についてでございます。
エム・テックは御質問にもありましたとおり、平成25年、平成26年のアセアン訪問団に参加しています。
これは、同社が埼玉県ベトナムネットワークの会員であり、また、応募のあったすべての企業に参加していただいたもので、個別の企業の要望に応える訪問ではありません。
県の調査ではベトナムに進出している県内企業は、5年前の平成25年度は55社であったのに対して、平成30年度は99社と大きく増加しております。
エム・テックもベトナムのハノイに現地法人を設立していたと聞いておりますが、その事業内容については承知していないため、ベトナムへの影響は現時点では把握していません。
仮に大きな影響があるとすれば、ベトナム計画投資省に設置している埼玉デスクや県サポートデスク、駐日ベトナム大使館などから何らかの連絡があるものと考えています。
県としては引き続き、今回の破たんに伴う本県経済への影響について注視してまいります。
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