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掲載日:2024年12月17日
Q 横川雅也 議員(自民)
DMORTとは、「災害死亡者家族支援チーム」と訳され、災害直後から死亡者の家族支援を行うことを目的とする組織です。日本DMORTが法人化された経緯としては、2005年、JR福知山線列車事故で系統的なトリアージが実施され、効果的な災害医療が行われましたが、その陰で黒タグの家族、つまりは死亡確認をされた方の家族には具体的な対応がなされませんでした。そのことへの問題提起を受けて、翌2006年、法人の前身である日本DMORT研究会が発足、その後、大規模災害訓練への参加、研修会などを重ねる中で人材が育成され、災害現場への派遣が可能にもなりました。2013年、伊豆大島土石流災害、2016年、熊本地震への研究会メンバーの派遣を経験して、他機関との連携には法人格が必要なことを実感し、昨年、2017年7月14日に日本DMORTとして法人設立となったそうです。
本年7月に発生した西日本豪雨災害や9月に発生した北海道胆振東部地震においては、家族・遺族支援マニュアルを医療救護班、行政職員向けに情報提供するなど、その活躍は被災者に寄り添った専門性の高い支援能力を有する組織として高く評価され、各地で行われている都道府県規模の災害訓練にも参加しています。
そこで、伺います。
1つ目、こうした専門性の高い優れた支援能力を持つ組織についての情報を、県庁内で認識されていない状況が見られました。私としては、そのこと自体が想定外であり、困惑を隠せません。災害対策を強化する上で有効と思われる情報は素早く認識し、関係部局と確実に共有されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
2つ目、日本DMORTは、他県とは既に協定締結など様々な災害協定・連携を始めています。埼玉県も災害協定を結ぶなど、いち早く有効的な関係構築を図ることが急務と考えますが、いかがでしょうか。
3つ目、毎年実施される九都県市合同防災訓練に日本DMORTに御協力を頂き、トリアージや黒エリアにおける家族サポートなど実践的な訓練を医療チームと連携して行うことは、訓練の内容をベースアップさせるすばらしい試みと考えますが、本県の防災訓練などに参加いただく考えについてはいかがでしょうか。
以上3点について、危機管理防災部長の御見解をお聞かせください。
4つ目、続いて、現在18か所ある埼玉県の災害拠点病院においても、段階的にDMAT隊とDMORTとの合同訓練を実施することが有効と考えます。こうした発展的な考えについても、いち早く準備しておく必要があると考えますが、こちらは保健医療部長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
5つ目、日本DMORTは、今年1月に兵庫県警と災害等発生時における死亡者家族支援に関する協定の締結を行っています。日本DMORT側としては、「今後、全国の都道府県警ともこういった協定を締結できるような活動を続けていけたらと思います」というコメントも発表されています。
災害は自然災害だけにとどまらず、大型車両同士の横転事故やJR福知山線列車事故のように多くの死傷者を出す局地的な災害が起こるケースもあります。埼玉県警察においても、いち早く協力を要請し、協定締結を目指すべきと考えますが、警察本部長の御見解をお聞かせください。
A 槍田義之 危機管理防災部長
ただいま御答弁いたしましたように被災地支援で得た知識や経験は常に部局間で共有化しており、その他の危機管理や防災に関する情報についても極力共有するように努めています。
しかし、日本DMORTについては、少なくともここ数年、危機管理防災部職員が出席する国等の会議・研修会で取り上げられたことが無く、今年4月に毎日新聞で活動内容が紹介されたようですが事務局が兵庫県にあるということもあり関東方面では掲載されていなかったという状況などから、当部として十分な情報を得ていなかったため、関係部局へ情報を発信するまでには至っておりませんでした。
今後は、さらにアンテナを高くしてネット情報などからも幅広く防災情報を積極的に収集し、災害対応に有効と思われる情報については関係部局としっかり共有してまいります。
次に、日本DMORTとの有効的な関係構築を図ることについてでございます。
県では物資支援事業者、ライフライン事業者など様々な企業や団体と数多くの災害時応援協定を締結しています。
また、去る12月8日には埼玉県危機管理防災センターにおいて、災害時に被災者に寄り添う重要な活動を行う31の組織、団体による会議が開かれ、ネットワークづくりの場がスタートしました。
日本DMORTの活動も、ご遺族などの心のケアという重要な被災者支援につながるものですので、こうしたネットワークへの参加や協定の締結も含め、連携の方策について検討してまいります。
次に、日本DMORTの防災訓練への参加についてです。
連携の方策として、まず、最初に考えうるのは、議員ご提案の防災訓練への参加と考えます。
本県では九都県市合同防災訓練において警察、医師会、葬祭業協同組合などと連携して検視や遺族支援などの訓練を毎年行っていますので、日本DMORTとも何らかの形で連携が図れるよう検討してまいります。
A 本多麻夫 保健医療部長
大規模災害が発生した際には、地域の救急医療の受入能力を超える多数の負傷者が発生します。
救急医療に投入可能な人的・物的資源が限られる中、発災時の混乱した現場では、可能な限り救命率を向上させるため、傷病者の重症度に応じて治療や搬送の優先順位をつける「トリアージ」が行われます。
このトリアージでは、救命の可能性を考慮し、最優先で治療を行うべき患者には「赤いタグ」が、その次に治療が優先される患者には「黄色のタグ」が付けられます。
不幸にして「心肺停止」もしくは「救命困難」で、蘇生の可能性が低いと判断されてしまった方につきましては、やむを得ず「黒いタグ」が付けられることとなります。
一人でも多くの命を救うため、DMATは助かる可能性が高い方への救命措置を優先し、これに集中せざるを得ない状況下に置かれます。
一方、「黒いタグ」の対象となってしまった方やその御家族への対応については、災害時に現場対応に携わる多岐に渡る関係者の役割分担や個人情報も含めた情報の収集・整理・伝達方法など、社会的に多くの難しい課題が残されているものと考えております。
こうした課題の解決に向け、どのようなことが可能なのか、救急医療の観点からも、検討・模索していく必要がございます。
このため、救急医療に携わる関係者の意向をお伺いし、DMAT訓練への「DMORT」の参加も含め、どのような連携が可能なのか整理し、検討してまいりたいと存じます。
A 富田邦敬 警察本部長
大規模災害等により多数の死傷者が発生した場合ですが、警察は被災者の救出救助、避難誘導のほか、犠牲者の御遺体の検視や身元確認、御遺体の引渡し、行方不明者の手配など様々な活動を行っているところであります。
議員御指摘の日本DMORTにつきましては、大規模災害等により多数の死者が発生した場合に、残された御遺族の死別悲嘆、亡くなった方、死によって分かれた方の悲しみでございますが、死別悲嘆へのケア、癒しを行う団体と認識しておりまして、兵庫県警も残された死亡者家族の支援の充実につながると考え、協定を締結しているものと承知しております。
私共警察官は、日々死に立ち会っております。
事故死であれ病死であれ、いずれも予期せぬ死であり、その中で予期せぬ死に直面した御遺族の悲嘆、悲しみというものは、非常に深いものでありますが、それは、その御家族の死生観とか宗教とか、そういったものも関わる非常に深い個人的なものであるものと理解しております。
この点は、犯罪被害者支援等に御尽力いただいている議員もよく御存じのことと思います。
それをケアする、癒す、ということになります。
特に多数の死が発生した場合に、それを癒すということになりますと、社会の中で、公的主体、私的主体、どのような主体によってどのような形で行われるべきか、また、行われるのか。
御紹介いただいたDMORTが、その点について知識を有される具体的な役割を果たし得るということであれば、その点については、様々検討をさせていただいて、公的機関としてどのような連携が可能なのか、検討させていただきたいと考えております。
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