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掲載日:2023年5月10日
昨年12月22日、文部科学省は、平成28年度子供の学習費調査の結果について公表しました。平成6年度より隔年で実施しており、学校教育費、学校給食費、学校外活動費について調査しています。前回調査から比べると、全日制の公立高等学校では学習費総額が1割増加しており、保護者の負担が増していることが分かります。この国の調査は、保護者が支出した経費並びに世帯の年間収入の実態を捉え、教育に関する国の諸施策を検討、立案するための基礎資料を得ることを目的としています。各都道府県については、市町村の人口規模別の児童生徒数などに応じ調査対象が限定されている調査です。国全体の傾向は分かるものの、それぞれの都道府県が自分たちの自治体の傾向を判断するには余り適しておりません。
一方、東京都教育委員会では、保護者が負担する教育費調査─学校納付金調査を独自に実施しています。東京都のように独自調査を行うことは、効果的な施策を考える上で必要だと考えます。まずは、学校徴収金の実態を把握しなければ、負担軽減に効果的な政策は検討、立案できないと考えます。
そこで、2点お伺いいたします。
1点目、東京都は学校徴収金の実態を独自調査で把握していますが、埼玉県はどのように実態を把握しているのでしょうか。県教育委員会が把握している埼玉県内の県立高校及び県内市町村立学校の学校徴収金について、項目ごとの金額、取扱いの実態はどのようになっているのか、お伺いいたします。
2点目、保護者の負担軽減を図るため、県立学校への指示、市町村教育委員会への指導助言をどのように対応されているのか、教育長にお伺いいたします。
次に、学校徴収金の公会計化の推進についてお伺いいたします。
昨年12月26日、文部科学大臣による「学校における働き方改革に関する緊急対策」が取りまとめられました。そのうち、学校徴収金に関する対応については、「学校給食費については公会計化することを基本とした上で、地方公共団体がその徴収・管理を行っている先行事例も踏まえ、文部科学省において公会計化導入に向けたガイドラインを作成し、各地方公共団体に公会計化をするように促す。また、それ以外の学校徴収金についても、文部科学省と先進的な地方公共団体とが協力し、公会計化に向けた好事例を提示する。」としています。
本年1月25日は、文科省省内で学校給食・食育総合推進事業事例発表会が開催されています。その中でモデル事業として取り組んだ千葉市では、今年度、学校給食費を公会計に移行させたことにより会計事務の透明性が図られ、保護者や教職員の負担軽減につながったとの事例発表がありました。さらに、2月9日には「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について」の通知も出されており、その一項目には学校徴収金の取扱いの改善も求められています。
私は、昨年2月定例会の予算特別委員会で前教育長に、学校徴収金の中でも大きな割合を占める学校給食費の公会計化について質問をいたしました。学校給食に係る事務の透明性の向上、保護者の負担の公平性の確保などの点から、学校長名義の口座で管理する私会計から、公会計へ移行するよう通知を出してほしいとの内容の質問です。同様の内容は、我が会派の井上県議も本会議場で質問しています。私が質問した予算特別委員会では、前教育長から「文科省の動きも見ながら、課題を踏まえて対応を検討してまいりたい」との御答弁をいただいています。
国の平成30年度予算案には、学校給食費徴収・管理業務の改善・充実に1,800万円の予算が計上されています。文部科学省が具体的に動き出した今こそ、県内市町村への学校給食費の公会計化への移行について、教育長から通知を出すべきと考えます。教育長が文部科学省と同様の立場に立つことの態度を明らかにされ、その上での具体的な対策をどのようになされるのか、御見解をお伺いいたします。
まず、「学校徴収金の実態」についてでございます。
県立高校における学校徴収金には、修学旅行積立金、生徒会費、学校行事や教材に充てる学年費などがございます。
埼玉県では、東京都のような調査は行っておりませんが、個別の調査等により、修学旅行積立金は、生徒1人当たり平均額、約8万6,000円、生徒会費の生徒1人当たり平均額は、年間約7,000円と把握しております。
取扱いについては、原則、口座振替を行うよう、平成26年5月に教育長名で通知を出しております。
市町村立小中学校における学校徴収金は、学校給食費、教材費、校外学習費などがあり、学校設置者である市町村教育委員会において管理することとなっております。
このうち、学校給食費については、法令により、県教育委員会が関わることになっており、実態を把握しておりますが、それ以外については把握をしておりません。
次に、県立学校への指示と市町村教育委員会への指導助言についてでございます。
学校徴収金は、保護者の経済的負担によるものであり、その取扱いについては保護者からの信頼に基づいていることを常に認識する必要があると考えております。
県立学校については、埼玉県立学校県費外諸費に係る会計事務取扱要綱を定め、監査や会計報告により適正な取扱いがなされるよう、校長会議等を通じて指導をしております。
今後とも、一層の透明性の確保を図るとともに、最小の経費で最大の効果を上げられるよう引き続き指導し、保護者負担軽減を図ってまいります。
また、市町村立小中学校については、保護者の経済的負担を考慮し、県立学校同様、適切に管理をするよう、市町村教育委員会に働き掛けてまいります。
次に、「学校徴収金の公会計化について」でございます。
公会計化を進めるためには、学校設置者において、徴収システムの開発費や徴収管理に係る人件費のコスト負担など、一定の課題がございます。
一方で、「会計処理の透明性」が確保されるととともに、給食費の収入状況に関わらず食材が安定して購入できるという「支出の安定性」や、教員の負担軽減などのメリットがございます。
こうしたことから、現在、県内では28市町村が学校給食費について公会計を実施しております。
県といたしましては、国のガイドライン作成過程を注視するとともに、市町村教育長に対して、国の動きや既に公会計を実施している事例について情報提供し、公会計化のメリットを伝えてまいります。
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