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掲載日:2023年5月10日
全国における統計では、平成24年まで14年間連続で3万人を超える自殺者数が続きました。本県においても、平成21年のピーク時には過去最悪の1,796名の方が自殺によって命を絶っております。県では同年から本格的な自殺対策をスタートさせ、翌年の平成22年からは自殺者数は減少を続け、昨年平成29年には1,182名の自殺者となり、ピーク時より614名減少という状況となっています。しかし、依然として1,100名を超える人々が自ら命を絶つという痛ましい状況が続いています。
そうした中で、平成28年には国の自殺対策基本法が大改正され、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、これに対処していくことが重要な課題となっている」と目的規定に追加され、文字どおり、自殺対策は生きるための包括的支援と位置付けられました。
そして、この改正に伴い、都道府県も地域の実情などを踏まえて自殺対策計画を定めることとされ、本県も昨年秋に埼玉県自殺対策計画(案)が立案され、県民コメントも終わり、いよいよ議会に報告されるに至っています。そうした状況を踏まえ、本県の自殺対策について幾つかの質問をさせていただきます。
まず、自殺対策計画は各市町村も定めることとされていますが、県内市町村の策定に向けた状況はどうなっているか、また、各市町村の策定に対して県はどのような位置に立ち、アドバイスや手助けをしているのか、お示しください。
次に、本県の自殺者数の推移を見ると、若者の自殺者については、対策が結果を残しているとは言いがたい状況だと思われます。特に高校生へのSOSの出し方に関する教育の実現など、でき得る対策は素早く行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、座間の事件のときのようにSNS上におぼろげな自殺願望をほのめかせたことを悪用され、命を奪われるような痛ましい事件に遭遇しないためにどう対策を講じていこうと考えているのか、お示しください。
次に、暮らしとこころの総合相談会については、現在、大宮駅近くで月2回、定期的に開催されているとのことですが、その利用状況と今後の展望について、そして相談会の検証は委託先に任せるのではなく、県として責任を持って実行し、今後に生かしていく必要があると考えますが、見解をお示しください。
次に、自殺者の削減に向けて大きな鍵になる自殺未遂者対策について伺います。
自殺におけるハイリスク者と言われる自殺未遂者への対策は、自殺を未然に防ぐために今後も重要な課題です。特に、未遂者の再企図は未遂後6か月以内が多いと言われているため、その間にどのように対応できるかが鍵だと言えます。そこで、本県における自殺未遂者への対応の実態把握はどのように進められているか、お示しください。
また、未遂の状況で救急搬送されたとき、その後の再企図へと進まないためには、医療機関や救急で知り得た情報を的確に提供する仕組みづくりがどうしても必要になってくると考えますが、個人情報保護という壁を乗り越え、相談機関へとつないでいく工夫をどのようにとっていけるのか、見解をお示しください。
最後に、計画を推進するための県庁内の連携について伺います。
自殺対策が生きるための包括的支援と位置付けられた今、本県における対策推進の総本山となる県庁においては、あらゆる角度からの庁内連携が求められていると考えます。そこで、対策が本格化された平成21年からどのように庁内連携が図られてきたのか、また、更なる自殺者削減に向けて今後どのように連携を深めていこうとするのか、お示しください。
以上、保健医療部長より御答弁ください。
A 本多麻夫 保健医療部長
まず、「市町村の自殺対策計画の策定状況」ですが、策定済みが1市、平成29年度策定予定が3市町、30年度策定予定が35市町で、31年度以降に策定を予定している市町村が24市町村となっております。
次に、「市町村の自殺対策計画策定に対し、県はどのような位置に立ちアドバイスや手助けをしているのか」についてございます。
県では、国の自殺総合対策大綱や、県自殺対策推進ガイドラインなどに基づき、市町村の計画策定に必要な情報提供や助言などの支援を行ってまいりました。
また、平成29年2月には、市町村長を対象としたトップセミナーを開催し、同年7月には、市町村の担当者を集めた説明会なども実施しております。
その他、県の職員が直接、市役所に出向き、計画策定について助言を行ったほか、市長会、町村会においても説明を行っております。
今後も、計画策定について、市町村へのきめ細かな支援を行うとともに、進捗状況についても確認をしてまいります。
次に、「高校生へのSOSの出し方に関する教育の実現」についてでございます。
若者たちの自殺を予防するためには、様々な困難やストレスを受けた場合の対処方法を身に付けてもらうとともに、信頼できる大人へ躊躇なく相談してもらうことが重要です。
こうしたことから、県では、高校生に対して、「ひとりで悩まず誰かに相談しましょう。」というメッセージと相談窓口を掲載したカードを作成し、全生徒に配布しております。
あわせて、「SOSの出し方に関する教育」を実施する際には、保健師や社会福祉士などの参画が重要と言われています。
そのため、学校と地域の専門家の連携や協力がスムーズに進むよう促してまいります。
次に、「SNSの悪用への対策」についてでございます。
SNSについては、地域を超えた全国的な対策が求められることから、現在、国において、事業者等と対策を検討しているところです。
県としても、国とも連携しながら、悲惨な事件が再び起きないよう、対応を考えてまいります。
なお、県では自殺対策に関する情報をツイッターに登録し、相談窓口などについての情報を発信する取組を始めました。
SNSには、現在実施している電話相談や面接相談といった既存の相談支援活動とは異なったノウハウが必要となるなど難しい課題がございますので、今後、どの様な対策が効果的なのか研究してまいりたいと存じます。
次に「『暮らしとこころの総合相談会』の利用状況と今後の展望」でございます。
平成29年度の2月までの相談者は延べ359人、1回当たりの相談者は16.3人となっています。
毎回、様々な深刻な相談が寄せられており、県としては事業をしっかりと継続していきたいと考えております。
次に、「『暮らしとこころの総合相談会』を県が責任を持って実行し、今後に生かしていく必要がある。」についてです。
「暮らしとこころの総合相談会」は民間団体に委託しておりますが、毎月、委託先の職員や支援者と打合せを行い、相談会の方針などの検討を行っております。
こうした検討結果を基に、県として責任を持って運営を行い、今後に活かしてまいります。
なお、この相談会は、精神保健福祉士や臨床心理士、弁護士といった専門家や民間団体とのネットワークを作っていく上でも大変重要であると考えております。
次に、「自殺未遂者への対応の実態把握」についてです。
県では、平成27年度に、県医師会に委託し、自殺未遂者に関する調査を行いました。
この調査によりますと、自傷などにより救急医療機関を受診した方の内、精神科に入院又は転送された方が約2割、精神科への受診を勧められた方が約5割となっております。
今後とも実態の把握に努めてまいります。
次に、「個人情報保護の壁を越え、自殺未遂者を相談機関へとつなぐ工夫」についてです。
行政や支援機関であっても、本人や家族の同意なしに情報を相談機関と共有することは困難です。
そのため、自殺未遂者やそのご家族の方が、悩みや心の問題を相談できる場所などについて入院先で知ることができるよう、パンフレットなどを作成し、救急搬送先の病院に置いていただく予定です。
また、県では、医療関係者や消防職員などを対象に、自殺未遂者への対応などについて研修を行っています。
今後も、自殺未遂者やその家族に適切に対応できるよう医療関係者や消防職員等との連携強化に努めてまいります。
次に、「庁内連携の推進」についてです。
県では、庁内の関係各課所をはじめ、国の労働行政部局、精神科医師、弁護士、学校関係者及び民間団体などで構成する「埼玉県自殺対策連絡協議会」を平成21年度に設置し、毎年開催しています。
この協議会では、県内における自殺の実情を基に専門家や関係者などから意見をお聞きし、庁内関係部局間の情報共有、連携を図っております。
また、県行政として行うべき対策を具体的に検討し、庁内の連携・調整を図るため「自殺対策関係課所連絡会議」を設置し、自殺対策の推進に向け、話し合いを行っています。
仕事や生活、借金、若者の自殺の問題など、多岐にわたる問題を包括的に支援していくため、引き続き庁内の連携を深めるよう努めてまいります。
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