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掲載日:2026年3月17日
Q 木村勇夫 議員(民主フォーラム)
人口減少と高齢化の進行に加え、気候変動による高温や豪雨の頻発など、本県農業を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。農林水産省の調査によれば、基幹的農業従事者の平均年齢は約68歳に達しており、担い手の減少と高齢化は深刻であります。
こうした中、従来の延長戦上の政策だけでは農業の持続性を確保することは困難であり、もうかる農業への転換をいかに実現するかが重要であると考えます。県は、これまでスマート農業の推進や農地の集積、担い手の育成などに取り組んできましたが、現場では初期投資の負担や費用対効果への不安などから導入が進まないとの声もあります。
そこで伺います。
令和3年度から7年度を期間とする農林水産業振興基本計画について、もうかる農業への転換という観点からどのように成果を総括しているのでしょうか。また、その成果と課題をどのように分析し、今後の農政にどのように生かしていくのか、知事の見解を伺います。
また、他県ではスマート農業機械の共同利用やリース方式などにより初期投資の負担を抑えつつ、省力化と所得向上を実現している事例も見られます。本県においても、単なる導入件数ではなく、所得向上や費用対効果の観点から成果を評価し、成功モデルを構築し横展開していくことが重要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
さらに、担い手の確保についても伺います。
人口減少社会においては、若者に限らず中高年層や他産業からの参入者、定年後世代など多様な人材を担い手として位置付けることが不可欠であります。本県は今後、どのような人材像と経営モデルを描き、持続可能な農業構造を構築していくのか、知事の所見を伺います。
人口減少と気候変動という大きな変化の中で、農業政策は転換期にあります。本県農業を持続可能な成長産業へと転換し、農業者が将来に展望を持てる環境をどのように実現していくのか、知事の明確なビジョンをお示しいただくことを求めて、質問といたします。
A 大野元裕 知事
本県では、令和3年に埼玉県農林水産業振興基本計画を策定し、収益力の向上や競争力の強化などに取り組んでまいりました。
その結果、本県の農業産出額は、令和6年には1,929億円と、計画当初の令和3年と比較して1.2倍以上、額にして400億円以上増加しました。
これは、「あまりん」、「彩玉」をはじめとする県育成品種が市場から高い評価を受け販売単価の向上につながったこと、また、大消費地に隣接し、食品産業が多数立地している本県の特性を生かし、市場を通さずに産地と実需者が安定的に直接取引する「契約取引」の拡大などに取り組んだ成果も出てきているのではないかと考えます。
他方、物価高騰の影響で、生産資材価格はこの5年間で2割以上増加の水準で高止まりするなど、経営コストの負担が大きくなってきていることから、販売収入をこれまで以上に増大させていくことが重要です。
そこで、令和8年度からの次期農林水産業振興基本計画においては、農業経営体の販売収入を、最新値から30パーセント増やして年間約1,500万円とする新たな目標を掲げています。
目標の実現に向け、近年の本県農業への評価の高まりという追い風を生かし、消費者や実需者のニーズに応える県産農産物の供給を通じた高付加価値化を図るとともに、担い手への農地の集積・集約、ほ場の大規模化、スマート農業技術の導入などにより「儲かる農業」の実現に努めてまいります。
次に、スマート農業についてであります。
農業従事者の減少や高齢化が進む中、農作業の効率化・省力化を実現できるスマート農業技術の導入は、儲かる農業の実現に不可欠です。
他方、スマート農業機械は高額であり、投資に見合った収益の見込みが立ちにくいことなどが導入に当たっての課題となります。
そこで、県では、令和2年度から令和4年度までの実証事業として、モデル農家にスマート農業機械を導入し、費用対効果の検証を実施しました。
その結果、例えば、無人自動運転田植機の実証では、初年度から、導入経費を大きく上回る売上げの増加を計上するなど、多くの事例で高い費用対効果を確認することができました。
これらの検証結果については、農業者や農業機械メーカー、研究機関等に向けてメールマガジンでお知らせするとともに、広くホームページでも発信しています。
また、スマート農業の横展開を図るため、スマート農業技術の導入を支援する事業を、令和7年度2月補正予算案に計上させていただいています。
本事業は、スマート農業機械の導入を後押しするために、その費用の3分の2を補助するものであります。
なお、補助申請に当たっては、あらかじめ中小企業診断士などの専門家による費用対効果の診断を受けていただくスキームとしました。
こうした取組を通じ、実証事業から更に一歩踏み込み、儲かる農業を実現できるスマート農業の横展開を進めてまいります。
次に、担い手の確保についてであります。
2025年農林業センサスによると、本県の基幹的農業従事者は10年前と比較して約5割減少しており、担い手の確保は喫緊の課題です。
こうした状況の中、県では幅広に担い手確保の取組を進めているところですが、「儲かる農業」という観点からは、とりわけ将来的な飛躍が期待される若手農業者や、地域の中心的担い手となり得る農業法人による営農を促進することが重要と考えます。
農業を志す若い方々については、農業大学校における農業教育の充実を図るとともに、明日の農業担い手育成塾での実践的な指導を通じて、知識と技術の習得を支援してまいりました。
また、法人については、高度な生産技術を有する農業法人や、効率的な経営のノウハウを有する企業の農業参入を支援しているところであります。
こうした取組の結果、売上2億円を超える実績を確立した若手農業者や、新たに異業種から「あまりん」の生産に参入し、「儲かる農業」を実現している農業法人が誕生しています。
こうした事例は、後続する新規就農者や参入企業にとって、大変有効な経営モデルです。
担い手確保は幅広な取組が必要ですが、「儲かる農業」を実現するためには、若手農業者と農業法人を重点的に支援し、継続的な利益を確保できる持続可能な農業を推進してまいります。
次に、農業政策についてであります。
人口減少と気候変動という大きな構造変化の中で、農業政策が転換期を迎えているという議員の御指摘はそのとおりと認識します。
私はかねてから、本県は「人口減少・超少子高齢社会の到来」、「激甚化・頻発化する自然災害などへの危機対応」という2つの歴史的課題に直面している、と申し上げてきております。
農業分野において、この2つの課題に対応するには、収益力・生産性の向上や、先に申し述べた「担い手」の確保、そして高温化をはじめとする気候変動への対応が特に重要であると考えます。
まず、持続的な経済成長を実現するためには、需要の縮小に対応する販売強化と担い手の減少を克服する生産性の向上が不可欠です。
大消費地に近いという本県の地理的優位性と本県農業への追い風を生かした県産農産物の高付加価値化・販路拡大や、スマート農業とほ場の大区画化による効率的な農業を推進してまいります。
その一方で、議員御指摘の中高年齢を含む農業参入人口の増加や利益率の高い兼業農家の育成などにも力を入れる必要があります。
また、気候変動による影響として、特に高温化は、病害虫の発生、農作物の品質低下や収量減少など、本県農業にとって大きな脅威となり得るものであります。
このため、生産現場における温室効果ガス排出抑制の取組を推進しつつ、イネカメムシの対策強化、ハウスの高軒高化やかん水施設などの環境整備支援、暑さに強く食味もよい「えみほころ」の生産拡大や、AIを活用した高品質ないちごの栽培技術の確立などを進めてまいります。
これらの取組を進めることによって、他の産業と比較しても経済的に魅力を感じられる「儲かる農業」を実現できるよう、しっかりと取り組んでまいります。