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ページ番号:280314
掲載日:2026年3月17日
Q 田村琢実 議員(自民)
本県の児童養護施設22施設には、令和7年4月の時点で1,115人の児童が在籍しています。そのうちの約62.8パーセントに当たる700人が虐待経験を有しており、子供たちが抱える心の傷は深く、専門的なケアの必要性はかつてないほど高まっています。こうした現場の切実な実態を踏まえ、以下の点について伺います。
現在、施設には知的障害11.9パーセント、ADHD12.9パーセント、反応性愛着障害10.2パーセントなど、多様な特性を持つ児童が増加しています。また、暴力や自傷、不登校といった処遇困難な状況にある児童は、全体の4割を超えています。施設側からは、現在の4対1の配置基準では対応が限界に達しており、2対1あるいは1対1への引上げを求める切実な声が上がっています。本予算案でも人材確保支援が盛り込まれていますが、ケアの質の担保と職員の負担軽減に向け、更なる配置基準の見直しや加配への財政支援について、知事の見解を伺います。
次に、施設の運営を支える人材確保は危機的状況にあります。令和7年度の調査では、予定した人材を確保できなかった施設が22施設中18施設に上り、確保できなかった人数は89人に達しています。また、退職者の約33.7パーセントが1から3年目の若手職員であり、条件の良い他県や他業種への流出が止まりません。本予算案で新たに計上された就職準備金の貸付けや奨学金返済支援などの施策を単なる一時的な支援に終わらせず、若手職員が将来に希望を持って働き続けられるよう、メンタルヘルスケアの強化や処遇の抜本的改善にどうつなげていくのか、知事の所見を伺います。
次に、施設を卒業した子供たちの自立も大きな課題です。令和7年度から5年度の統計では、卒園後に大学へ進学した者の23.7パーセントが中退し、就職した者の51.7パーセントが離職を経験しています。現在、施設職員は延べ1万回を超える膨大なアフターケア業務を行っていますが、これは本来の業務外であり、職員の多大な努力に支えられている側面があります。子供たちが社会に出た後も孤立せず学びや就業を継続できるよう、外部機関と連携した伴走型支援の強化や施設がアフターケアを専門的に担える体制構築に向けた支援について、知事の所見を伺います。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、児童養護施設には虐待を受けた経験を有するなど、ケアニーズが高い児童が多く入所しており、職員の負担は非常に大きいと認識しています。
職員の配置基準や加配に対する財政措置は、国が制度設計をしており、その見直し等については国の責任で行われるべきものです。
このため、県では、国に対し、配置基準の見直しを要望するとともに、ケアニーズの高い児童を受け入れた場合の加算を創設するよう要望しており、今後も引き続き強く国に対し要望してまいります。
次に、就職準備金貸付などの施策を一時的な支援に終わらせず、若手職員が将来に希望を持って働き続けられるよう、メンタルヘルスケアの強化や処遇の抜本的改善にどう繋げていくのかについてであります。
職員が将来に希望を持って働き続けられるようにするためには、働きやすい環境を整備することが重要と考えます。
ここ数年、職員の離職率は上昇傾向にあり、離職者の多くが処遇困難な児童への対応等の負担により精神的疲労が蓄積し離職する実態があると聞いております。
そこで、令和8年度からは、施設の実情に詳しい心理カウンセラー等が巡回相談等を行う「メンタルヘルス積極支援」を新たに実施してまいります。
この取組は、精神的に疲労した職員に寄り添い、支援することで離職防止を図るものですが、併せて、寄せられた相談事例を収集・分析し、労働環境やサポート体制など、職場の課題の把握も行います。
職員個人のケアに加えて、職場環境の改善を図ることで、メンタルヘルスケアの強化に取り組んでまいります。
一方、職員の処遇改善につきましては、これまで、人材確保等を促進するため、職員に直接届く支援を実施してまいりました。
具体的には、令和6年度から、各施設から職員に支給される住宅手当に県が上乗せ補助をする事業を実施し、令和7年度からは対象職種を心理職員等まで拡大するなどしたところであります。
他方で、児童養護施設における処遇改善加算といった措置費の増額による改善についても、国が制度設計を行っており、国の責任において行うべきであり、国に対し、児童養護施設職員の過重な勤労実態を改善するための、措置費の人件費部分について更なる改善を進めるよう要望をしているところでございます。
今後も、児童養護施設の職員が、将来に希望を持って働き続けられるよう、メンタルヘルスケアの強化や処遇の抜本的改善に向け取り組んでまいります。
次に、施設を卒園した子供たちの自立のために、外部機関と連携した伴走型支援の強化や施設がアフターケアを専門的に担える体制構築に向けた支援についてでございます。
児童養護施設等を退所した子供たちは、生活や就労など様々な困難を一人で抱えることが多い状況にあり、退所後の支援は非常に重要と認識します。
このため、県では、民間団体等と連携しながら施設等退所者の自立支援に取り組んでおります。
具体的には、一般社団法人コンパスナビに運営を委託している「クローバーハウス」において、退所者が気軽に立ち寄れる居場所を提供するほか、電話やSNS等により様々な相談に応じるなどの支援を行っております。
また、大学等に進学した退所者に低額の住居を貸し付けるとともに、支援員が生活等の相談に応じる「希望の家」事業を行っています。
一方、国においては、施設による退所者の支援強化のため、措置費に加算を設けていますが、実際に行われている支援内容に対して十分ではないなどの課題もあると伺っております。
そのため、施設がより一層、退所後の自立支援に取り組むことができるよう、自立支援担当職員の増配置等に関わる加算の見直しにつき、国に要望してまいります。