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ページ番号:280305
掲載日:2026年3月17日
Q 田村琢実 議員(自民)
釈迦に説法となりますが、政策を立案する際に大変重要となるのがエビデンスであります。前提の条件や情報が誤っていては、政策効果に大きな問題が生じるからであります。
例えば、男女共同参画の施策を考える際に、男性脳、女性脳という男女の脳の違いがあるという近年の研究では否定されつつあるエビデンスを持ち出し議論することは、男女共同参画の本質を見間違うものになります。そこには社会的、潜在的な男女の性的役割分担が隠れているからであります。
エビデンスに基づく施策の推進の重要性を指摘しつつ、誰もが暮らしやすい埼玉の創造について伺います。
まず、いわゆる外国人問題への対策と多文化共生社会の実現に向けた課題について、知事の見解を伺います。
本県、特に川口市や蕨市などにおいて、外国人住民の増加に伴う生活マナーの問題や地域住民との摩擦が顕在化しています。私たちは互いの尊厳を認め合う共生社会を目指す一方で、法秩序を軽んじる行為や安全を脅かす事態には厳正に対処しなければなりません。外国人に基本的人権がないなどという法外無知な思想で政策を展開するのではなく、法の支配を前提とした冷静な対応が必要と感じ、以下4点について伺います。
川口市の治安状況について、一部で外国人が増えて犯罪が急増したとの声がありますが、客観的なデータに基づく冷静な分析が必要です。実は川口市の犯罪認知件数は平成13年のピーク時と比較すれば、警察や地域による防犯活動の尽力もあり、大幅に減少しています。当時の刑法犯認知件数と現在を比較したとき、外国人住民の増加が治安に与えている影響をどう分析されているのか、偏見ではなく事実に基づいた治安対策を強化すべきと考えますが、知事の認識を伺います。
また、地方自治体の抱える諸問題の多くは、国の入国管理政策に起因する側面が多分にあります。これに対し、知事は日本とトルコの短期滞在のビザ免除を一時的にやめてほしいとの要望を外務省に行っていますが、特定地域のみを対象にしたやり方はヘイトにつながる可能性を高めるなど、行政の行為としては著しく問題があることを指摘させていただきたいと思います。
出入国在留管理庁は、不法滞在者の摘発と排除を掲げています。しかし、仮放免者が収容できず、困窮し地域にとどまり続ける仕組み自体に無理があります。県として国に対し厳格な入国審査と不法滞在、不法就労の徹底した取締りに加え、仮放免制度の抜本的な見直しなど、地方に負担を押しつけない責任ある入管行政をより強力に求めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
さらに、不法滞在対策は国の仕事ですが、適法に暮らす外国人との生活ルールの徹底は地方の役割です。ごみ出しや騒音などのマナー違反は、文化の差ではなくルール遵守の問題です。全国の先進事例を参考に多言語での徹底した指導やルールを守らない者への毅然とした行政指導など、地域住民の不安を解消するために具体的な共生施策が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
一方で、特定の国籍や民族を標的にし、差別をあおるヘイトスピーチが社会問題化しています。さきの川口市長選挙においても、とても残念な言動が目立ちました。これは共生を妨げるだけでなく、健全な批判をも埋没させ、社会の分断を招くものです。本県でも、インターネット上の誹謗中傷やデモにおける差別的言動に対する啓発活動が進められていますが、これ以上の差別増長を防ぎ、全ての県民が安心して暮らせる社会をつくるために、知事の決意を伺います。
A 大野元裕 知事
川口市の刑法犯認知件数は、ピークの平成13年の16,657件に対し令和7年には4,417件と、その間在留外国人数が約4倍に増加しているにもかかわらず大幅に減少をいたしました。
最近でも、令和6年と令和7年では国の刑法犯認知件数は4.9パーセント悪化しているのに対し、川口市を管轄する川口署と武南署では逆に2.3パーセント改善と、国との間で比較すれば、約7.2ポイント上回って改善をしております。
したがって、外国人住民の増加が治安に影響を与えているという明確なファクトはございません。
議員お話しのとおり、ファクトに基づけば、これまでの県の取組が刑法犯認知件数の減少に寄与しており、こうした取組は続ける必要があると考えております。
一方、本県は警察官一人当たりの人口負担が全国一多く、県全体の治安強化のための増員を強く国に要望した結果、令和7年度に引き続き令和8年度も全国最多の175人の増員が認められました。
要望を強く行ってきた結果と考えておりますが、今後も地域の治安維持体制強化に努め、県民の安心・安全を守ってまいります。
次に、「責任ある入管行政」をより強力に求めるべきについてであります。
県は、出入国に関する権限がなく不安定な在留資格で滞在する外国人の増加を抑制できないことから、責任ある入管行政を国に要望してまいりました。
埼玉県におけるトルコ国籍者の半分程度が、難民申請者などに与えられる特定活動の在留資格で滞在しており、他の地域に見ることができない特異な状況にございます。
国は、令和5年の法改正により、就労が可能となる監理措置制度を設けていますが、不安定な在留資格であるがためにコミュニティの形成を前提としにくい特定活動の滞在者が埼玉県に集まっている状況に今も変化がありません。
このため、相互査証免除措置の一時停止により他の国籍の者と同様の対応とすべきことを求めたものであり、特定の国籍者を他の国籍者と比較して不利な状況に置くことは求めるつもりはございません。
適切な出入国在留管理の徹底は国の責務であり、責任ある出入国管理を国に対し引き続き求めたいと思います。
次に、具体的な共生施策であります。
共生の核となる生活ルールの徹底は、外国人住民に最も身近な基礎自治体である市町村の役割が重要であります。
県では、各市町村が地域の実情に合わせて生活ルールを周知できるよう、日本の生活に関する共通の基本事項について、多言語による生活ガイドを作成しています。
例えば、ごみ出し等のトラブルとなる事例を紹介するなど、ルール遵守の必要性がより効果的に伝わるよう毎年度更新しており、引き続き工夫してまいります。
他方、地域住民の不安の解消に向けては、ルールの遵守だけではなく、日本人・外国人双方の交流や相互理解も必要と考えます。
この大きなハードルの一つが言語の壁であることから、県では、やさしい日本語の普及や、住民同士の交流にもつながる日本語教室などの支援を行っています。
多文化共生社会の実現に向け、生活ルールの遵守と住民同士の交流や相互理解の両面から、引き続き、県と市町村が連携してそれぞれの役割を果たしながら、誰もが暮らしやすい地域づくりに取り組んでまいります。
次に、差別増長を防ぎ、全ての県民が安心して暮らせる社会をつくるための決意についてであります。
いわゆるヘイトスピーチ解消法は、前文において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されない」と宣言しております。
また、議員御指摘のとおり、不当な差別的言動は、地域社会に分断を招きかねないものであり、徹底して排除されるべきものであります。
この考えを県のホームページに私のメッセージとして掲載するとともに、県議会やあるいは記者会見などの場でもこれまでも訴えてまいりました。
また、企業や民間団体、市町村を含めた県民総ぐるみの「人権尊重社会をめざす県民運動」の実施や、女子サッカーWEリーグの選手による啓発動画などを通じ、人権意識の高揚を図っております。
今後も引き続き、企業、民間団体、市町村、県民と協力し、「ヘイトスピーチは許さない」との決意を持って全力で取り組んでまいりたいと思います。