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掲載日:2026年3月17日
Q 田村琢実 議員(自民)
令和8年度当初予算案において、本県は更なるDXの推進による県民サービスと生産性の向上を掲げておりますが、急速な人口減少と人手不足が深刻化する中で行政組織が持続可能なサービスを提供し続けるためには、既存業務の徹底したAI化による抜本的な改革が不可欠です。
そこで、以下の点について伺います。
まず、行政における電話対応は、依然として多くの人的資源を割いている領域です。例えば東京都世田谷区では、AIボイスボットを活用した電話自動対応システムを導入し、24時間365日の問合せ対応や特定の窓口への自動転送、交換業務の効率化を先行して進めています。本県においても、本庁や地域機関における電話交換業務や定型的な問合せ対応について、世田谷区のような先進事例を参考にAIによる自動化を全面的に導入する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
次に、本予算案では、RAG(検索拡張生成)を活用した生成AIにより職員が要領等の検索性を向上させ、業務の高度化を図るとしています。これをさらに一歩進め、電話や対面での一時対応をAIが担い、その内容をリアルタイムでテキスト化、要約して担当職員に引き継ぐ仕組みを構築する必要があると考えます。AIを単なるツールではなく、職員の負担を軽減する伴走者として位置付けることで、職員がより専門性の高い政策展開や直接的な対面支援に注力できる環境をどう整えていくのか、知事に伺います。
さらに、日進月歩のAI技術に対し、効果が明らかなAI導入については先行自治体の知見を積極的に取り入れ、即応的に実施する必要があります。将来の経費削減とサービス向上に直結するAI投資へ重点配分する知事の決意を求めます。
A 大野元裕 知事
人口減少・超少子高齢社会においては、限られた職員であっても、複雑・多様化する県民ニーズに応える行政サービスを提供していかなければならず、AIの活用は、それらに大きく貢献し得ると認識をしております。
そこで、「電話交換業務」については、職員の負担軽減と行政サービスの維持を目的とし、県では令和7年12月に消費生活支援センター川口本所において、相談受付にボイスボットを導入し、相談者から受付に必要な情報をAIが聞き取り、相談員につなげる取組を始めたところであります。
他方、県庁全体の「電話交換業務」については、内容が多岐にわたるほか、取り次ぎ先を判断するのが難しいケースも多く、処理の困難度が高いため、現段階では全面的な自動化にはまだ多くの課題があると認識しています。
AI技術は着実に進歩しており、近い将来には実用可能なレベルに達することが見込まれることから、試験的導入も視野に入れ、検討を進めてまいります。
もう一点お話しのあった、「定型的な問い合わせ対応」につきましては、導入事例も多く、AIが得意とする分野であります。
現在、自動車税に関する定型的な問い合わせをホームページのチャットボットにより回答するなど、AIによる自動化を行っております。
また、令和8年度当初予算案では、新たな取組として、移住相談において、生成AIを活用したチャットボットの窓口を開設する事業を計上しているところです。
AIの活用は、職員がより高度な業務に専念できる環境づくりにもつながります。
県としては、技術の可能性を前向きに取り込みながらも、先行自治体の事例も参考にしつつ、こうした取組の効果検証を通じ精度や県民の受け止めを確認し、県民サービスの質を損なわないよう、バランスを取りながら導入を進めてまいります。
次に、AIを職員の負担を軽減する「伴走者」として位置付けることで職員により専門性の高い政策展開や、直接的な対面支援に注力できる環境の整備についてであります。
近年、生成AIの登場によって実現できることが飛躍的に増え、作業が圧倒的に効率化しています。
こうした技術は、単なる自動化ツールではなく、私たちを拡張する存在として、これからの仕事の質を決めていくこととなり、生成AIをどう使いこなすかが問われています。
そこで、まずは全ての職員が「自分ごと」として取り組めるよう、令和6年度に全職員が生成AIを使うことができる環境を整え、その活用を進めた結果、「AIタマちゃん」の利用率は約6割にのぼり、1月の利用件数は6万5,000件を超えております。
また、具体的な業務へのAIの活用として、例えば児童相談所の相談業務において、会話を文字起こしし、参考資料を自動表示するヒアリング補助システムにより、職員の相談対応の高度化・記録作成の効率化を図っております。
議員お話しの「検索拡張生成」、いわゆるRAGと呼ばれる回答精度の高い新技術についても、来年度「未来型オフィス推進事業」において導入をし、職員の業務の高度化・効率化を図ります。
この事業では、まず、環境部、農林部、都市整備部の3業務を対象に導入を進め、その効果を検証するとともに、今後、対象業務の拡大を行ってまいりたいと考えます。
このような生成AIの活用をより一層進め、今の技術の中でどのような取組が有効か、想像力を働かせながら、職員がより専門性を発揮し、県民サービスの向上に注力できる環境を構築してまいります。
次に、将来の経費削減とサービス向上に直結するAI投資への重点配分の決意であります。
議員御指摘のとおり、日進月歩のAI技術においては固定的な計画にとどまれば、技術革新のスピードに追い抜かれてしまいます。
県民サービスの向上や業務効率化を図る上で、AI活用は不可欠であり、効果が明らかで即応性が求められる分野につきましては、従来の枠組みにとらわれず、迅速に導入を進める必要があります。
他方、AI技術については、まだまだ未完の部分もあり、AIが不正確な情報生成を行う、いわゆるハルシネーションへの対応も含め、安定的かつ継続的な行政サービスの提供の観点から、技術の導入に当たってはその見極めを行う必要があります。
AI投資が中長期的に大きな効果を生む領域は広く、その活用が期待されます。
そのため、引き続き費用対効果も見極めつつ、有効なAI技術はスピード感をもって積極的に取り入れることで、県民サービスの向上と持続可能な県政運営の両立を図っていく所存であります。