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ページ番号:170376

掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(横川雅也議員)

災害対策本部と埼玉版FEMAの機能と役割について

Q   横川雅也  議員(自民

これまでの災害対応は、災害対策本部を中心に被害状況の把握や被害に応じて市町村への支援内容を明らかにするとともに、国や県の関係機関などへの働き掛けや被災自治体との情報の共有、事務作業の支援として職員派遣などが主であったと思います。しかしながら、FEMAが立ち上がった際の県の災害対応の機能は、災害対策本部なのかFEMAなのか、どこが果たすのかが不透明であります。
ちなみに、知事の言われるこのFEMAという組織は、ブッシュ大統領時代の組織改編でアメリカ国土安全保障省に編入され、危機管理能力の向上が期待されたものの、逆に指揮系統が混乱し、2005年に相次いだハリケーン災害での政府の対応が遅れたといった組織的な問題が報道されました。埼玉県においても指揮系統の混乱が懸念されます。
そこで、伺います。災害対策本部とFEMAの組織的な位置付け、関係性はどのようになるのか、また、それぞれの機能や役割の違いについてお聞かせください。
2点目、そしてFEMAの組織の長、統括は誰が担うのか。知事公約策定の段階で誰が長を務めることを想定していたのか、知事にお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

「災害対策本部と埼玉版FEMAの機能と役割について」でございます。
災害対策本部は、今回の台風第19号のように重大な災害に対して、全庁が一体となる、災害対応に当たるための非常時の体制です。
これに対し、埼玉版FEMAは、平時において起こり得る災害をあらかじめ想定し、その規模や種類に応じて対応する官民の組織、団体、企業などを定め、時系列的に実施すべき行動をあらかじめ取り決めておくものであります。
この取り決めに基づき災害対応のシナリオを作成し、図上訓練を繰り返し、災害対応力を高めていく手法であります。
実際に大規模な災害の発生により立ち上がった災害対策本部は、このシナリオに従い迅速に初動体制で当たることができるものと考えております。
横川議員御指摘の、ハリケーン災害に関わる組織的な問題についての代表的なものとは、ハリケーンカトリーナが米国南部を襲った際に、米国連邦政府の下の実動部隊との連携についての問題と理解をしています。
その一方で、当時は米国政府の対応の遅れをFEMAに押し付けたという評価もございます。
しかしながら数多くの実動部隊を持つ米国連邦政府の組織と実動部隊を持たない県とは自ずと異なってまいります。
そもそも、災害ごとに役割や時系列に沿った行動をあらかじめ定め、繰り返し訓練するというFEMAの本質的な機能は、DHS、国家安全保障省の下に組み込まれた現在も、設立当初からほとんど変わっていないと認識をしております。
私はこの機能を取り入れ、本県の災害対応能力を高めていきたいと考えています。
最後に、FEMAの組織の長、統括は誰が担うのか、公約作成時はどう考えていたのかについてでございます。
私がかつて首都大学東京の危機管理講座において、自衛隊、消防、地方自治体関係者等に対して、講義をさせていただいた頃より、県、地方自治体の危機管理体制には疑問がありました。
つまり、公約作成時以前から私が考えていた地方自治体版のFEMA、埼玉版FEMAは、本県の危機管理体制を充実、強化するものですので、県の災害対応全ては、私、知事が統括することに変わりはございません。

再Q   横川雅也  議員(自民

FEMAに対しての考え方等々もよく分かりました。知事のこの質問での答弁の中で、FEMAの役割というところで統括は知事がされる。そして、規模、種類に応じて早急な対応ができるようにした機能、手法であるということが明らかになったと思います。そして、官民の組織を含めて各部門の役割を分けるというような御答弁をいただいたというふうに思います。目的は、迅速に初動体制をとるということで認識をしておりますけれども、そこで知事に伺いたいというふうに思います。
各部門というのは、あくまでもシナリオとも言えるのかというふうに思います。状況に応じて組織をしっかりと分けて、迅速な初動体制がとれるようにするその機能であり、手法であるというような御答弁であったと思います。であるならば、それぞれの部門の長、長に関しては、官民組織から採用されることもあるのかという点について伺いたいと思います。
また、実際に訓練や様々な想定を重ねていく上で、その部門ごとに分けたものが時に応じて組織、部門がくっつくことだって、私はあり得ると思うんです。そのほうが機能性が増すという部分も出てこようかと思います。そうしたケースに対しては、部門分けしたことにとらわれず統合するなり、更に細分化するなどより詳細な、柔軟な対応が災害対応の中では望まれるというふうに思うんです。
ですから、余りに部門に最初に分けたことにこだわることで、災害対応が迅速にいかないということもあり得ますので、私は、その際には知事の判断ですぐに分けて迅速な対応をいただくことが災害対応に一番望まれると思いますし、FEMAが機能とするのであれば、その機能性がいかに発揮されるかというのは、その知事の裁量いかんにもよるかというふうに思います。
ケース、場合に応じたその臨機応変な対応をいただけるかどうか、知事にFEMAの機能を含めて再度御答弁をいただきたいと思います。お願いします。

再A   大野元裕   知事

第1に危機に際して、それぞれの部門が固定的ではなく統合したり、あるいは官民が柔軟に役割を担うこと、そして、2つ目には、事に応じて知事の裁量で臨機応変に対応するかどうか、この2点について御質問をいただいたものと理解しております。
まず、最初に御質問にお答えする前に、今回の御質問につきましては 御提案も含まれていると思っておりまして、建設的な御提案に対して、まずは御礼と評価をさせていただきたいと思っております。
そして、その上で、部門の長がどのような形になるのかでございますけれども、アメリカのFEMA、危機管理庁におきましては、それぞれの事態毎に、プライマリーとセカンダリーというのを分けまして、例えば、○○部については基礎的な、主導的な役割を担う、そして、○○部においてはセカンダリーと言って補助的な役割を担う、このようにシナリオを作っていくのがアメリカのFEMAの手法であります。
その際には極めて柔軟に 例えば、プライマリーという主たる部門が二つあったり、あるいは一つであったりということで、柔軟にやっておりますので、その手法を私も見習わせていただいて、縦割り行政、あるいは固定的なところに必ずしも囚われることなく、対応していきたいと思っております。
他方で、平素の熟練度にも依ると思いますけれども、一般的には民間の組織がプライマリー、主たる役割を担うということはほとんど無いようでございますので、県でこれを主導する以上、主たる役割を担う組織については県の方で担うことを現時点では想定しておりますが、様々な想定が行われる中で、再びこのシナリオについては検討を加えていきたいと思っています。
そして、危機に応じて臨機応変にということでございますが、もちろん、これはなるべく危機に応じても想定外の事が起きないよう、平素から行うものがFEMAの要諦でありますけれども、それでも危機管理に際しては全てのことを想定できるわけではございません。
御指摘のとおり 臨機応変に対応させていただきたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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