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掲載日:2022年8月15日
Q 武内政文 議員(自民)
今年の10月、関東地方を通過した台風第19号により県内各地で堤防が決壊し、甚大な被害に見舞われました。特に川越市と坂戸市境にある越辺川の決壊については、付近の排水ポンプ場の操作が堤防の決壊に重大な影響を及ぼした可能性があり、我々自民党議員団は過日、決壊箇所を視察してまいりました。今回堤防が決壊した越辺川には、埼玉県が管理する飯盛川の排水機場と坂戸鶴ヶ島下水道組合が管理している排水機場の二つがあります。飯盛川排水機場については県から坂戸市に管理業務委託を出しており、実質的に双方とも坂戸市が管理しております。
まず、県から坂戸市に管理委託を出している飯盛川排水機場における問題点を指摘いたします。
今回のように豪雨で河川の水位が上昇した場合、操作要領には「河川の水量が計画高水位に達した場合、排水ポンプを止めなければならない」と定められております。また、県と坂戸市との業務協定書では、職員に危険が迫り避難して無人となる際はポンプを止めることになっております。また、業務受託者は「県の指揮監督に従う」ともあります。
しかし、県が災害対策本部を立ち上げていた10月12日の夜、管理委託を受けている坂戸市は、県が決壊のリスクを説明したのにもかかわらずこの規則に従わず、ポンプを止めずに退避することを主張し、県からの要請を数回にわたって拒否し続け、県の指揮監督には従いませんでした。それを受けて豪雨の中、飯能県土整備事務所の職員が飯盛川まで駆け付ける事態となり、実際、深夜一時に県職員が駆けつけた際には、ポンプは稼働したままになっておりました。この状況は新聞にも取り上げられ、「飯能県土整備事務所は県が管理を依頼している坂戸市に対し、ポンプを止めるよう依頼したが断られた」と報道されております。
ポンプを止めるか否かは管理者にとって大変難しい判断であったことは十分理解できますが、操作要領は河川の特性を踏まえ、知見や理論に基づいて作成されたものであり、県の指導に従って運用すべきであることは言うまでもありません。
一方、坂戸鶴ヶ島下水道組合が管理する大谷川でも「本川の水位が計画高水位に達した場合、排水ポンプを止めなければならない」と定められておりますが、飯盛川と同じように職員が退避してしまい、自動運転にしてポンプを稼働し続けました。その後、13日早朝に堤防は決壊したという次第です。
そこで、県土整備部長にお伺いします。今回の状況を踏まえて、なぜ操作要領に反してこのような対応になったのか、その経緯を明らかにしていただきたい。また、県の業務受託者である坂戸市が業務委託協定に反し県の指揮監督に従わなかったこと、及び受託者である坂戸市の責任について、県はどのように考え、今後どう対応するのか、併せてお伺いをいたします。
また、このように災害の危険が目の前に迫っているとき、災害対策を指揮するトップはどうあるべきか、危機管理、災害対策に造詣の深い大野知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
10月12日から13日にかけて、東日本を直撃した台風第19号は、記録的な大雨などにより本県にも甚大な人的・物的被害をもたらしました。
改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、災害時には、現場が混乱するのは避けられないことです。
このため、平時から災害で起こり得ることをイメージして対応のルールを定め、それに従い行動すること、そして発災から72時間は人命救助と情報収集を最優先することが災害対応の基本的な原則であると考えております。
その上で、このたびの災害対応では、県のトップとして自ら陣頭指揮を執り、一刻の猶予もない中で的確な判断を行うよう意を用いました。
台風が接近する前には、幹部職員を集め台風対策会議を開催し、情報収集体制の整備など準備に万全を期すよう指示いたしました。
そして、台風上陸時には直ちに災害対策本部を設置し、危機管理防災センターでの県内の被害状況を把握するとともに、災害救助法の適用、自衛隊の派遣要請など迅速に意思決定したところです。
さらに、オーストラリア・クイーンズランド州への訪問を取り止め、被災地を訪問して自らの目で状況を確認するとともに、地元の市長などから話をお伺いし、具体的な支援につなげたところです。
あわせて、情報を適切に発信し、県民の方に伝えることが重要です。
台風上陸の2日前には、県民向けにタイムラインを作成し、早めの備えを私から動画で呼び掛けました。
さらに、台風接近から台風が通り過ぎるまでの間には、命を守る行動を取っていただくようお願いするメッセージを、繰り返しツイッターにより発信いたしました。
私は、災害の危険が目前に迫っているときにどれだけ多くの命を救うことができるかがトップに立つ者の最も重要な役割だと考えております。
災害対応の原則を踏まえながら、今後も県のトップとしてしっかりと役割を果たしてまいります。
A 中村一之 県土整備部長
まず、台風第19号における飯盛川排水機場の操作の経緯についてお答えを申し上げます。
県が管理する飯盛川排水機場の操作は、坂戸市に委託しております。
この操作については、事前に定めた操作要領や関連マニュアルなどに基づき行うこととなっております。
当該排水機場の関連マニュアルには、「避難勧告などの発令により退避する際には、運転を停止すること」が記載されておりますが、今回、坂戸市職員は、ポンプの運転を停止せず、退避しております。
坂戸市からは「停止すると飯盛川周辺に大きな被害が発生すると考え、運転を続けていた」と聞いています。
なお、無人運転となったポンプを停止するために県職員が現地に到着した時点では、越辺川上流の水位は低下傾向にあったことから、飯盛川への逆流が起きないことを確認できるまでの間、運転は継続しております。
次に、業務受託者である坂戸市が県の指揮、監督に従わなかったことおよび、市の責任を県はどう考え、今後どのように対応するのかについてでございます。
坂戸市が、台風第19号における飯盛川排水機場の操作において、県と締結している「飯盛川排水機場管理業務委託協定書」に基づき、適切な対応を行わなかったことは、遺憾であります。
県としては、今後、想定以上のことが起きた今般の出水対応を踏まえ、操作の確実性や安全性について再点検し、必要な措置を検討してまいります。
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