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掲載日:2022年8月15日
Q 前原かづえ 議員(共産党)
10月12日、関東地方を直撃した台風19号により、県内では死亡者3名、重傷者1名、住家被害は合計6,254棟、全壊112棟、半壊166棟、床上浸水2,255棟、床下浸水3,370棟と、甚大な被害を受けました。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、この間、限界まで削減されてきた県職員の皆さんがCSF感染防止対策と台風19号などの災害対応と、不眠不休で頑張ってきたことに心から敬意を表します。
強力な台風や集中豪雨が頻発する要因として、地球温暖化が指摘されます。スーパー台風と言われた台風19号では、戦後経験したことのない豪雨によって、県内では国管理の都幾川、越辺川などで複数の堤防の決壊が起こりました。今後の水害を未然に防ぐためにも、無堤地区の早期解消、堤防強化、河道掘削、樹木伐採など河川改修、遊水池の整備など流域全体を対象にした治水対策に力を入れるべきだと考えます。知事の減災、防災についてのお考えをお示しください。
ふじみ野市の元福岡や川越市の寺尾地域は、2年前も台風21号で都市下水川越江川があふれました。「1,000万円かけてリフォームしたのに、今年になってカビが生えてきた。二度も床上浸水に遭い、引っ越したい。でも、障害を持つ家族がいるので無理。もうこんな土地に住みたくないが、買い手はつかない」と、被災者は途方に暮れています。
被災者の生活・生業再建は、何よりも急がなければなりません。党県議団は、発災前の10月11日、災害救助法の適用を県に要請し、県は、災害救助法を40市町村に、その後、ふじみ野市など加え48市町村に適用しました。また、10月15日には、台風19号による被災者の支援のための緊急要望を行い、さらに11月22日に、13市町の議員と住民とともに、県に対し、台風被害復旧・被災者生活再建のための申入れをいたしました。
さて、災害救助法に基づく住宅応急修理制度についてですが、ふじみ野市では、他の自治体に1週間遅れて法適用となったことに加え、市の制度について周知したビラを配布したのが11月1日と遅れたため、周知以前に自費で応急修理を行った被災者が支援を受けられないという事態が発生しました。
危機管理防災部長に質問です。
災害救助法の適用は、発災時に遡及すべきと考えますが、いかがですか。
また、小さな自治体は職員数も少なく、多数の事務連絡、通知が届く中で混乱を極めました。住民にいち早く支援のメニューを周知できるように支援マニュアルを県が示し、職員を応援派遣するなどの県の支援を求めます。
坂戸市では、床上1.2メートルであったために大規模半壊となった住宅の地域は水が引かず、1日半も水没していたため、建替えが必要なのに全壊になりませんでした。被害認定を機械的に行わず、住宅の実情に合った柔軟な対応をすべきと考えますが、いかがですか。
また、16都道府県には見舞金制度がありますが、埼玉県被災者安心支援制度に見舞金制度を創設すべきです。
以上4点、答弁を求めます。
台風の被害は、地域の企業や個人事業主にも及びました。東松山市の電気工事業者は、在庫のエアコンなど全て水没、ケーブルなど電気部品も使い物にならず、被害総額は億単位に上るといいます。高齢の事業者は、「融資では返す当てがない。このまま廃業してしまおうかと思うが、補助があれば少し先の見通しも見える」と、国・県がなかなか補助制度の詳細を示さないことにいら立ちを見せていました。
また、浸水被害に遭った歯科医院は、いずれも1.5メートルの浸水で、ガラス張りの壁が破壊され、診察台、レントゲンなど全て買換えが必要です。県は、今定例会の補正予算で被災事業者への補助金制度を創設していますが、被災個人事業主などの実態に合わせ柔軟な制度とするために、第1に広範な事業者に適用する。第2、既に修理が終わっている場合などにも適用する。第3に、ガラス張りの壁など施設の修繕にも適用する。第4に、補助要綱の周知徹底や交付事務について早急に進めること。
以上4点について、産業労働部長の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
まず、減災・防災の考え方についてでございます。
台風第19号の接近により、県内では過去に大規模な被害をもたらしたカスリーン台風などと肩を並べる規模の記録的な豪雨となりました。
10月16日と17日の2日間、私も被災地を視察いたしましたが、とりわけ国・県管理河川において5カ所が決壊し、甚大な浸水被害となるなど、未曽有の災害の爪痕を目の当たりにし、自然の猛威や脅威を感じました。
県管理河川の強化を図っていく上で、合流先や下流に位置する国管理河川は重要であり、解明された被災原因を基に、堤防の復旧や強化を図るよう、国に要望しているところです。
県管理河川においても、被災した堤防などの災害復旧を早急に進めるとともに、上下流バランスを確保しつつ、河道の掘削や調節池の整備など様々な手段を組み合わせ、洪水時の水位を下げる治水対策を進めてまいります。
一方で、台風第19号の際には、県が管理する39の調節池の合計で1,092万立方メートルの洪水を一時的に貯留するなど、今まで整備してきた治水施設が洪水被害の防止・軽減に確実に結びついています。
引き続き、計画的に河川整備を進めるとともに、国が進める「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」による土砂撤去や樹木伐採などを進めてまいります。
A 森尾博之 危機管理防災部長
まず、災害救助法の適用についてでございます。
このたびの台風第19号では、10月12日に40市町村に災害救助法を適用した後も国と調整を重ね、19日には8市について12日に遡及して適用をいたしました。
なお、被災者が自力で修理業者に依頼して住宅の応急修理を行った場合の取り扱いについて、国の通知では、既に工事が終了し、修理業者への支払いが済んでいる場合は災害救助法の対象にできないとする一方で、工事の途中で支払いには至っておらず、修理業者と市町村との契約を変更することが可能であれば対象としても良いとしております。
次に、住民にいち早く支援メニューを周知するために県が支援することについてでございます。
国では、支援メニューを分かりやすくまとめた冊子をホームページに掲載しています。
県では発災後、速やかにこの冊子の活用について市町村に案内させていただきました。
あわせて、県独自の支援制度を加えた冊子を新たに作成しまして、市町村に提供したところでございます。
また、彩の国災害派遣チームとして県職員と市町村職員、延べ362人を東松山市など3市に派遣して被害認定調査や避難所運営などの業務を支援いたしました。
今後も被災市町村のニーズに応じた支援ができるよう取り組んでまいります。
次に、住宅の被害認定についてでございます。
被害認定の結果は、被災者が受けることができる支援の内容に大きな影響を与えますことから、迅速かつ的確に行われることが重要でございます。
国は被害認定の全国共通基準を定め、調査や判定の方法を具体的に示しており、これに基づいて住宅の壁や柱など部位ごとに詳細に調査して判定することになります。
県では、被害の状況に沿った認定が行われるよう市町村職員を対象に説明会を行ったところでございます。
次に、被災者安心支援制度への見舞金制度創設についてでございます。
県と市町村が共同で運営する被災者安心支援制度につきましては、現在、支援対象の拡充について市町村と具体的に協議を重ねているところでございます。
こうした中で新たな制度を議論に加えることは難しいものと考えております。
A 加藤和男 産業労働部長
まず、広範な事業者に適用するについてです。
国では、被災中小企業を支援するため、自治体連携型補助金を創設し、中小企業支援法に基づく中小企業を対象にすると聞いております。
お話の個人事業主なども一般論では、中小企業者に含まれると解釈されておりますが、現時点では国の制度の詳細が固まっておりません。
できるだけ多くの方の支援ができるよう、引き続き国と調整を行ってまいります。
次に、修理が終わった事業者への対応についてです。
国においては、復旧の前後の確認ができる写真などがあれば、補助対象にする予定と聞いております。
県といたしましても、既に復旧を終えた事業者を補助対象から除外することは、災害からの早期復旧という制度の目的にそぐわないものと考えております。
次に、ガラス張りの壁など施設の修繕にも適用するについてです。
被災前の機能を上回るような修繕については、補助対象外になる可能性がありますが、被災前と同程度に復旧するような修繕であれば、補助対象になるものと考えております。
最後に、補助要綱の周知徹底や交付事務について早急に進めることについてです。
現在、県では一刻も早く被災した事業者の皆様に制度の詳細をお伝えできるよう、国に対して速やかな補助要綱の策定を求めているところです。
今後、国の要綱が確認でき次第、速やかに県の要綱を定め、ホームページで公表するほか、商工会議所、商工会などの協力を得て周知徹底を図ってまいります。
交付事務につきましても補正予算が成立し、準備が整い次第、直ちに申請が受けられるよう事務を進めてまいります。
再Q 前原かづえ 議員(共産党)
半壊に近い一部損壊と認定されれば災害救助法の応急修理が利用できるけど、被災者が自力で修理した場合は資力ありとみなされ、対象外になってしまうということで、この点についてもっと柔軟な対応をということでお聞きしたわけなんですが、確認したいんですけど、修理したけれども、支払いの前であればこの制度の対象になるということであるということで確認していいのかということが一つ。
それからもう一つは、先ほど見舞金の創設については、対象の拡充については協議しているけれども、新たな制度を加えるのは無理だという、すごい非情な答弁をされたんですけれども、再三被害を受けている、毎年毎年被害を受けている方たちは、「今度出たら、もう2階でずっと一生涯住めということでしょうかね」って。「もうとにかく財産も使い果たして修理に対応してきた。でも、もう被害に遭っても、畳さえも上げる気力もない。ぬれた畳の上で過ごすしかない」とか、いろいろ大変な声が聞こえているんですね。
ですから、せめて見舞金制度について、新たな制度を加えるんではなくて、やっぱり対象の拡充について話し合っているわけですから、その拡充を更に被災者の状況に合った形にするためにも、一つの方法として見舞金制度、当座の資金として見舞金制度をきちんと創設する、それを是非考えていただきたいと思うんですが、その点について答弁をお願いしたいと思います。
再A 森尾博之 危機管理防災部長
まず、住宅の応急修理についてでございます。
先程も御答弁申し上げましたとおり、工事の途中で支払いには至っておらず、修理業者と市町村との契約を変更することが可能であれば、対象としてもよいというのが国の通知に書かれてございます。
もう一点、見舞金制度でございます。
現在、埼玉県・市町村被災者安心支援制度につきましては、支援対象の拡充に向けて、市町村と具体的に協議を進めております。
その中で見舞金という新たな制度の創設を議論に加えますと、これまで議論を重ねてきたことに影響を与えてしまう可能性があると捉えております。
まずは支援対象の拡充について市町村と合意形成が図られるよう取り組んでまいりたいと思います。
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