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掲載日:2022年8月15日
Q 松井 弘 議員(自民)
政府は、安倍総理を議長とする全世代型社会保障検討会議で、年金、医療、介護を含む幅広い分野の改革を議論しています。子育て世代への支援を手厚くし、意欲ある高齢者には働きやすい環境を用意することを柱としています。
安倍総理は会議の中で、元気で意欲あふれる高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整えることが必要だ。人生100年時代の到来を見据えながら、改革を更に検討していくとしています。企業には70歳までの雇用を確保する努力義務を課す方針も示し、これまで、現役世代に支えられる側だった高齢者を支え手に変えようとしています。
一方で、高齢者の働く意欲も高くなっています。内閣府の調査によると、働いている60歳以上の人に、何歳頃まで仕事をしたいか聞いたところ、約8割は「70歳以降まで」と回答しています。また、日銀の調査では、「老後の生活資金を就業による収入」と答えた世帯は48.2%に上っています。最近話題となった老後2,000万円問題もあり、将来に対する不安が高まっています。
埼玉県では、働き手と言われる15歳から64歳までの人口が、今後10年で約20万人減少すると見込まれています。一方で、気力、体力がともに充実した元気なシニアはますます増えており、定年退職などで現役を引退した後も、まだまだ働きたいという方も数多くいます。意欲ある高齢者に働きやすい環境を用意するため、埼玉県でも働くシニア応援プロジェクトとして、セカンドキャリアセンターを設置し、高齢者の就業支援に力を入れていると思いますが、しかしながら、年齢の壁と言われるように、高齢者が働こうと思っても、希望するような仕事はなかなか見つからず、給料や勤務時間などの条件も合わないといったような課題があるようです。だからこそ、県としてはハローワークではできないようなきめ細かい支援を行っていく必要があると考えます。
先日、地元において、県のセカンドキャリアセンターを利用した方の話を聞きました。ハローワークは朝霞にあるけれども、県のセカンドキャリアセンターは川越まで行かなくてはならない。その上に、予約できるのは1カ月先だったとのことです。生活のために働かなくてはならない状況では、そんな悠長なことを言ってはいられません。セカンドキャリアセンターの利用者が多い県西部地区の混雑緩和に向けた対策が必要と考えますが、産業労働部長の御所見を伺います。
さらに、高齢者の方には、それぞれの状況に応じた様々な働き方があり、これまでの知識と経験を生かした起業なども選択肢になってくると思います。高齢者の起業についての御所見も併せてお伺いします。
A 加藤和男 産業労働部長
まず、セカンドキャリアセンターの混雑緩和に向けた対策についてでございます。
県では平成28年度から「働くシニア応援プロジェクト」を展開し、セカンドキャリアセンターが県内8カ所に相談会場を設け、就職支援セミナーから就職相談、職業紹介までを一体的に実施しています。
シニアの方の希望にあった求人を開拓することでミスマッチを解消するという、ハローワークにはない独自の取組を行っており、利用者や就職確認者数も年々増加しています。
お話しの県西部地区では、川越市と所沢市に会場を設けています。
特に、川越市の会場であるウェスタ川越では、利用者の伸びが顕著になっており、1日に5コマの枠で週2回の就職相談日を設けていますが、予約がすぐに取れない状況です。
利用者が多い会場の混雑を緩和し、働く意欲のあるシニアのニーズに応えていくためには、相談日の設定などの再検討も必要と考えております。
今後、セカンドキャリアセンターの運営体制については、利用状況に応じて柔軟に見直しを行ってまいります。
次に、高齢者の起業についてです。
シニアの方には、これまでの知識や経験を生かすとともに、自分にあったペースで仕事をするため、自ら起業するという選択肢もあります。
一方で、起業にはリスクもあることから、県では、少ない投資で無理なく始める、いわゆる「ゆる起業」という働き方をシニアに向けて提案しているところです。
これまで、入門的な起業セミナーや具体的な起業につなげるための3日間の起業塾などを開催してまいりました。
昨年度のセミナーのアンケートでは、シニアの起業の実例が知りたいという声が多かったことから、今年度は新たに事例集を作成するほか、事例発表会を開催いたします。
事例発表会では、ホテルマンとしての接客経験を生かし介護タクシー業を始めた方や、会社員時代からの趣味を生かし怪獣などの模型の制作・販売を行っている方などに経験を語っていただきます。
様々なきっかけづくりを通じて起業への関心が高まり、チャレンジするシニアには、専門機関である創業・ベンチャー支援センター埼玉で、具体的な起業に関する支援を行ってまいります。
今後も、人生100年時代の到来を見据え、シニアの多様なニーズに応じたきめ細かな施策を展開してまいります。
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