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掲載日:2022年8月15日
Q 武内政文 議員(自民)
近年、若者を中心にエナジードリンクの人気が広まっていますが、カフェインの過剰摂取による急性中毒が社会問題化し、その危険性が指摘されております。このほかにも中毒には、薬や覚醒剤などの大量摂取をはじめ急性アルコール中毒、農薬、洗浄剤などの摂取、キノコ毒、マムシにかまれた場合など大変幅広いケースがあります。急性中毒で救急搬送される場合、複数の病院の受入れ拒否と、それに伴う現場滞在時間の増加により、患者の命にかかわることがあります。
昨年度は救急搬送で病院に照会した回数が4回以上の割合が、通常4%に比べて、9.5%と2倍以上であり、また、救急隊が現場に到着してから搬送先の病院が決まるまでの時間が30分以上の割合が、通常16%であるのに比べ、急性中毒の場合、40%となっております。この理由としては、救急医療従事者が急性中毒の知識に乏しいため、薬毒物の毒性や患者の評価が難しいこと、また、特に夜間においては医師の不足や受入体制の不備により、受入れ拒否が生じやすいことなどが挙げられます。
中毒の治療は高度な専門知識が必要であり、現在、全国を見ても専門機関はありません。来年、東京オリンピック・パラリンピックを本県に迎えるに当たり、化学テロや外国人による違法薬物が持ち込まれるおそれもあり、危機管理の観点からも中毒の拠点施設を整備する必要があると思います。また今後、認知症の方が増えるに従い、薬の誤飲や大量摂取などにより急性中毒が増えることも考えられます。
そこで提案ですが、県内で現在、中毒の専門医と分析機器が揃っている埼玉医科大学病院を県が拠点施設として指定し、機能や体制の充実を図ってはいかがでしょうか。これにより迅速な救急現場対応が可能になるだけでなく、県内の救急救命士や救急隊員の教育を行うことも可能になります。また、患者に精神疾患がある場合でも、埼玉医科大学病院であれば精神科医療体制が充実している上、専門医が常駐し、現在でも対応可能です。さらに分析機器が揃っているので物質を特定でき、県内医療機関などとの共同調査研究も行うことができます。
県の医療施策として、こうした新たな分野の拠点施設を整備することは、県民の安心安全を高めることはもちろん、中毒治療分野の県全体のレベルアップを図るとともに、全国初の県指定施設として注目を集め、優秀な専門医が集まるきっかけにもなると思います。
以上、申し上げた本県の中毒拠点施設の整備について、保健医療部長の御所見をお伺いいたします。
A 関本建二 保健医療部長
昨年の急性中毒の救急搬送患者数は1,538人で、ここ数年は、ほぼ横ばいで推移している状況にありますが、これらの患者の治療には専門的な処置が必要であるため、対応可能な施設の確保は重要です。
埼玉医科大学病院は、搬送困難事案を必ず受け入れる第二次救急医療機関として、急性中毒を含め多くの救急患者を積極的に受け入れていただいております。
さらに、精神科救急においては、本県唯一の精神疾患と身体疾患が合併した救急患者の24時間常時対応型施設として重要な役割を果たしていただいております。
一方、急性中毒に対応可能な医療機関は、消防法に基づく傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準により定められ、県内全域で93カ所あります。
このうち、生命の危機が切迫している重篤な急性中毒患者に対する救命医療は、高度救命救急センターが担わなければならない主要な機能の一つです。
本県では、さいたま赤十字病院と川越市にある埼玉医科大学総合医療センターの東西2カ所に整備している高度救命救急センターがその役割を担っており、併せて救急救命士などへの教育も行っております。
このため、御提案の急性中毒患者の受入れについては、2つの高度救命救急センターとの間で役割分担を考えていく必要があります。
今後、急性中毒への対応について、まずは埼玉医科大学病院の意向を伺った上で、高度救命救急センターとの役割分担などについて、県内の救急専門医などで構成する有識者会議の中で協議してまいります。
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