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掲載日:2023年5月18日

平成27年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (立石泰広議員)

認知症の早期発見、早期治療及び成年後見制度の普及について

Q 立石泰広議員(自民

団塊の世代が全て後期高齢者の仲間入りをする2025年は、医療や介護の需要がますます増加することが見込まれています。特に、埼玉県の場合は2025年までの今後10年間で、後期高齢者の数が約1.5倍となり、この伸びは全国一となっています。
今年1月に国から発表された国の認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランによると、我が国における認知症の方の数は平成24年で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。そして、この数は高齢化の進展に伴い、更に増加が見込まれており、西暦2025年の平成37年には約700万人前後になり、65歳以上の高齢者に対する割合は、現状の7人に1人から5人に1人の割合へ上昇する見込みとなっています。埼玉県の認知症高齢者は、現在26万人と推計されていますが、今後10年間で約40万人になると言われております。
高齢化に伴う認知症の方の増加への対応が課題となっている中、認知症の早期発見、早期治療が重要であると言われております。病気が理解できる時点で医療機関を受診することで、本人が将来のことをゆっくり考える時間を持つことができたり、本人を支援する介護などの体制を整えることができます。県内でも、認知症の早期発見のための先進的な取組として、草加市、八潮市では地元の医師会に委託し、認知症健診事業として健診に来た方に「脳の健康チェック票」を記入させ、その結果を基に医師が問診を行い、認知症の心配があるかどうかを判定する取組や、幸手市では頭の健康チェックとして10分程度の記憶力チェックを行い、その結果を基に今後の認知症予防や生活習慣に役立ててもらう取組などがあります。
最近では、血液検査で認知症になる前の軽度認知障害かどうかを判定できる検査方法が開発されており、平成27年9月時点では全国で550か所、埼玉県内では11か所の医療機関で検査ができると伺っています。軽度認知障害の全ての方が認知症になるわけではありませんが、診断されてから四年のうちに約半数の方が認知症へ進行するという調査結果があります。この段階から治療を開始することで、認知症の進行を遅らせるなどの効果が期待されています。
そこで、県は認知症の早期発見、早期治療の必要性についてどのように考えているのか、保健医療部長の見解を伺います。
さて、新オレンジプランでは認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すという基本的な考え方を示し、施策の方向として7つの柱を掲げています。中でも、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進や、認知症の人やその家族の視点の重視など、まずは認知症に対する理解の促進が重要であると考えます。また、適時適切な医療、介護が提供され、認知症の人とその家族の方が住み慣れた地域で安心して暮らせるような体制整備が急務であります。
そこで、県はどのように認知症の人を支援していくのか福祉部長に伺います。
また、県内のひとり暮らしの高齢者は、平成27年の27万人から10年後には34万人に増加すると見込まれています。このような方が認知症のため、判断力が不十分となった場合、成年後見制度の活用が必要となります。
埼玉県内にも、地元の社会福祉協議会との連携により、さいたま市や川口市をはじめ10市において成年後見センターが設置されるなど、取組が広がり始めております。今後の認知症の方の増加を考えれば、弁護士などの専門職だけでは後見人が不足することが予想されているところであり、一般の市民が後見人となる、いわゆる「市民後見人」の養成が必要不可欠であります。
私は、川口市議時代に東京大学において125時間の市民後見人養成講座を受講しました。非常にすばらしい講座であり、成年後見制度に携わる人にも是非受講していただきたいと思っております。いろいろな機関が市民後見人を養成しておりますが、一般市民も後見人となることができ、社会に貢献することができることを、もっと周知する必要があります。また、いろいろな年齢層の方が幅広く養成講座に参加できるよう、平日、休日、また、昼間、夜間など、研修日程にも工夫が必要であると考えます。
県は、これからも更に必要となる成年後見制度の活用促進を図るため、どのように取り組んでいくのか福祉部長に伺います。

A 石川 稔 保健医療部長

高齢化が急速に進みます本県におきましては、認知症対策は今後ますます重要な課題となってまいります。
そこで、県では10年後を見据え、高齢者支援計画を策定し、その中で認知症対策を重要な柱と位置付け、総合的に施策を推進しております。
認知症は、議員お話のとおり早期発見、早期治療が有効です。早くわかれば投薬治療や生活環境の改善などで病状の進行を遅らせることができます。
特に、認知症の約7割を占めますアルツハイマー型認知症では、薬で進行を遅らせることが期待でき、早く使い始めると健康で過ごせる時間を長くすることができるとされております。
認知症の早期発見には、本人や周囲の気づきが最も重要です。
そこで、県では、かかりつけ医への認知症対応力向上研修などを実施し、地域で早期に発見し、支える体制の整備に取り組んでおります。
発見後の治療につきましては、平成21年度から認知症疾患医療センターの整備を進めており、今年度、新たに3か所を指定し、県内全ての二次保健医療圏にセンターを整備することができました。
センターでは、CTやMRIなどを使った高度な検査で認知症の鑑別診断を行い、専門的な治療を行うだけでなく、地域のかかりつけ医や介護施設などとも連携し、必要な助言や情報発信も行っております。
議員お話しの血液検査は、アルツハイマー型認知症の原因に関わりますタンパク質の量を量ることにより、軽度認知障害をごく初期の段階から判定できるものでございます。およそ80%の精度と聞いております。
認知症につきましては、迅速、簡便に判定できるこうした検査技術の開発と治療薬の研究が進むことが期待をされております。
県といたしましては、こうした現状を踏まえ、今後とも、早期発見につながる仕組みを充実させるとともに、認知症の方が必要な治療を受けられるように取り組んでまいります。

A 田島 浩 福祉部長

認知症の方が、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには、認知症に対する正しい理解を広めていくことが必要です。
このため、県では認知症の方や家族を温かく見守り、支援する「認知症サポーター」の養成を平成18年度から実施しております。
本年6月までに約22万3,000人を養成してきましたが、平成29年度末までに40万人を目指し、子どもから高齢者まで幅広く養成してまいります。
また、認知症は、早期の対応が非常に重要です。
このため、平成27年4月の介護保険法の改正で、全ての市町村は、医師、保健師、社会福祉士などの専門職からなる認知症初期集中支援チームを平成30年4月までに設置することになりました。 
この支援チームは、認知症が疑われる方や認知症の方に初期の段階から関わり、適切な医療・介護サービスにつなげることで、在宅生活の継続を支援していきます。
県では、支援チームの核となる認知症サポート医を養成するとともに、支援チームの構成員に対する研修を実施するなど、人材の育成を行ってまいります。
次に、「成年後見制度の活用促進を図るため、どのように取り組んでいくのか」についてでございます。
成年後見制度の普及に当たっては、議員お話しのとおり、市民後見人の養成が重要です。
市民後見人となるには、まずは、成年後見制度や認知症に関する知識を学んでいただくことが必要となります。
県では、市民後見人養成研修を実施する市町村を支援するため、平成23年度から補助金を交付しており、今年度は15市がこの補助金を活用し研修を実施する予定です。
既に、志木市や越谷市では、養成研修を修了した民生委員などが、家庭裁判所から後見人として選任されております。
今後は、さらに多くの市民後見人を養成するため、仕事をしている方なども受講しやすいよう、研修日程の工夫を市町村に働きかけてまいります。
県といたしましては、引き続き、市町村による市民後見人の養成を支援し、成年後見制度の活用が進むよう一層努めてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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