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掲載日:2020年4月1日

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有期労働契約の反復更新と雇止めについて

7 パートタイム労働者・アルバイト・派遣労働者等

7-6 有期労働契約の反復更新と雇止めについて

質問です

6か月間の労働契約で勤務していますが、更新を繰り返し5年を過ぎました。
最近、「会社の経営状況が悪化したため、今回の契約期間が満了したら、次は契約を更新しない」と言われました。
これまで、更新が繰り返されていたので、当然次も更新されると思っていたのですが、このまま会社の言うとおり辞めるしかないのでしょうか。

ここがポイント

形式的には雇用期間を定めた契約を反復更新していても、その実態などから、実質的に期間の定めのない契約と変わらないといえる場合や、雇用の継続を期待することが合理的であると考えられる場合、雇止めをすることに客観的・合理的な理由がなく社会通念上相当であると認められないときは雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されることになります。(労働者から更新の申込みをすることが必要です)。

お答えします

労働契約に3か月や6か月といった期間の定めがあっても、それが長期間に及び反復更新されていたり、更新手続きが事後に行われるなど形骸化していたり、使用者から更新を予定しているような言動があった場合などは、労働者としては、次回も更新されるものと期待することになるでしょう。
雇用期間を定めた契約を反復更新していて、実質的には期間の定めのない契約と変わらないといえるような場合や、労働者の雇用継続への期待が合理的であると認められる場合、使用者は労働者から契約更新の申込みがあれば、客観的で合理的な理由がなく社会通念上も相当と認められないかぎり、申込を拒絶することができません。この場合、契約更新の申込みが承諾されたものとみなされ、従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されることになります(労働契約法第19条)。
これまでの契約更新の際の説明内容等にもよりますが、5年間反復継続されていることから、雇止めは認められない可能性もあります。まず、現在の有期労働契約の労働条件を確認してください。「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」の明示は、平成25年4月1日以降の契約では法律で義務付けられています。そこに「会社の経営状況により判断する」といったような項目があると、経営状況悪化により人員整理が必要と判断されれば雇止めが認められることも考えられます。
有期労働契約が、実質的には期間の定めがないのと同じ状態だったと考えられれば、有期労働契約更新の申込みをして、使用者が契約更新をしない場合はその理由が合理的なものであるかどうかよく確認してください。
なお、契約更新の申込みは、申し込んだことが分かるように文書で行った方がよいでしょう。後日裁判になる可能性があるのであれば配達証明付き内容証明郵便などで使用者に送付することも有効です。
また、厚生労働省は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を定めていますので、次の「ここにも注意!」を参照してください。

ここにも注意!

厚生労働省は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生じることを未然に防止するために、使用者が講ずべき措置について、次のような基準を定めています。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(要約)
1 雇止めの予告
使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(当該契約が3回以上更新されている場合、又は1年以上継続して雇用している場合に限る。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

2 雇止めの理由の明示

  • (1) 使用者は、雇止めの予告をした後に、労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
  • (2) 雇止めの後に労働者から請求された場合も同様である。

3 契約期間についての配慮
使用者は、契約を1回以上更新し、1年以上継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。

従前の裁判例を分析した「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」(旧労働省が学識経験者を集めて開催した研究会)によると、次の(1)~(4)の状況がすべて認められる有期労働契約は、「純粋有期契約タイプ」に該当し、雇止めが認められるが、(1)~(4)のいずれかを満たしていない有期労働契約であれば、「純粋有期契約タイプ」には必ずしも該当せず、期間満了のみを理由とした雇止めは認められず、別途その適否を判断すべきことが原則となると指摘しています。

  • (1) 業務内容や契約上の地位が臨時的であること又は正社員と業務内容や契約上の地位が明確に相違していること
  • (2) 契約当事者が有期契約であることを明確に認識していると認められる事情が存在すること
  • (3) 更新の手続が厳格に行われていること
  • (4) 同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例があること

無期労働契約の転換

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換することになりました(労働契約法第18条)。通算契約期間のカウントは平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象です。
申込は契約期間が5年を超えた場合、その契約期間の間に行います。申込するかどうかは労働者の自由ですが、使用者が予め無期労働契約への転換を申し込まないことを更新の条件とすることはできません。
労働者が申込をすると使用者は承諾したものとみなされ、申込時の契約期間が終了した翌日から無期労働契約に転換します。ただし、無期労働契約の労働条件は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一になります。
無期労働契約が成立した時点で使用者が無期労働契約を解約しようとした場合は、解雇になりますので、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には権利濫用として無効になります。

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産業労働部 雇用労働課 労働相談担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第二庁舎1階

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