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掲載日:2023年7月11日
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3-2年次有給休暇の取得希望日が重複した場合について
質問です
私の会社では、特定の期間に年次有給休暇の届出をしたとき、他の従業員と重複した場合には、後から届出をした者は有給休暇が取れません。問題はないのでしょうか。
ここがポイント
お答えします
使用者は労働者が年次有給休暇を請求した場合、原則として、その時季に与えなければなりません(労働基準法第39条第5項)。
しかし、そのただし書で、業務の正常な運営を妨げる場合、使用者は他の時季に与えることができる(これを「時季変更権」といいます)と規定しています。
「事業の正常な運営を妨げる場合」であるかどうかは、企業の規模、請求者の職場における配置、その作業の性質、繁閑、代行者の配置の難易、同時に休暇を請求する者の人数等を考慮して判断されます。
また、使用者は、「時季変更権」を行使する前に、代替勤務者を確保したり、勤務予定を変更するなど、労働者が、その指定した時季に年休が取れるように「配慮」することが求められます。こういった努力をせずに時季変更権を行使することは認められません。
このように、一概に会社が時季を指定した日に有給休暇を与えないことが法違反であるとはいえないものの、「時季変更権」を行使するには、使用者にも「配慮義務」がありますので、同日に2名以上有給休暇を与えることが、会社の正常な事業運営にどのような支障をきたすのか、また、会社として代替要員の確保など、どのような配慮を行ったのかの説明を求めてください。
会社側の説明に合理的(客観的・社会通念上)な理由がない場合は、違法とされる可能性もあります。
ここにも注意!
使用者の時季変更権が合理的な理由であるかどうかの判断は難しい(従業員の人数、部署の人数、事業の内容、勤務割等を考慮して判断)のですが、年休を申請する労働者も、使用者が時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕を与えるよう、なるべく早く年休の申請をすることが求められます。
労働者が年休取得希望日の直前に申請した場合、代替勤務者の確保などの「配慮」も困難ですし、客観的に時季変更権を行使する合理的な理由があれば、適法な時季変更権の行使となると考えられます。
なお、退職予定者が保有する有給休暇の残日数を退職前にまとめて消化しようとする場合等において、在職中に取得時季を変更できる労働日のゆとりがないケースには、使用者の時季変更権は行使できないことになります。
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