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掲載日:2024年3月26日

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個人情報保護審査会答申/答申第8号(諮問第14号)

答申第8号(諮問第14号)

答申

1 審査会の結論

「措置入院のための移送に関する事前調査及び移送記録票」(調査年月日:平成17年6月24日。以下「記録票」という。)のうち事前調査の総合判定の理由欄(以下「理由欄」という。)に記載された保有個人情報のうち、異議申立人(以下「申立人」という。)が訂正を求めた内容(以下「本件対象保有個人情報」という。)について、埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成19年5月30日付けで行った訂正をしない旨の決定は、妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

  • (1)申立人は、平成18年1月16日付けで、埼玉県個人情報保護条例(平成16年埼玉県条例第65号。以下「条例」という。)第15条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、記録票の開示請求を行った。
  • (2)実施機関は、平成18年1月30日付けで、条例第21条第1項の規定に基づき、部分開示決定を行った。
  • (3)申立人は、平成18年3月31日付けの異議申立書により、実施機関に対し、不開示部分の開示を求める旨の異議申立てを行った。
  • (4)当審査会は、上記(3)の異議申立てについて、平成18年4月18日付けで、実施機関から条例第41条の規定に基づく諮問を受けた。
  • (5)当審査会は、実施機関に対し、平成19年1月30日付けで、不開示部分のうち記録票の理由欄については開示すべきであるとする答申を行った。
  • (6)実施機関は、平成19年2月16日付けで、記録票の理由欄を開示する決定を行い、申立人に通知した。
    申立人は、平成19年2月21日、実施機関から開示を受けた。
  • (7)申立人は、平成19年5月2日付けで、条例第29条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、本件対象保有個人情報の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
  • (8)実施機関は、平成19年5月30日付けで、条例第32条第2項の規定に基づき、本件対象保有個人情報の訂正をしない旨の決定を行い、申立人に通知した。
  • (9)申立人は、平成19年7月27日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件対象保有個人情報の訂正を求める旨の異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
  • (10)当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年8月10日付けで、実施機関から条例第41条の規定に基づく諮問を受けた。
  • (11)当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年9月26日付けで、実施機関から理由説明書の提出を受けた。
  • (12)当審査会は、平成19年11月12日及び12月4日、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

(1)内容

記録票の理由欄に記載されている内容を訂正及び削除してほしい。

(2)理由

実施機関からの保有個人情報の訂正をしない旨の決定通知書に、記録票の理由欄には判断・評価を記載するものであるため訂正することはできない旨が示されている。しかし、不当な判断・評価が不適切な対応を生じさせているのであるから、判断・評価であっても不当なものに対しては不適切な対応の元凶と認め、訂正すべきである。
適正な調査をせず、事実を無視するかのように行われた判断・評価は、不実を事実として示すことにより、他の者に悪影響を及ぼし、当事者の権利・利益を害する。

4 実施機関の主張の要旨

記録票は、実施機関が、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「法」という。)第24条に基づく警察官通報を受け、法第27条第1項の規定に基づき、申立人について措置入院に関する精神保健指定医による診察(以下「診察」という。)が必要か否かについての調査(以下「調査」という。)を行い、その結果診察が必要と判断して作成したものである。

埼玉県では、調査に当たっては、精神保健関係事務処理要領(以下「事務処理要領」という。本事務処理要領は埼玉県福祉部障害者福祉課が作成したもの。)に基づいて行うこととされている。この事務処理要領は、法を適正に執行するための基準として実施機関が定めたものである。

調査では、事務処理要領に基づいて、通報元である警察官から通報内容・状況等について説明を受けるとともに、申立人からも直接聞き取りを行い、症状の概要・程度などを確認した。

記録票の理由欄は、調査に基づき、実施機関が事実と認定した客観的な事項や、申立人から直接聴取した内容をもとに、診察が必要と判断した理由を記載したものである。

したがって、実施機関が行った判断・評価は、法に基づき実施されたものである。

また、保有個人情報の訂正は、保有個人情報の「内容が事実でない」場合に行われるものであり、訂正請求の対象は「事実」であって、判断・評価には及ばないものと解されている。

以上のことから、本件訂正請求は、条例第31条に規定する「当該請求に理由があると認めるとき」には該当しないものである。

5 審査会の判断

申立人は、実施機関は適正な調査をしておらず、事実に基づかない不当な判断・評価を行ったと主張している。

これに対して、実施機関は、調査は法並びに事務処理要領に基づいて適正に行ったものであること、また、訂正請求の対象はあくまでも「事実」であり、「判断・評価」は該当しないことを主張している。

そこで、当審査会は、本件について審査するに当たって、(1)調査は、法並びに事務処理要領に基づいて適正に行われたものであるか、(2)本件対象保有個人情報は「事実」であるのか「判断・評価」であるのか、の2点について検討した。

(1)調査は、法並びに事務処理要領に基づいて適正に行われたものであるか

法第27条第1項は、「都道府県知事は、第23条から前条までの規定による申請、通報又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。」と規定している。

また、事務処理要領は、法第24条の規定に基づく警察官通報を受けた際の取扱について、次のように規定している。

第3章措置入院

第3通報等の受理から調査、診察及び措置決定まで

(4)警察官通報(法第24条)

(1)(略)

(2)限られた時間の中で、診察の必要性を判断するための調査を実施することになるが、被通報者の人権に配慮すること。十分な調査を実施せず、入院させることを急ぐことは良くない。保健所としての主体性を持った調査を実施する必要があり、警察からの通報内容をそのまま鵜呑みにするような調査であってはならない。

(3)被通報者について、多面的な情報収集をした上で診察の必要性を判断すること。

  • ア 直接本人を観察して把握する:本人の「精神症状・身体状態」、「睡眠」、「食事」、「着衣・清潔」、「顔色」、「意識障害の有無」、「言動」、「コミュニケーションの成り立ち」、「アルコール・薬物等による影響の可能性」等。
  • イ 警察官(出来れば現場に立ち会った)から保護に至る経過等の情報収集
  • ウ 家族等からの情報収集
  • エ 主治医がいる場合には、主治医からの情報収集
  • オ 保健所による相談記録及び過去の情報等
    調査時の状況について実施機関に説明を求めた結果は次のとおりである。
  • ア 調査当時、申立人には家族及び主治医が存在せず、保健所への相談経緯もなかった。このため、実施機関は、申立人の観察及び警察官からの情報収集を行った。
  • イ 申立人は、実施機関からの聴取に対して、「気持ちが沈んだり、眠れないことがある」「自分でも感情の起伏は激しいと思う」などと話した。
  • ウ 実施機関は、保護を行った警察官から、申立人は保護時に大声を出していたとの情報を得た。

これらのことから、実施機関は、診察が必要と判断した。

実施機関による上記の説明について審議したところ、調査は法並びに事務処理要領に基づいて行われたものであり、判断・評価を行うに至った経緯に特段の不合理な点は認められなかった。

(2)本件対象保有個人情報は「事実」であるのか「判断・評価」であるのか申立人が訂正を求めている記録票の理由欄の各記載は、実施機関が法並びに事務処理要領に基づいて適正に行った調査を元に判断・評価した結果を記載したものである。

よって、本件対象保有個人情報は条例第29条第1項に規定する「事実」には当たらない。

以上の検討の結果、実施機関が本件訂正請求に理由がないと判断したことに特段の不合理な点は認められない。

したがって、実施機関の行った、本件対象保有個人情報の訂正をしない旨の決定は、妥当であると認められる。

以上のことから、「1審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)

大橋豊彦、栗田和美、西村淑子

審査会の経過

年月日

内容

平成19年8月15日

諮問を受ける(諮問第14号)

平成19年9月26日

実施機関から理由説明書を受理

平成19年11月12日

実施機関からの意見聴取及び審議

平成19年12月4日

実施機関からの意見聴取及び審議

平成20年2月12日

審議

平成20年3月21日

答申

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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