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掲載日:2024年3月26日
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答申第7号(諮問第8号)
答申
1 審査会の結論
「2006年1月2日、病院が警察署に任意提出したカルテのコピー」(以下「本件対象保有個人情報1」という。)及び「2006年1月2日、警察署が病院にて事情聴取を行い作成した記録」(以下「本件対象保有個人情報2」という。)につき、これを保有していないとして埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成19年1月11日付けで行った不開示決定は、妥当である。
2 審査請求及び審査の経緯
3 請求人の主張の要旨
本件対象保有個人情報1及び2の開示を求める。また、実施機関が平成19年1月11日付けで行った不開示決定処分において不開示とした理由を求める。
本件対象保有個人情報1について、平成18年1月2日、刑事が病院からカルテのコピーを押収したと述べたこと、また、平成18年2月6日、当該刑事は、電話にて本件対象保有個人情報1は目の前にあると話したことから、実施機関が本件対象保有個人情報1を保有していない理由は不明である。
また、本件対象保有個人情報2について、病院が保有するカルテには、刑事が当該病院の医師に対して行った事情聴取の内容が記載されていることから、実施機関が本件事情聴取記録を保有していない理由は不明である。
4 諮問庁の主張の要旨
実施機関は、本件対象保有個人情報1及び2について、次のとおり検索を行った。
(1)本件対象保有個人情報1が、犯罪捜査において作成される捜査書類、又は犯罪捜査に関して押収した証拠物件として管理されているかを確認するため、警察官が事件又は事案を認知した場合に登録している事件受理登録等を確認したところ、本件事案に関する事件受理登録等はなかった。
本件対象保有個人情報2が、犯罪捜査において作成される捜査書類として管理されているかを確認するため、警察官が事件又は事案を認知した場合に登録している事件受理登録を確認したところ、本件事案に関する事件受理登録はなかった。
(2)当該警察署及び警察本部が請求人からの相談を受け、相談等の記録を作成し、当該相談等の記録とともに本件対象保有個人情報1を保有しているかを確認すべく、相談等の記録の検索を行ったところ、平成18年1月31日以降の請求人からの相談を受けた記録は存在したものの、当該相談等の記録には本件対象保有個人情報1の添付はなく、また本件対象保有個人情報2に該当する平成18年1月2日の病院にて事情を聴取した記録もなかった。
上記のとおり、実施機関は該当する保有個人情報の検索を行い、さらに、当時対応した警察官に確認をした上で本件処分を行ったものであり、処分は妥当なものである。
5 審査会の判断
当審査会において、本件対象保有個人情報1及び2の有無等について請求人及び諮問庁の主張を具体的に検討した結果、次のように判断する。
(1)本件事案について
平成17年○月○日に病院で亡くなった子の死亡原因に納得できず、平成18年1月2日、警察署を訪れた請求人から相談を受けた警察官は、同日、病院を訪ね、小児科の医師から事情を聴き、資料(開示請求書にいうカルテのコピー)(以下「カルテのコピー」という。)の提供を受けた。本件開示請求は、この時に当該警察官が病院から提供を受けたカルテのコピー及び医師から事情を聴き、作成した記録の開示を求めたものである。請求人の主張、請求人が病院から入手した経過記録及び諮問庁の主張から、当該警察官が病院にて小児科医師から事情を聴き、その際、カルテのコピーの提供を受けたことは事実であると認められる。
(2)本件対象保有個人情報1及び2の有無について
ア 事件受理登録等について
本件対象保有個人情報1及び2の有無について、当審査会が諮問庁に調査を求めたところ、警察官が事件又は事案を認知した場合に登録する事件受理登録等を確認した結果、本件事案に関する事件受理登録等はなかったとの報告を受けた。
また、諮問庁が当該警察官に直接確認したところ、平成18年1月2日に行われた当該警察官の一連の行為は、請求人からの相談対応として行われたものであり、捜査活動として行われたものではないということであるが、この一連の行為は、警察官の職務として行われたことは間違いない。
当審査会が、諮問庁及び請求人から事情を聴取したところ、本件事案に関する事件受理登録等はなく、本件対象保有個人情報1及び2が捜査書類又は捜査に関して押収した証拠物件として管理されていないとする実施機関の主張を覆すほどの事実は認められなかった。
イ 相談等の記録(管理票)について
当審査会は諮問庁に、相談等の記録(以下「管理票」という。)について調査を求めたところ、諮問庁から、請求人の氏名及び相談日で検索を行った結果、平成18年1月31日以降の請求人の管理票は存在したものの、平成18年1月2日の管理票は存在しなかったとの報告を受けた。また、当審査会が平成18年1月31日以降の請求人の管理票を見分したところ、平成18年1月2日の記録はなく、また、存在する平成18年1月31日以降の管理票には本件対象保有個人情報1及び2について添付及び記載もなかった。
ウ 本件対象保有個人情報1及び2の確認について
請求人の主張によると、平成18年2月6日、担当刑事が本件対象保有個人情報1を保有していることを電話でのやり取りの中で確認したとのことである。その後、請求人は平成18年11月10日に本件対象保有個人情報1をすでに廃棄した旨の話を聞いたとのことである。
当審査会は、諮問庁に事実を確認すべく調査を求めたところ、諮問庁が当時対応した警察官から直接、事情の聴取を行った旨の報告を受けた。その結果は次のとおりである。
平成18年1月2日、当該警察官は、請求人の相談に基づき病院の医師から説明を受け、その際、参考にカルテのコピーを受け取った。同日、当該警察官は、請求人に説明を行い、これを以て、請求人の相談に対する対応は、終了したと判断した。当該警察官は、本件対象保有個人情報1をしばらく保管していたが、平成18年3月を過ぎた頃から、請求人からの連絡もなくなり、本件対象保有個人情報1を保管する必要がないと判断し、平成18年9月頃、異動のための整理の際に、本件対象保有個人情報1を廃棄したとのことであった。
また、当該警察官は、平成18年1月2日の相談に対する対応は、即日終了したと判断したため、平成18年1月2日に病院にて事情を聴いた内容を記載した公文書(本件対象保有個人情報2)は作成しなかったということである。
当審査会において、諮問庁及び請求人から上記のとおり事情を聴取したところ、本件対象保有個人情報1について、廃棄の時期はともかく、廃棄したこと、また、病院にて事情を聴いた内容を記載した公文書を作成しなかったとする当該警察官の説明を覆すほどの事実は認められなかった。
上記のとおり、当審査会は、本件対象保有個人情報1及び2の有無について、諮問庁及び請求人から事情を聴取したが、当該保有個人情報が存在するという事実は確認できなかった。
したがって、請求人は、諮問庁に対し、本件対象保有個人情報1及び2の開示を求めているが、実施機関において本件対象保有個人情報1及び2を保有していないとする諮問庁の説明に特段の不合理な点は認められず、処分は妥当なものであるとする諮問庁の主張は是認できる。
(3)結論
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
大橋豊彦、栗田和美、西村淑子
審査会の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成19年4月17日 |
諮問を受ける(諮問第8号) |
平成19年5月16日 |
諮問庁から理由説明書を受理 |
平成19年6月19日 |
諮問庁からの意見聴取及び審議 |
平成19年6月26日 |
審査請求人から反論書を受理 |
平成19年7月23日 |
審査請求人による意見陳述及び審議 |
平成19年7月27日 |
審査請求人から反論書に関する資料を受理 |
平成19年9月18日 |
諮問庁からの意見聴取及び審議 |
平成19年10月16日 |
審議 |
平成19年11月12日 |
審議 |
平成19年12月4日 |
答申(答申第7号) |
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