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掲載日:2023年5月9日
Q 福永信之 議員(公明)
先ほど申し上げたとおり、人工透析の患者さんは最低でも3日に1回は透析を受けなければなりません。逆に言えば、3日間透析を受けなければ死の危険にさらされます。このため、災害時は特に治療体制の確保が重要となります。平成23年の東日本大震災や平成28年の熊本地震、昨年の大阪府北部地震や北海道胆振東部地震などでは、施設や設備の破損、停電や断水などライフラインの途絶により人工透析が継続できなくなった医療機関が発生しました。北海道のブラックアウトのときにも透析医療機関のスタッフは、薄暗い中で透析可能な医療機関を探して患者さんを受け入れてくれるよう大変苦労して調整したとのことです。
本県でも、もし大地震が発生すればライフラインの途絶によって治療が継続できなくなる透析医療機関が発生するおそれがあります。透析患者さんの命を守るため、災害時にも確実に透析治療が受けられるよう、平時から備えることが必要です。災害拠点病院など規模の大きい病院は非常時の自家発電装置を備えていますが、県内に199か所ある透析医療機関は、電気・水道が使えなくなったときの対策を講じているのでしょうか。
災害時における人工透析患者さんの治療体制を確保するため、県はどのように取り組んでいくのか、透析医療機関の非常時の体制整備の状況も含め、保健医療部長にお伺いをいたします。
A 本多麻夫 保健医療部長
本県の透析医療機関のうち、自家発電装置を保有している施設は約4割、透析のために使用可能な貯水槽や井戸を確保している施設は約3割に留まっております。
自家発電装置や非常用の水源を確保していたとしても、人工透析には大量の水と電気を継続的に必要とするため、ライフラインが途絶した場合、医療機関が被災地において透析を続けていくことは困難であると言われております。
このため県は、県医師会の御協力を得て、被災を免れたほかの地域の透析医療機関に患者を円滑に紹介・搬送し、県全域でバックアップするための広域支援体制を平成26年度に整備いたしました。
具体的には、県内を七つのブロックに分け、ブロック毎に代表医師を指定し、さらに県全域について全体の調整を行う県の透析災害医療コーディネーターの医師2名を確保いたしました。
被災地のブロック代表医師は、災害が起こるとスマートフォンなどで全国を結ぶ広域災害救急医療情報システムにアクセスしてブロック内外の透析医療機関の被災状況や透析治療が受けられない患者の数を把握し、ブロック内の患者の受入プランを作成し、紹介先の調整を行います。
もし、ブロック内で受入可能な透析医療機関が見つからなかった場合には、全県の調整を行う県の透析災害医療コーディネーターに広域調整を依頼します。
依頼を受けた県の透析災害医療コーディネーターは、受入可能な他のブロックの代表医師と調整を行い、患者受入れが可能な透析医療機関の情報を被災地のブロック代表医師に提供いたします。
こうした仕組みについて、県では、透析に携わる医師や臨床工学技士と協議を重ね、平成28年3月に、この体制を県の「災害時透析医療確保マニュアル」として取りまとめました。
このマニュアルに基づいて災害発生時に円滑に関係者が連携して対応できるよう、県内の透析医療機関、医師会、保健所などに周知徹底するとともに、全ての透析医療機関を対象とした情報伝達訓練を年4回実施しております。
今後は、隣接する都県との連携体制についても調整や検討を進め、合同訓練を行うことも含め、災害時における透析治療体制の確保に万全を期してまいります。
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