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掲載日:2023年5月9日

平成31年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(浅野目義英議員)

DVシェルターへの支援策について

Q   浅野目義英   議員(立憲・国民・無所属

千葉県野田市の小学4年生、栗原心愛さん10歳が自宅で死亡し、両親が逮捕された事件は、その残忍さ、また無念さで胸が詰まる思いです。せっかく生まれてきた命、どうやったら守ってあげることができたのかも様々な場所で話し合われています。この本会議場でも、児童相談所が再保護に踏み切れなかった代償は余りに大きいことなど、質問がこれからも行われるはずです。
私は、夫婦が復縁し、沖縄県に住んでいた当時、父親から受けていた妻や子に対するDVを親族が糸満市に相談していたときの対応がどうも気にかかっています。この時点で妻と子を隔離、保護し、父親の暴力から逃げさせてあげられていれば、今回の事件はなかったのかもしれません。野田の事件を教訓としなければならない、児童虐待の背景にはDVがほぼある、それらを思い知らされました。
ことし2月1日、片山さつき女性活躍担当大臣は、自らが立ち上げたDV等の被害者のための民間シェルターなどに対する支援の在り方に関する検討会の初会合の日に、「自分もDV被害の経験があり、立ち直った経験を持っている」と語り、関係者を驚かせました。また、「駆け込む先があるか、どのような支援を受けるかで人生は180度変わる」とも語っています。
DV等の被害者の一時保護や相談、自立に向けた支援等を行う民間シェルターがあります。しかし、ボランティアが自己負担で運営しているケースが多く、財政的にもマンパワー的にも厳しい状況のようです。この検討会は、民間シェルターの抱える課題を整理し、民間シェルター等に対する支援の在り方について検討するために設置をされました。今後4回くらい会合を開き、6月には支援策をまとめると関係者は話しています。
厚生労働省では、有識者が集まって、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会で、DV被害の女性への支援について検討しています。特に、若年女性が一時保護や婦人相談施設につながらず、適切な支援が受けられないことが課題となっています。
これに先立ち厚生労働省は、平成30年度に若年被害女性等に対して公的機関施設と民間支援団体とが密接に連携し、アウトリーチから居場所の確保、公的機関や施設へのつなぎを含めたアプローチを行う仕組みを構築できるモデル事業、若年被害女性等支援モデル事業を実施しました。この事業は、実施主体を都道府県、市、特別区とする10分の10の補助事業、1カ所当たりの単価1,055万4,000円でしたが、埼玉県はこの事業を当時希望しませんでした。手を挙げませんでした。埼玉県のDV支援の信頼性を落としたゆゆしき問題と私は思っています。国は、引き続き平成31年度もこの事業を実施すると聞いていますが、今年度の実施についてはどのように考えていますか。予算書に計上されていますか。また、平成32年度以降についてはどう考えていますか。
次に、このような若年女性の駆け込み先としても大きな期待が寄せられる、いわゆる民間シェルターについて伺います。
先ほど申し上げた内閣府の検討会で配布された資料によれば、配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDVに関する相談件数は、29年度には全国で10万6,000件を超えており、一方、婦人相談所における一時保護件数は8,600件を超えています。
まず、埼玉県におけるDV被害の状況はいかがでしょうか。また、全国では委託契約している民間シェルターは88カ所となっていますが、埼玉県の民間シェルターの現状について教えてください。さらに、県のDV対策における民間シェルターの果たす役割をどのように考えているか、知事に伺います。民間シェルターに対する支援をどのように行っていくのかについても、併せて知事に伺います。

A   上田清司   知事

国が実施する若年被害女性等支援モデル事業についてでございます。今後はどのように考えているのかについてでございます。
この事業はJKビジネス被害者や家出少女など困難を抱えた女性に細やかな支援を行うことで、早期の自立支援を促すモデル事業でございます。
夜間の見回りや声掛け、相談窓口の開設、居場所の確保、自立支援などが事業の柱になっています。
県では夜間の見回りや声掛けについては、青少年「街の応援団」を22市町村で結成し、NPO、住民、警察などが協力し実施しております。
相談については男女共同参画推進センターや性暴力等犯罪被害者のための専用相談電話アイリスホットラインなどで対応しているところでございます。
一時的な居場所の提供や自立支援については、婦人相談センターなどがその機能を有しています。
こうしたことから、モデル事業が目指す方向については現状でも機能を発揮しているものと考え、平成30年度はモデル事業に応募しておりません。
また、平成31年度においても同様の理由から応募の予定はなく予算にも計上しておりません。
平成32年度以降の実施については事業メニューの変更など状況を見て検討させていただきたいと思います。
次に、埼玉県のDV被害の状況についてでございます。
平成29年度に県内19の配偶者暴力相談支援センターで受け付けたDVに関する相談は5,867件で増加傾向にあります。
また、婦人相談センターにおける平成29年度の一時保護件数は63件で、ここ数年は減少傾向にあります。
次に、民間団体が運営するDVシェルターの現状についてでございます。
県内には5カ所のDVシェルターがございます。
その運営は財政的にも人員的にも概して厳しい状況にあり、団体からはシェルターをしばらく閉鎖したいという声も聞こえているところでもあります。
そのため、これまでの支援に加え更なる支援策の強化が必要と考えております。
次に、DV対策における民間DVシェルターの果たす役割をどのように考えているかについてでございます。
一時保護の受入れ決定は婦人相談センターで行いますが、婦人相談センターで受入れができない小学校高学年以上の男子を連れた被害母子などは民間DVシェルターに保護を委託しております。
また、DVシェルターの運営を行う民間団体は、いわゆるDV防止法が制定される前から積極的にDV被害者の退所後の生活支援にも取り組んでおり、豊富なノウハウを持っておられます。
婦人相談センターと民間DVシェルターが補完しあうことで、DV被害者の自立支援が図られるものと考えております。
次に、民間DVシェルターに対しどのような支援をしていくかについてでございます。
DV被害者に寄り添い、退所後も柔軟できめ細かい支援を行うためには、DVシェルターの運営を行う民間団体の協力が欠かせません。
このため、民間団体が安定した活動が継続できるようDV防止基本計画に基づき支援を行っています。
ハード面ではシェルターの借上料や整備に係る費用を助成しています。
ソフト面では子供の教育相談や裁判所への同行など行政では手が届きにくいサポートに対して助成を行っています。
こうした財政支援に加え、DV被害者支援担当研修や民間団体交流会に参加していただきノウハウを共有するなど、人材育成にも努めています。
また現在、他の都道府県とも協力し国に対し一時保護委託費の増額などの財政支援について要望活動を行っています。
今後も民間団体の運営基盤をより安定強化させ、継続した被害者支援が実施できるよう努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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