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掲載日:2023年5月9日
Q 藤井健志 議員(自民)
私自身も、農業や児童生徒の農業体験活動について高い関心を持っており、地元特産品である紅赤の栽培、農業生産者と学校のマッチング、見沼田圃の休耕田復活やそこで収穫されたお米を子ども食堂に提供するなどの取組も試行錯誤をしながら行ってきました。
平成20年にスタートしたみどりの学校ファームは、平成25年度には県内全ての公立小中学校で取り組まれることとなりました。このみどりの学校ファームの意義については、平成20年10月に策定された埼玉県みどりの学校ファーム推進方針で4点にまとめています。すなわち、1、食の大切さや食に関わる人々への感謝等を養う食育上の意義。2、協力性や環境学習、そして職業観の育成等を育む教育上の意義。3、地域農業や職業としての関心向上や農地の有効活用を図る農業上の意義。4、地域の教育力の高まりと地域コミュニティの再生等に資する地域社会との関わりにおける意義の4点です。
実施率100%の中身はどうなっているのかをアンケート結果により確認させていただきました。その中で、学校の敷地内なのか敷地外なのかに関する設問と回答について、一部紹介させていただきますと、敷地外は平成26年には452校、平成29年には403校、3年間で約50校減少しています。敷地外への農園設置に関する意向ですが、「敷地外に設置したいが具体的な予定がない」では、平成26年の705校に対して、3年後の29年には361校、敷地外に設置したいという学校が3年間でほぼ半減しています。「敷地外への農園設置は今のところ考えていない」では、平成26年の20校に対して、平成29年は661校に大幅増加。このように敷地外の設置率が減少し、かつ意欲もなくなっているさまが、このアンケートで明らかになっています。さきに述べた四つの意義のうち、特に3、農業上の意義や、4、地域社会との関わりにおける意義が薄らいでいるのではないでしょうか。
そこで、四つの意義とこのようなアンケート結果を踏まえ、お伺いいたします。
1、地域事情もあるとは思いますが、敷地外と敷地内では、そのどちらの教育効果が高いとお考えでしょうか。
敷地外、敷地内のいずれかにかかわらず、四つの意義を踏まえた質を向上させるには、今後どのような取組を進めていくのでしょうか。
以上2点について、教育長にお伺いいたします。
また、先ほど述べた意義のうち、農業上の意義の観点から今後どのように取り組んでいくのか、農林部長に伺います。
A 小松弥生 教育長
まず、「学校敷地外と敷地内では、どちらの教育効果が高いと考えているのか」についてでございます。
みどりの学校ファームについては、子供たちが、農業や自然の本来の姿に触れられる学校敷地外による実施の方が、一般的に高い教育効果を得られると考えております。
しかしながら、学校周辺の農地の確保、児童生徒の移動にかかる時間や安全上の問題など、地域の事情により、敷地内で実施している学校もございます。
敷地内で実施する場合でも、県では実情に応じた様々な工夫により、教育上や食育上の意義を達成できるよう、効果の上がっている事例を収集、提供しているところでございます。
次に、「四つの意義を踏まえた質を向上させるには、今後どのような取り組みを進めていくのか」についてでございます。
今後、みどりの学校ファームの質を高めていく上では地域社会との連携が鍵になると考えております。
新しい学習指導要領においても、地域の人的・物的資源を活用し、「社会に開かれた教育課程」の実現が求められております。
みどりの学校ファームも、学校応援団をはじめ地域の多くの方々に応援していただいております。
子供たちは、地域の方々との交流や農作物などの栽培体験を通じて一般の授業では学ぶことのできない多くのことを学んでおります。
加えて、このような取組は地域の活性化にもつながると考えております。
学校ファームのより一層の充実に当たっては、まず学校を支える地域の関係者の理解が重要でございます。
県といたしましては、市町村担当者の会議や学校応援コーディネーターなどの研修を実施し、地域との関わりの中でみどりの学校ファームを進めることによる効果や意義について、関係者の理解を深めてまいります。
今後も、市町村や関係部局の御協力のもと、みどりの学校ファームの充実に努め、子供たちの豊かな成長につなげてまいります。
A 篠崎 豊 農林部長
みどりの学校ファームの取組は、子供たちが食べ物の生産過程を体験することで、いのちの大切さを学ぶ教育効果、遊休農地の活用、さらには、ボランティアや地元農家と学校の交流による地域活性化の「一石三鳥」を狙ったものです。
関係者皆様のご協力により、平成25年度には埼玉県内全ての公立小中学校で取り組まれることとなり、平成29年度末時点では、小学校811校、中学校413校、合計1,224校で、みどりの学校ファームが農業体験学習の場として活用されています。
平成29年度に行った学校へのアンケートでは「農業への関心が高まった」、「勤労観・就業観が高まった」との声もいただいており、一定の効果を上げているものと考えております。
学校ファームの実施内容については校内の花壇などを活用するものから、学校外の水田や畑を活用した本格的なものまで様々なものがあります。
学校外の水田や畑を使った学校ファームは、児童生徒が本物の農地を自ら耕したり、農業関係者から直接話を聞くなどで学習効果が高まること、また「遊休農地」の活用などを図ることができるなど多くのメリットがあります。
このため県では、市町村や埼玉県農業協同組合中央会などと連携し、学校の近くで利用可能な農地や指導に当たる農業者の紹介など、学校ファームの設置を希望する学校に対して、支援を行ってまいりました。
例えば、さいたま市立野田小学校では校内のほか校外にも学校ファームを設置しています。
地元の農家から農地を借り、全学年でJA職員や地元農家の指導のもと、保護者の協力も得ながら農業体験を行っています。
栽培でお世話になった地域の方々を招いた学習発表会、児童が収穫した農作物を使った給食の実施など食育の充実も図っています。
しかしながら、近年、相続の発生などを契機とした提供農地の減少や指導農家の高齢化などにより、議員お話しのとおり、学校外の学校ファームは減少してきております。
このような中、「生産緑地法」の改正や「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」の施行により、都市農地の貸借がしやすくなり、今まで学校外の農地確保が難しかった都市部の学校にも活用しやすい状況となっております。
今後は、これらの制度なども活用し、農地の有効活用とともに身近にある水田や畑での農業体験を通して、子供たちが「農」の大切さを理解できるよう、学校関係者、地域の農業者の皆様と連携しながら、みどりの学校ファームの取組を推進してまいります。
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