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掲載日:2023年5月9日
Q 小島信昭 議員(自民)
日本人の食を支えてきた農業は、平成に入って担い手の減少と高齢化が同時に進んでいます。農林水産省によると、農業で主な収入を稼いでいる担い手は、昭和60年に346万人いましたが、平成30年には145万人に減ってしまいました。農業従事者の平均年齢は66.6歳であり、離農が加速しています。
就農者数の減少、高齢化に対応するため、ブランドづくり、国際競争力、生産性の向上などによる所得アップは必要不可欠であります。昨年、環境農林委員会で長野県の川上村を視察いたしましたが、高原レタスのブランド化や海外展開などを行い、平均年商は2,500万円を達成し、後継者不足の悩みはないようでした。一方、平成28年度の埼玉県の農家一戸当たりの生産農業所得は130万円弱と非常に厳しい状況であります。
全国の農業産出額は、平成22年の8兆1,214億円が底で、これに対し、平成29年は14.2%増えております。一方、埼玉県は、平成15年度以降、約2,000億円前後で推移をしておりまして、ほとんど変わっておりません。
担い手不足の分野ほど、ICTやAI等の活用は有効であり、農業はその筆頭だと思います。長年の経験に基づくノウハウのため、これまで伝承が難しいとされていた土づくりや施肥、育苗、防除、温度・湿度管理において、AIが活用できるような状況になってきました。また、農機の自動運転、自動作業が実用化されれば、生産性の向上に大きくつながります。
昨年、TBSで放送されたドラマ「下町ロケット」で自動運転のトラクターが取り上げられました。コンバインの性能がどんなに上がっても、残念ながら、ドラマのように台風の中では、豪雨の中では稲刈りはできませんけれども、農業のICT化が広く国民に認知されるきっかけとなったドラマでありました。
本県においても、梨の摘果アプリ、病害虫発生予察ツールの開発などに着手をしておりますが、早く普及できるレベルに仕上げていただきたいものです。AIやドローンなど実証実験の活用成果を県内農業従事者が広く利用できるよう支援すべきだと思います。
農林部の予算は、平成15年度が368億円ですが、平成30年度には235億円と、上田知事就任以来大幅に減少しています。埼玉農業が選ばれる産業となるよう、予算や人員を増やしたらいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
A 上田清司 知事
埼玉県では恵まれた自然条件と大消費地の近郊産地という立地条件を生かし、農業産出額で全国1位のさといもやパンジーをはじめ多彩な農産物が生産され、県内各地で元気な農業が展開されています。
将来の埼玉農業を担う新規就農者の数は平成16年まで年間180人程度でしたが、平成29年には300人にまで増加しております。
このうち、自ら農業を営む者の数は農業産出額が全国3位の茨城県とほぼ同数であり、これは埼玉の農業に魅力を感じているからだと思っております。
先日、県農協青年部の皆さんと話をする機会がございました。
その中で、「新規就農者は増えている。青年部の会員も10年で約2倍の1,131人になった。埼玉県の農業はまだまだ多くの可能性がある。」との心強い話をされておられました。
私はかねがね新規就農者を更に増やすには、「稼げる農業」であるということが大切と申し上げてまいりました。
また、農業従事者の減少や高齢化が進む中、農業の生産性向上を図るためにはAIやIoTなどの先進技術を活用したスマート農業の推進も重要だと考えております。
本年度から議員お話しの梨の摘果アプリの開発などに着手しており、平成32年度の梨農家での実証に向け、着実に取組を進めているところです。
さらに、平成31年度からはAIなどを活用しお茶の生産管理システムの構築に向け、LPWA通信網などを活用し気象などのデータ収集・解析を行います。
このような若手農家の意欲や先進技術の発達を踏まえると、私は農業は大きな可能性を持っており、稼げる産業として成長していくものと考えております。
今後とも儲かる埼玉農業の実現を目指し経営力があり地域の核となる担い手の育成や、加工・業務向けなどの新たなニーズに対応した産地の育成、これらの基盤となる試験研究などにしっかりと取り組んでまいります。
人員に関して言えば、農業の生産性が向上することでより少ない農業従事者で農業生産が可能になるものではないかと思っております。
県の組織体制もこうした変化に適切に対応できるよう人材の育成が大切であると考えております。
これからも、新たな行政課題に対応できる予算と人員の確保に引き続き努めてまいります。
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