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掲載日:2023年5月9日

平成31年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小島信昭議員)

医療人材確保

Q   小島信昭   議員(自民

本県の平成28年12月31日現在の人口10万人当たりの医師数が160.1人で、全国最下位であるのは皆様御承知のとおりだと思います。さきの12月定例会で、知事は、「医師数は平成28年12月現在1万1,667人で全国第9位、前回調査からの2年間で増加数は609人、増加率5.5%であり、増加数も増加率も全国3位です」と答弁されております。この答弁を聞くと、ついつい安心してしまいそうですが、これらの数字は本質を表わしているものなのでしょうか。都合の良い数字を使った上田マジックではないでしょうか。
人口10万人当たりの医師数46位の茨城県は180.4人で、本県との差は20.3人、前回の調査のときの差が16.8人でしたので、前回より差が拡大しており、平成16年以降最大の差となっています。前の5か年計画でも最下位脱出が目標でしたが、むしろ差が拡大し、残念ながら埼玉県は断トツの最下位です。また、増加率が全国3位と上位なのは、発射台となる基礎数字が低いのですから、当たり前とも言えます。
もう一つのデータを紹介しましょう。人口10万人当たりの医師数を平成16年と平成28年で比較すると、全国平均では39.1人増加しているのに対し、本県は30.7人しか増加しておらず、全国平均を大きく下回っています。同じく12月定例会で、知事は、初期研修を開始する医師数を平成15年度と平成31年度の予定者とで比較すると、増加数と増加率ともに全国1位と答弁されております。この研修制度には、初期研修と後期研修があり、例えば平成28年に初期研修を始めれば、平成30年から後期研修に入ることになります。本県の平成28年の初期研修受講者は286人、これが平成30年の後期研修受講者になると228人となり、2割も減少してしまいました。初期研修を埼玉で受講した医師を中心に、いかに後期研修受講者を確保するのかも重要です。
国は、医学部の総定員数を2022年度以降減らす方向で検討しています。医師数や増加率が少し増えたからといって、決して安心できる状況ではありません。お隣の茨城県は、前回の知事選で多選知事を破って初当選された大井川知事が、記者会見で茨城県医師不足緊急対策行動宣言を発表し、「47位の埼玉県は東京に非常に近い。本当の不便度という意味では、茨城県が一番厳しい環境にある」と発言しています。医師確保対策に本腰を入れているのは、人口10万人当たり医師数ワースト2の茨城県だけではなく、各県とも必死です。
また、今月18日、厚生労働省は都道府県ごとの医師偏在の状況に関する新指標を明らかにしました。これによると、埼玉県は43位で、医師少数県ワースト16団体の一つに位置付けられました。本県内において地域の偏在は顕著ですし、診療科の偏在もあります。今のポジションを考えて、今のうちにしっかりとした対策を講じる必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
また、医師数が少ない要因の一つが、人口規模に比べて県内の大学に医学部が少なく、地元志向の高校生の受皿に乏しいということも影響していると言われています。自民党医療懇話会や自民党国会議員の地道な活動により誘致にこぎ着けた順天堂大学医学部附属病院の整備は、有効な解決策の一つだと確信をしております。当初のスケジュールから3年遅れ、2024年開業が見込まれておりますが、今後どうすることが県民にとって有益かを考え取り組むべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。

A   上田清司   知事

次に、「医療人材確保」のうち、今のポジションを考えてしっかりとした対策を講じることについてでございます。
医師の増加数と増加率を見ると医師数は平成16年から28年の12年間で、全国で4万8,091人増えており、18.7%の増、茨城県では988人、23.2%増加しております。
これに対し、本県ではこの間2,550人増えており、28.0%増と全国平均はもちろん、頑張っている茨城県と比べても増加数、増加率とも上回っております。
一方、同じ期間の人口を比較すると、全国では約75万人減少しており、0.6%の減、茨城県では約8万人、2.8%の減となっております。
本県の人口は同じ12年間で比べると約24万人増えており、3.4%の増となっております。
全国的に人口が減少する局面に入った中、本県においては人口が増加し続けたため、人口10万人当たりの医師数が他県に比べてなかなか伸びなかった、このように考えざるを得ません。
一方、平成28年の医師国家試験合格者数は全国で8,630人ですが、このうち埼玉県の医学部で学んだ合格者数は115人で、全国の1.3%にとどまっています。
この12年間に全国で増えた医師の数は約5万人ですが、このうち埼玉県は全国の5%に相当する2,550人の医師を確保しております。
埼玉県の医学部で学んだ合格者数が115人、そして埼玉県で医師を確保した分が2,550人、毎年、全国で養成される医師数が限られる中、本県以外で養成された多くの医師が本県に集まって勤務をしていただいているものだと思っております。
また、本県の後期研修受講者数は平成29年は226人であったのに対し平成30年は228人であり、診療科ごとに増減はあるものの全体として決して減少はしておりません。
こうした多面的なデータを総合的に見た上で本県の状況について発信していく必要があるかと思っております。
一方、本県においては地域偏在、診療科偏在の解消は最も重要な課題でございます。
地域偏在、診療科偏在の問題を解消するため、平成21年度から医学生向けの奨学金や研修医への研修資金貸与制度を開始しております。
奨学金制度により育成した医学生の卒業が今後本格化し、現在の27人から6年後、2025年には約250人の医師が県内において地域医療を担っていただく見込みになっております。
現在、一人ひとりの希望や適性を考慮しながら、県内で必要とされる専門医へと育成し県内の病院に勤務しながらキャリアアップを図ることができるようプログラムを個別に作成しているところでございます。
このことによって地域偏在と診療科偏在の解消をより進めてまいります。
また、初期研修医が引き続き県内で後期研修を受講してもらう取組についても力を入れております。
従来の研修資金の貸与に加え、来年度予算案において新たな事業を提案させていただきました。
具体的には、海外留学により優れた指導医を育てる留学支援事業と、研修病院に第三者評価制度を導入することにより研修の質を高める事業を実施し、本県での勤務に一層の魅力を感じていただきたいと考えております。
こうした取組を通じ、研修医などの若手医師を牽引する指導医のトップランナーを育成することで、後期研修医の定着につなげてまいります。
引き続き、地域偏在と診療科偏在の解消という重要な課題解決に向けて、有効な対策を積極的に講じてまいります。
次に、順天堂大学医学部附属病院の整備について、今後、どうすることが県民にとって有益かについてでございます。
全国的に喫緊の課題となっている医師の地域偏在や診療科偏在を解消していくために、本県では医師不足地域への医師派遣を条件として大学附属病院及び大学院を公募いたしました。
順天堂大学は毎年100人を超える医師を輩出し、臨床研修医マッチング数も全国トップで、六つの附属病院、1,000人の常勤医師を誇っております。
このネットワークを生かした医師派遣は、地域偏在や診療科偏在を解消する上で大変有効な手段であると考えております。
昨年12月のさいたま市地域医療構想調整会議には順天堂大学学長が出席し、地元医療関係者に対し新病院の医療機能や医師派遣の手法などを説明されました。
県が誘致した一番の眼目である医師派遣について、学長から特に県北部など医師不足地域に対し定期的に医師を派遣する旨のお話がございました。
現在、大学は基本設計の発注に向けて学内で調整中ということですので、県は早期に発注するように促しているところでございます。
もとより大規模なプロジェクトなので、このプロジェクトを確実に実現することが県民にとって最も有益であると考えているところでございます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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