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掲載日:2019年7月11日
Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
これまで障害のある児童生徒は特別支援学校への就学を原則とし、例外的に認定就学者として小中学校へ就学することを可能にしていた従来の学校教育法施行令が2013年に改正をされ、本人の保護者の意向を踏まえ、市町村の教育委員会が総合的な観点から就学先を決定する形に変わりました。
現在、障害がありながらも地域の小中学校の通常学級に通う児童生徒は、県内でも年々増加しており、公表されている数字で最も新しいデータでは、2017年度に小学校が174名、中学校41名が在籍していると伺っております。同施行令の改正によって認定就学者の定義も変わり、障害がある児童生徒が通常学級で学ぶことは法的にも例外ではなくなり、原則は通常学級、例外的に特別支援学校、特別支援学級というように法の優先順位が変わったとも解釈できます。
しかしながら、就学支援の現場では、障害のある児童生徒は特別支援学級、特別支援学校を勧められるケースが多く、実際に通常学級で学ぶことを希望しても、それを受け止めていくための人的体制が不足していますし、通常学級で教育をする経験や課題が教員間で共有されていない実態があります。
これは日本の障害児教育が特殊教育に見られるように、学ぶ場を分ける教育に特化してきた経緯があるためで、学ぶ場を分けず、一緒に学ぶための教育実践の蓄積が圧倒的に少ないことに由来します。どの子も地域の通常学級で学んでいくために、通常学級で学ぶ実態を学校現場で共有していく必要があると考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
A 小松弥生 教育長
障害のある児童生徒が通常の学級で障害のない児童生徒と共に学ぶことは、多様性を認め合い、将来、地域社会の一員として共に生活していく上で意義あるものと考えております。
障害のある児童生徒の就学先決定にあたっては、学校教育法施行令改正の趣旨に沿って、本人・保護者の意向を最大限尊重しながら、持てる力を最大限伸ばせる、よりよい学びの場を選択することが重要であると考えております。
御指摘の「通常学級で学ぶ実態を共有すること」につきましては、通常の学級で身体障害や知的障害のある児童生徒が、共に学んでいる事例が多数ございます。
そうした学級では、お互いを認め合える学級づくりや、一人ひとりが参加できる工夫を取り入れた授業づくりに取り組んでおります。
そのような好事例を、市町村や校長を集めた会議等で紹介してまいります。
再Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
好事例の共有等を行っていくという教育長のお答えでございました。私は、教育と言ったときに、二つあると思うんですね。教え育てるというふうに書く「教育」と、それから共に育つというふうに書く「共育」があるというふうに思っております。
教員などが子供たちを教え育てるということと、多様な子供たち同士が育ち合う、共に育つという教育が必要だというふうに思っておりますが、好事例の共有ということですと、これは大変結構なことなんですが、やはり教育委員会として、この共に育つ「共育」をどう進めていくのかという主体性が今一歩分からなかったというのが感想でございます。
児童生徒の個人の能力の適性を伸ばす、障害を低減させていく、なくしていくという視点ではなくて、障害を前提にした、周りの子供たちが障害のある子供たちを手伝ったりとか、障害のある子供とない子供がどうやって関係をつくっていくのかという、共に育つ「共育」の視点が必要だというふうに思っております。分けられることで専門的にできる教育もありますが、分けられることで失うものもあるというふうに思っております。
そういった子供たち同士の関係性も含めた、共に育つ「共育」をどういうふうに主体的に進めていくのか、そういった一歩踏み込んだことが必要だと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
再A 小松弥生 教育長
議員御指摘のとおり、共に育つという、そういう活動を子供たちが主体的に行うように環境を整える、それが学校としての役割と考えております。
例えば、4月に新しい学級ができた際に、温かい人間関係作りの体験的活動を取り入れたり、学級活動で「お互いのよさを認め合う」というテーマで学級会を開いたりしております。
また、そういったことが下地となって、身体障害のある児童生徒の事例としましては、周りの友達のサポートで黒板のところまで行って発表したり、体育の授業ではその子ができる範囲で周りの子と共に運動したりするという事例があります。
また、知的障害のある児童生徒の事例としては、教科書にルビを振って周りの子と一緒に音読をしたり、グループ活動では話し合いの手引きを用意したりするなど、障害の程度に合わせた工夫をして、共に学ぶという事例がたくさんございますので、きちんと各市町村、学校に紹介をしてまいりたいと考えております。
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