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掲載日:2019年7月11日
Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
今年5月28日、川崎市多摩区の登戸駅付近で小学生ら19人が刺された殺傷事件では、容疑者の男が長期ひきこもり状態にあったことから、ひきこもり状態にある人たちを犯罪者予備軍であるかのように見る向きも出てきています。
それを裏付けるように、事件から3日後の6月1日には、東京都練馬区で元農林水産省事務次官が、ひきこもり状態にある自分の息子が川崎市のような事件を起こすのではないかと危惧をし、それを未然に防ぐためとして息子を殺害するという痛ましい事件が発生しております。
8050問題という言葉がございます。これはひきこもりの長期化に伴い、親が80歳代、子供が50歳代を迎えたときに、生活困窮や介護の問題に直面することを表現した言葉でもあります。今回の二つの事件が正にこれに該当するということで、改めて注目を集めているところです。
言うまでもなく、生まれたときからひきこもっている人はいません。ひきこもるにはひきこもるための理由があります。ひきこもりとは、社会の中で挫折やいじめなど何らかの形で傷つき、一時的に社会との関係を断っている状態です。ひきこもりという人がいるわけではなく、ひきこもりという状態を指しているに過ぎません。
人生の一時期、深く傷つき、通常の人間関係を社会の中で維持していくことが困難になり、自己防衛的にひきこもり状態になっている。であるならば、しっかりとひきこもり、自分と向き合い、再び社会に向き合っていくための自尊感情を回復するための時間をとることが大事で、よくある引っ張り出しのような手法は、回復しかけた傷を悪化させ、かえってひきこもりを長期化させてしまうことになると考えます。ひきこもり状態を慢性化させたくない、暗に社会復帰を促したりして追い立てるのも、かえってひきこもりを長期化させることになりかねないとの指摘もあります。
逆説的に言えば、ひきこもり状態を長期化させないためには、安心してひきこもれる環境が必要とも言えます。ひきこもりをよからぬもの、早く終わらせなければならないものと捉えるのではなく、その人にとっては必要なプロセスであると周囲が認めて、安心してひきこもる環境をつくること、ひきこもりを許容していく社会をつくることが必要と考えます。
そこでお聞きしますが、上田知事はひきこもりについてどのような認識をお持ちでしょうか、お考えをお示しください。
A 上田清司 知事
ひきこもりのきっかけは様々で、一度挫折するとセカンドチャンスが見えない社会ということが問題であると考えます。
子供から高齢者まで、女性も男性も、障害や難病のある方も、経済的に困難を抱える方も、誰にでも居場所とチャンスがある社会、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会にしていかなければならないと思います。
社会的弱者も含む全ての人の孤立を防ぎ、社会との関わりを持って生活できる社会を実現するという観点からひきこもり問題に取り組む必要がございます。
まず、ひきこもり当事者やその家族に寄り添った対応が重要となりますが、当事者が前を向いたときに、セカンドチャンスをどのように用意できるか、このことが大きな問題であります。
県ではひきこもりを卒業して働きたいと希望した若者には「若者自立支援センター埼玉」を通じてはじめの一歩を踏み出す手伝いをしております。
一方で、この問題はひきこもりになったきっかけ、ひきこもりの期間、家族や社会環境など複雑な要因が関係している場合が多く、パターン化した解決方法を当てはめていくことが大変難しいものだと思っております。
このため、ひきこもりの解決に向けて様々な経験をしている専門家の皆さんの力を借りて解決の方法を見出すことになります。
県ではひきこもりの方々の「集いの場」を運営する民間団体に財政支援をして、そうした力を活用させていただいております。
そこでは近隣農家の手伝い、手作りの工芸品の制作と販売など就労の足掛かりとなる作業に取り組んでおられるところもございます。
今後も、ひきこもりの方を支援する民間団体の方々を積極的に応援しながら、セカンドチャンスにつながるようしっかりと対応していかなければならないと考えておるところでございます。
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