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ページ番号:266015
掲載日:2025年3月26日
Q 田村琢実 議員(自民)
埼玉県の保育士不足は、近隣の都県と比較した場合、厳しい状況が続いています。保育士不足の状況は、令和6年1月時点において、全国平均3.54倍に対し、埼玉県は4.03倍と高い状況にあり、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の中でも保育士有効求人倍率は高く推移し、埼玉県の保育士不足が深刻な状況であることがうかがえます。
また、潜在保育士に目を向けると、全国80万人の潜在保育士が就業を希望しない理由として、処遇面が第1の理由に挙がっています。
このような中、保育士不足解消と離職防止に向け、東京都は最大4.4万円、千葉県は2万円、神奈川県横浜市は4万円など、埼玉県を除く自治体は独自の取組を行っており、保育士不足に努めております。
国の保育士賃金統計においても、全国平均396.9万円と比較し、東京都は453.5万円、神奈川県は416.7万円、千葉県は388.2万円に対し、埼玉県は377.9万円となっており、自治体の取組が年収格差となって有効求人倍率へと如実に表れているのです。
そこで、埼玉県の保育の質の確保及び向上を図るために、県独自の処遇改善策を行う必要があると考えます。知事は、処遇改善加算を求めると、決まって公定価格の問題を取り出し、公定価格の改善が先であるかのような答弁をいたしますが、国の変革を待っているほど保育の現場は余裕がありません。今こそ、県の自治事務として決断するときではないでしょうか。知事の所見を伺います。
また、ますます進む保育士不足に対応するため、柔軟かつ効果的に保育士の負担軽減や離職防止策を講じなければなりません。
埼玉県では、低年齢児保育促進事業の1歳児担当保育士雇用費4対1は、国の基準より厳しくなっており、保育士の負担軽減と事故防止の観点からも重要な要件であり、評価しております。しかしながら、保育士不足等の要因により4.1の配置が難しい保育施設もあります。
そこで、埼玉県が令和6年度より実施している保育士の朝夕の特例配置を例として、1歳児担当保育士雇用費補助事業においても、子育て支援員などを日中の保育業務に当たる加配分職員として活用できるように制度を改善することを求めますが、知事の所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
私は、本県の保育士の給与水準が近隣都県と比較して低い状況にあることの大きな要因は、現在の保育の公定価格の地域区分が、本県の実情に合わず低く設定されていることにあると考えています。
そのため、地域区分の見直しに向けて、国に対し、あらゆる手段を尽くして働き掛けてまいりました。
その結果、12月6日の参議院予算委員会において、石破茂内閣総理大臣からは「保育の公定価格の地域区分については、人事院勧告に準拠すると、都道府県単位で広域化することで県内の不均衡の解消が図られる一方、埼玉県が一番の例だが、県外の隣接する市町村との差が拡大するため、自治体をはじめとする関係者の意見を聴きながら、こども家庭庁で成案を得ていきたい」との答弁がありました。
加えて、12月19日に本県単独で、12月23日には共通の課題を抱える千葉県や奈良県などの6県が共同で、三原じゅん子内閣府特命担当大臣に対し、地域の実情を十分に反映するよう強く要望いたしました。
三原大臣からは、令和7年度からの地域区分の見直しは実施せず、他の社会保障との関係もしっかりと考えながら、丁寧に議論を進めていく旨の回答を頂いたところであります。
引き続き、国に対して地域の声がしっかりと届くよう、あらゆる手段を尽くして強く働き掛けてまいります。
他方、国への要望が実現するまでの間は、保育士確保に効果的な取組を県独自に実施、継続していくことも重要と考えます。
御指摘の処遇改善事業は、必ずしもその全てが保育士の処遇改善に結び付くものではなく、県では、保育士に直接支援が届く処遇改善策として、就職準備金の貸付けや宿舎借上補助の県独自の上乗せのほか、保育士への奨学金返済支援を行っております。
さらに、来年度には、一定期間の就業で返還を免除される就職準備金貸付を拡充し、20万円コースに加え新たに30万円コースを創設するとともに、県外から転居を伴って県内の保育所等に就職された方に対しては10万円の加算を行うことといたしております。
また、これまでも育児休業から復帰又は復職した保育士のこどもの保育料の半額を最大1年間貸し付ける事業がありましたが、この貸付期間を保育料無償化の対象となるまで延長し、保育士に直接届く支援の充実を図りたいと考えております。
次に、一歳児担当保育士雇用費補助について、子育て支援員等を活用できる制度に改善を求めることについてであります。
県単独事業の一歳児担当保育士雇用費補助については、一歳児の心身発達の特性に応じた保育を安定的に実施できるように保育士、保育教諭等を補助対象としており、子育て支援員研修修了者などのいわゆる「特例保育士」は対象としておりません。
県が、特例保育士の活用について、保育の実施主体である市町村や保育団体から意見をお伺いしたところ、「保育の質の担保や安全性の確保が図れない可能性がある」といった反対意見もありましたが、「保育士確保が厳しい中で保育の受け皿確保につながる」といった賛成意見の方が多くございました。
県といたしましては、こうした現場の意見や、令和8年度から本格導入される「こども誰でも通園制度」により保育士確保が一層厳しくなる状況を踏まえ、令和7年度から特例保育士の活用ができるよう準備を進めてまいります。
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