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ページ番号:255742

掲載日:2024年7月12日

令和6年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(阿左美健司議員)

ニホンジカの獣害対策について

Q 阿左美健司 議員(自民)

秩父地域は、先ほども申し上げましたが、美しい自然が魅力です。その一方で、野生生物による農作物・林業への被害は、依然として深刻なものです。その代表的なものとして、ニホンジカによる被害が挙げられます。
植林した杉やヒノキの苗木や貴重な高山植物を食べてしまったり、天然林の樹皮の皮をはいで食べてしまったりなど、食害が広がっています。ニホンジカの食害を受けるとその後食物が育たないので、森林生態系への影響も危惧されているところです。さらには、森林内の下草、下層植生を食べ尽くした結果、地面がむき出しになり、森林の土壌の流出による水源涵養機能にも影響を及ぼします。
ニホンジカは群れを形成するため、その被害も広範囲に大きくなります。生息域の拡大などにより人里での農業被害も顕在化しており、農家だけでなく家庭菜園で育てた野菜や果物までもがニホンジカに食べられてがっかりしたという落胆の声をよく耳にします。
このようにニホンジカによる被害は、農業や林業を営む生産者にとって経済的損失はもとより、その意欲を大きく損なうものです。
また、ニホンジカが人里に近づくことにより人との接触による事故も発生しており、秩父地域でもニホンジカと自動車などが衝突する交通事故も頻繁に起きています。また、例年5月に皆野町と東秩父村にまたがる秩父高原牧場で開催される天空のポピーまつりは、今年はニホンジカの食害などによりつぼみなどが食べられてしまい、来場者をがっかりさせてしまいました。こうした有害鳥獣対策については、新井豪議員も様々な機会を捉えてその重要性を指摘しています。
特に、ニホンジカの被害に対してはしっかりと対策をしていくために、狩猟者などの獣害対策の担い手育成の取組が欠かせません。例えば、長瀞射撃場は狩猟者の技術向上の場としての役割を担っていますが、若手狩猟者の育成の場としてのより一層の積極的活用が必要なのではないでしょうか。
さらに、捕獲されたニホンジカの処理方法については、捕獲者などが持ち帰って処理することが多いようです。地元の方からは、捕獲したニホンジカがジビエとして有効利用する一方で、それ以外のジビエに利用できないところについては、自分たちで自分たちの土地にユンボで穴を掘って埋設などで処理しているものの、駆除頭数が多くなり、不十分な埋設処理の場合には、熊などの他の野生動物により掘り起こされて、そのえさになってしまうこともあるそうです。
つまりニホンジカを駆除したことにより、熊などを人里に呼び寄せてしまうのです。熊などを呼び寄せないためにも、捕獲したニホンジカの処理を適切に行うことが重要と考えます。
そこで、環境部長にお聞きします。
まず1つ目、これまでの獣害対策の担い手育成の取組とニホンジカの個体数の現状についてお聞きします。
次に、2つ目、今後のニホンジカの獣害対策についてどのような考えなのか、お聞きします。
3つ目、捕獲されたニホンジカはどの程度ジビエに利用されているのか。ジビエに利用されるものの以外のものはどのように処理されているのか、お聞きします。

A 石井貴司 環境部長

まず、「これまでの獣害対策の担い手育成の取組とニホンジカの個体数の現状」についてでございます。
ニホンジカによる農林業被害や、森林生態系に影響する樹木の食害などを防止するためには、計画的にニホンジカを捕獲し、その個体数を管理していくことが必要です。
そのためには、高齢化などにより減少している捕獲の担い手の確保・育成が欠かせません。
そこで、県では、狩猟免許の取得促進に向け、必要となる知識や銃の扱い方などの実技に関する事前講習会を実施しております。
令和5年度には、事前講習会を17回実施し、併せて、狩猟免許試験の実施回数を従来の5回から6回としたところ、その合格者数は令和4年度の341人から168人増加し、509人となったところでございます。
また、長瀞射撃場を活用し、狩猟経験の少ない狩猟免許取得者向けに、実際に射撃も行う初級者研修を実施しています。
さらに、群れをなして行動するニホンジカを集団で追い込み捕獲する「巻狩り」の実践研修を、事前に長瀞射撃場で安全講習及び射撃講習を行った上で、秩父市と飯能市の山間部において実施しております。
こうした取組により担い手確保・育成を図りつつ、計画的に捕獲を進めているところであり、ニホンジカの推定個体数は、ピークとなった平成30年度の14,364頭から令和4年度には約4,000頭減少し、10,174頭となっております。
次に、「今後のニホンジカの獣害対策」についてでございます。
県では、令和3年度に「第3次第二種特定鳥獣管理計画」を策定し、ニホンジカの個体数を令和8年度までに約4,500頭とすることを目標としております。
この目標の達成に向け、捕獲の担い手の確保・育成には継続して取り組んでいく必要があると考えます。
そのため、令和6年度におきましても、狩猟免許試験や事前講習会を令和5年度と同様に実施し、受験者の掘り起こしに努め、狩猟免許取得者の増加に向け取り組んでまいります。
また、長瀞射撃場で実施している初級者研修では、参加者の約9割が「また参加したい」とのアンケート回答をいただいておりますが、研修対象者の1割程度の参加に止まっております。
今後は、射撃を実践する研修内容や参加者の声などを実施案内に盛り込むなどPRを強化し、参加者の増加に努めてまいります。
加えて、広域で移動するニホンジカの対策には、近隣都県との連携も重要と考えます。
県では、国や近隣都県などで構成する「関東山地ニホンジカ広域協議会」に参加し情報共有などを行っておりますが、今後は、都県境における共同捕獲や生息調査の実施についても検討を進めてまいります。
次に、「捕獲されたニホンジカのジビエの利用とそれ以外の処理の状況」についてでございます。
令和5年度に有害鳥獣捕獲を実施した関係市町村におけるニホンジカの処理状況を調査したところ、捕獲頭数2,577頭のうち、ジビエでの利用は約7%にあたる184頭でございました。
ジビエ以外の処理方法については、約57%が埋設処理、約36%が焼却処理となっております。
議員お話の通り、埋設が不十分な場合、クマなどを呼び寄せてしまう恐れがございます。
有害鳥獣の捕獲後の埋設などの処理方法については、国立環境研究所などがガイドブックを作成しており、これを関係する市町村や猟友会に改めて周知し、地元と連携を図りながら、適切な処理が行われるよう取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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