トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(齊藤邦明議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 齊藤邦明議員(自民)
元気な高齢者は肉をよく食べていると言いますが、その考えは正しいようです。かむ力を保つことで、口から栄養を取ることができ、元気でいられるのです。新生児と高齢者の口元は似ています。歯がないこともありますが、口の周りの筋肉が弱いからだと専門家は言います。新生児の口輪筋の未熟さが、高齢者の口輪筋の衰えが似たような口の形をつくっているのです。つまり、高齢者の場合は、口腔機能の衰えであるオーラルフレイルのサインとも言えるのです。
日本歯科医師会では、健康長寿のサポートに向け、以前から取り組まれている8020運動に加え、オーラルフレイル対策に取り組んでいます。活舌低下、わずかのむせや食べこぼし、かめない食品の増加など、ささいな口腔機能の低下から始まるオーラルフレイル、これは地域保健事業や介護予防事業による対応が可能です。
オーラルフレイルが悪化すると、口腔機能低下症となり、歯科診療所での対応となります。更に進行すると口腔機能障害となり、専門的な対応が必要となります。つまりは症状に早目に気付くことが大切なのです。そして、これら様々な口の衰えは、体の衰えであるフレイルに大きく関わっています。したがって、超高齢社会である日本、特に高齢化が急速に進む本県においては、口腔機能を維持回復させる訓練方法を早急に導入する必要があると考えます。
本庄市児玉郡歯科医師会では、口腔トレーニングの重要性に鑑み、全国に先駆け、10年前より普及啓発活動に努めてきました。正しい鼻呼吸と嚥下を身に付けるために、以前紹介したことのあるラビリントレーナー、現在はエントレという口腔機能訓練器具を使い、哺乳運動を擁した独自のトレーニングを行っています。なお、赤ちゃん用のおしゃぶりでも代用はきくそうです。
昨年からは、リハビリ病院において、理学療法士とともに口腔機能低下症が疑われる要支援、要介護高齢者に対し、口腔トレーニングを行ってきました。対象者は従来のリハビリに加え、ヘルパーの協力の下、エントレを使った独自の体操に取り組みました。3か月後、半年後に検査を実施した結果、口腔機能低下症の該当者数は、35人から28人に減りました。また、舌圧などの口腔機能回復だけでなく、肺活量や歩行速度などの全身機能にも数値として明らかな改善が見られました。
さらには、インフルエンザや肺炎で昨年は30人が入院していたそうですが、トレーニングに参加した方は、どちらにかかることもなかったとのことです。時間とともに口や体の機能が衰えてくるものだと考えられている要介護高齢者であっても、今回の検証により、口腔トレーニングと全身トレーニングをともに続けることで全身機能は改善されるということが示されました。
このエントレを使った独自の体操はとても簡単で、対象者を選びません。したがって、要支援、要介護高齢者を対象とした口腔トレーニングを県として展開する価値は十分にあると思います。また、要支援、要介護状態になっていなくても取り組むべきだと考えます。
口腔機能の低下から、食事と会話に支障を来すことで、人との付合いがおっくうになってしまいます。その結果、閉じこもりにつながることにもなりかねません。高齢者の健康維持に向けて歯科医師と連携し、口腔機能訓練器具を用いたトレーニングを県内全域に広めていただきたいと思いますが、福祉部長の御所見をお聞かせ願います。
A 知久清志 福祉部長
議員お話のとおり、口腔機能の衰えであるオーラルフレイルは全身の健康状態に大きく影響し、高齢者にとっては寝たきりや認知症の引き金になるとも言われています。
口腔機能が衰えても、適切な対応により機能回復が見込まれるため、早期に気づきトレーニングすることが健康維持につながります。
昨年度、国が策定した介護保険事業計画の基本指針においても「口腔機能向上に係る活動の推進」が盛り込まれたところでございます。
県でも、歯の健康法や口腔機能トレーニングなどの口腔ケアについて、昨年度作成した介護予防プログラム集の中で紹介しています。
このプログラム集では、口腔ケアの重要性やだれでも簡単にできる「舌と喉の筋力トレーニング」などを掲載しており、市町村や地域包括支援センターの職員向けの研修で周知しているところでございます。
また、住民が集まって体操などを行う「通いの場」でも配布し、口腔ケアの重要性を理解していただき、効果的なトレーニング方法を普及しています。
議員のお話にありました、口腔機能訓練器具を使ったトレーニングは、口の周りの筋力が鍛えられ、飲み込みや呼吸機能の向上に効果があると学会でも発表されています。
本庄市では、78か所ある「通いの場」のプログラムの一つとして、希望する21か所で器具を使った口腔トレーニングが行われています。
参加者へのアンケートでは、「風邪をひきにくくなった」「むせにくくなった」などの声が寄せられていると聞いております。
介護予防において、全身トレーニングと口腔トレーニングを併せて行うことは非常に重要です。
本庄市が行う、歯科医師と連携した器具を使ったトレーニングの取組も効果的な取組として全市町村に紹介してまいります。
今後も、高齢者の健康維持のため全身トレーニングだけではなく、多くの方に口腔ケアに取り組んでいただけるよう、市町村に働きかけてまいります。
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