トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(細田善則議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 細田善則議員(自民)
様々な分野でフィンテックを活用した新サービスが登場していますが、人々の日常の風景を劇的に変えるとすれば、現在2割ほどにとどまっているキャッシュレスの普及なのではないかと思っております。経済産業省では、2025年にキャッシュレス決済を現状の倍の40%にするという方針を示しております。
しかしながら、各国の主流の決済方法が違っていること、VISA、マスター、JCBなどクレジットカードのブランドも複数あること、また、非接触系ではFeliCa、NFC、QRコードなど乱立をしていて、小売店がどれに対応すべきか非常に分かりづらい現状であります。
また、日本でキャッシュレスが普及しない理由として、すり、盗難が少ない治安の良さ、現金の信用が高いなどが挙げられ、日本の国の一つの誇りとして表現されることもありますが、それを支えるために、実は社会的なコストがかかっていることも見過ごしてはなりません。
みずほフィナンシャルグループによると、年間でATM運営に約2兆円、小売、外食産業の現金取扱いに関わる経費に約6兆円が費やされていると試算されております。誇りを守るために、これからも日本が現金決済主義であり続けたら、決済コストが効率化され収益性が高まった海外の企業と競争力で差がついて、結果として日本の国益を損なうおそれがあると危惧をしております。
世界の潮流としては、決済の利便性向上はもとより、それに伴い収集される決済情報のビッグデータをマーケティングに活用していくという方向性にありますが、日本ではまだまだ、加盟店がサービスの一環として3%から7%の利益を削ってカード決済を導入するという認識が残っており、少額決済のお店に余り導入されておりません。よって、日本では5,000円以下の少額決済、全体で100兆円規模ありますが、その9割が現金決済で、それをキャッシュレスに移行することで、これまで捉えられなかった消費者行動を分析し、新たなビジネスに展開できることが考えられます。例えば2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックでは、30ユーロ以下の少額決済はサインレスになった結果、キャッシュレス決済が急増したそうです。本県でも来年、再来年と世界中から多くのお客様が訪れます。2020年、埼玉県のキャッシュレス普及の転機とするべきです。
そこで伺います。生産性の向上に結び付くキャッシュレス対応を導入する県内の事業者に対しサポートすべきだと思いますが、産業労働部長に御所見をお伺いいたします。
キャッシュレス決済の普及には、インフラの整備と同時に消費者教育が必要です。キャッシュレスの正しい活用方法、また危険性を県民に伝える必要があると考えますが、こちらは県民生活部長に御所見をお伺いいたします。
A 渡辺 充 産業労働部長
商品購入の支払をクレジットカードや電子マネーなど、現金以外で行う、いわゆる「キャッシュレス決済」は、海外で急速に進展しています。
議員御指摘のとおり、生産性の向上に結び付くほか、デジタル化された支払記録をビッグデータとして分析し、新たな産業の創出につなげていくことは、今後の産業政策を進める上で極めて重要な視点です。
国においては、キャッシュレス検討会を立ち上げて検討を始めたところであり、本県においても早急に取り組むべき課題であります。
店舗においては、人手不足の状態が続く中、現金に関する様々な業務に時間をかけています。
民間シンクタンクの調査では、1日のレジ現金残高の確認作業だけでも、レジ1台当たり平均25分、1店舗になると合計2時間33分も時間を要しています。
キャッシュレス対応すれば、この時間を省力化できるほか、人員配置などについても効率化することが可能です。
現在、県では産業振興公社にアドバイザーを配置し、ICTによる高機能なレジシステムの導入や利活用の支援を行うとともに、キャッシュレス決済に関する相談に応じています。
また、今年度からは飲食業や小売業に対し、自動会計仕訳ができるクラウド会計ソフトの導入支援を始めたところです。
ICTによるレジシステムや会計ソフトの導入は、事業者にとって現行業務を見直す絶好の機会であり、キャッシュレス決済を組み合わせることで、更なる生産性の向上が期待できます。
一方で、キャッシュレス決済の普及推進には、課題もあります。
店舗では、端末の設置費用や手数料などのコストがかかるほか、現場スタッフの教育などの負担が生じます。
また、より消費者の利便性を高めるためには、店舗ごとに進めるのではなく、例えば商店街単位など、広域的な取組を検討する必要があります。
今後は、こうしたメリットや課題なども踏まえ、国が検討を始めている助成制度や税制面の優遇措置などの動向を把握しながら、キャッシュレス決済の普及推進に取り組んでまいります。
A 矢嶋行雄 県民生活部長
キャッシュレス決済のメリットとしては、現金を持たない、クレジットカードの場合には社会的な信用を示せるなどがあります。
一方、デメリットとしては、使いすぎてしまう、使用できる店舗が限られることなどがあります。
平成29年度の県内の消費生活相談窓口で受けました「クレジット利用」に関する相談件数は6,122件でございます。
これは、インターネット通販を始めとするクレジットカードの利用拡大等によりまして、前年度と比べ10.4%の増加となっております。
県では、正しい金融と金銭知識の効果的な普及を図るため、暮らしに身近な「お金」に関する講座、講演会の開催や広報資料の配布を行っております。
また、児童や生徒など若年者に対する消費者教育の充実を図るため、教職員を対象としたセミナーを実施しております。
その中で、クレジットカードや電子マネーの仕組みと利用に関する注意事項などについて普及啓発を行っております。
キャッシュレス決済の普及推進につきましては、正しい金融と金銭知識を持つことが重要でございます。
引き続き、「お金」に関する講座、講演会の開催や広報資料の配布を通じまして、広く県民に対し金融と金銭知識の普及が図れますよう取り組んでまいります。
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