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ページ番号:260111
掲載日:2024年10月23日
Q 栄寛美 議員(自民)
日本の企業の99パーセントを占める中小企業は、地域経済や雇用、技術の担い手として日本を支える重要な存在です。2023年の帝国データバンクの埼玉県企業後継者不在率動向調査によると、近年は後継者が見つからないことで事業が黒字でも廃業を選択する企業は多く、日本政策金融公庫の調査では60歳以上の経営者のうち60パーセント超が将来的な廃業を予定、このうち後継者難を理由とする廃業が約3割に迫るとのことです。
埼玉県企業全業種約1万1,000社における後継者動向の調査結果では、後継者がいない、又は未定とした企業は約6,400社に上り、後継者不在率は58.4パーセントでした。7年連続で前年に比べて改善傾向にありますが、依然として後継者不在率は高い数値であり、不在率の改善に向けて国、県、金融機関等の一層の支援が必要です。
また、後継者候補が判明した埼玉県企業約2,600社の後継者属性では、最も多かったのは子供の38パーセント、次いで非同族30.2パーセント、親族25.4パーセント、配偶者6.4パーセントでした。子供、配偶者のファミリー承継が減少した一方で、非同族、親族は増加傾向が続いています。さらに、事業承継中のアクシデントやトラブルの発生による諦め防止に向けた取組も重要になると見られ、後継者決定後のフォロー、サポート体制の充実も求められると報告されております。
事業承継支援の効果としては、中小企業庁の事業継承時の経営者年齢別に見た事業再構築の取組状況のデータからは、事業承継時の経営者年齢が若い企業ほど事業再構築に取り組む傾向にあるという結果も示されています。
そこで、本県における事業承継の支援について、以下3点、産業労働部長の御所見を伺います。
1点目、事業承継支援の取組状況について。
2点目、マッチング及びM&A等の支援について。
3点目、事業承継に関する今後の課題とその対策について伺います。
A 目良聡 産業労働部長
まず、事業承継支援の取組状況についてです。
優れた技術やサービスなどを持ちながら、後継者不在により廃業を余儀なくされる企業が増えることは、従業員の雇用喪失やサプライチェーンの乱れにもつながり、本県経済にとって大きな損失でもあります。
県では、将来に不安を抱える中小企業が専門家のアドバイスを受けられるよう、産業振興公社に事業承継アドバイザーを配置するとともに、熊谷地方庁舎内に相談窓口を開設しております。
今年度からは、東部地域の「ふれあいキューブ」、西部地域の「ウェスタ川越」においても、毎月、専門家による個別相談会を開催し、相談体制を強化したところです。
また、課題が多岐にわたる事業承継が円滑に進むように、商工団体や金融機関、税理士などの士業団体等で構成する「埼玉県事業承継ネットワーク」を構築し、連携して支援にあたっています。
さいたま商工会議所に設けられた埼玉県事業承継・引継ぎ支援センターが事務局となって、各構成員が中小企業から受け付けた相談で単独では解決が困難なものについて、より専門性や強みを持つ他の構成員に取り次ぎ、連携して対応しております。
次に、マッチング及びM&A等の支援についてです。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業診断士等の専門家がM&Aによる事業承継の相談に対応し、金融機関と連携して買い手企業とのマッチングを行うとともに、M&Aの交渉に必要な書類の作成などを支援しています。
また、後継者不在の小規模事業者等と創業希望者とのマッチングを行うための「後継者人材バンク」も運営しています。
その結果、M&Aを含む第三者承継を昨年度は63件成立させました。
引き続き、売り手、買い手双方の意向を十分に踏まえてマッチングを進め、M&Aなどの事業承継に結び付けてまいります。
最後に、事業承継に関する今後の課題と対策についてです。
一般に、事業承継の準備には後継者の育成期間を含めると、5年から10年かかると言われております。
一方で、県内企業経営者の平均年齢は、民間調査によると64.1歳となっており、早目の計画的な準備を促すことが喫緊の課題だと考えております。
そこで、毎年、経営者の年齢が60歳以上の企業や個人事業主、約1万2千社に対し、後継者の有無や事業を引き継ぐ上での課題を尋ねるアンケートを、相談窓口の案内とともに郵送しております。
電話によるフォローアップも併せて行い、経営者に事業承継の準備を啓発し、必要な支援につなげております。
また、後継者の育成については、次世代を担う若手経営者を対象とした「彩の国事業承継塾」を開講して対応しています。
今後は来年度開所予定の(仮称)渋沢栄一起業家サロンも活用しまして、県内中小企業の事業承継が円滑に進むよう支援してまいります。
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