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掲載日:2023年5月15日
Q 諸井真英議員(自民)
現時点での太陽光発電施設設置に関する問題点を指摘させていただきます。
まず、発電事業者は、発電容量が50キロワット未満であれば電気事業法の対象にならないこと、また、小口の太陽光設備は建築基準法上の工作物でもない。つまり法律の規制対象外であるために事業者は施設に名前を示していないことが多く、誰がやっているのか分かりません。さらに、このような事業者のパネルの土台はパイプで組んだだけとか、ドラム缶を置いただけの簡素なもので、その上に数百キロのパネルが乗っかっております。そこに何の規制もありません。1年ほど前、群馬県伊勢崎市で突風が相次ぎ、太陽光パネルが200枚以上飛ばされ破壊をされました。同じようなぜい弱な足場だったためだと考えられます。
今流行している太陽光ビジネスの形は、メガソーラーを50キロワット未満に小分けしてばら売りし、投資家を募っているという内容であります。先ほど述べたように、それ以下ならば電気事業法の規制がかからず設備を安くできるし、投資もしやすくなります。しかし、小分けにすることで変換器を大量に置くことになり、非常に発電の効率は悪く、そして景観も悪くなります。
先日、私は、太陽光発電施設による乱開発が問題となっている山梨県北杜市を訪問してきました。北杜市では住宅地に面する森林が乱開発され、いきなり太陽光ができる例が多発をしております。そして、住民説明会をせずに突如建設を行う事業者も多いと伺いました。別荘地の隣の森が突如切り開かれ、メガソーラー発電所ができ、土地の資産価値が暴落、設置業者と住民とでもめているケースもあります。
再生エネルギー拡大は環境を守るため、安全なエネルギーを確保するためだったはずなのに、実際はそんなことではなく、日本の原風景とも言える里山と森林が太陽光発電の政策の失敗によって、そして事業者の欲望と無責任、無対応の政治行政によって破壊されているというのが北杜市で見た現実であります。
もちろん、再エネの振興は様々なメリットがあることは否定をしません。しかし、一度開発したら再生まで時間のかかる森林、あるいは田畑を潰してまで太陽光発電を増やす必要があるのでしょうか。エネルギー政策の目標は、国民が豊かな生活を送るために安く安定的なエネルギーを利用できること、その結果としてそれを実行する産業が発展し、社会に利益を還元することであると考えます。ところが、北杜市の現場を見れば、再エネ振興策で利益を得るのはごく一部の人のみであり、その中には公共性も省みない悪質な事業者も参加をしています。彼らを優遇する社会的意義はないと考えます。
そして、北杜市に行って驚いたのは、県も市もこの太陽光施設がどのくらいあるのか全く把握をしていませんでした。つまり野放し状態であるということです。
ここで確認をしますが、埼玉県内で太陽光施設を設置した業者はどのくらいあるのか、太陽光施設は何件あるのか、広さはどのくらいあるのか、今後何件増える計画があるのか、環境部長にお伺いいたします。
こうした現状を考えると、国、県、市それぞれのルールづくりが早急に必要だと考えます。秩父、飯能などの森林地域、私の地元羽生市をはじめ水田農地を多く有する本県も例外ではないと考えます。
そこで、幾つかの提案をいたします。
まず、1点目、家庭で行う屋根などを除いた上で、50キロワット未満の設備を電気事業法と建築基準法で早急に規制対象にして設置ルールを明確にするべきと考えます。これを国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
2点目、また自然保護への配慮も必要と考えます。ドイツでは木を切って再エネ事業を行う際には、その分の植林を行うなどの義務を課しております。日本でも再エネ事業者は環境・景観保護の法規による規制、あるいは義務を課すべきと考えますが、いかがでしょうか。
3点目、既存の発電設備に対しても規制を強化し、さらに遡及適用を求める必要があります。現状では余りにも危険で、人命などを損ないかねない施設が多く存在するため放置することはできないと考えますが、どのように対応するのかお答えください。
4点目、大規模メガソーラーは、日照や送電網の関係から適地があると考えます。現状無規制の野放し状態を改めて、県が独自に用地指定を行うべきだと考えますが、どのように対応するのかお答えください。
以上4点、環境部長にお伺いをいたします。
A 宍戸信敏 環境部長
まず、「設置業者数、太陽光施設の件数及び広さ、今後何件増えるか」についてでございます。
太陽光発電設備の設置については、電気事業法の規制と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」いわゆるFIT法に基づく固定価格買取制度における国の認定によって管理されております。
これらに基づいて認定件数と発電容量については国から一般に公表されております。
主に家庭の屋根に設置されている10キロワット未満のものを除くと、平成28年1月末現在、埼玉県内で稼動しているものは14,325件、発電容量は合計で570メガワットでございます。
これは一般家庭が一年間に使用する電気量の約14万世帯分に相当いたします。
この発電容量から設置面積を推計いたしますと約4平方キロメートルに相当します。
設置業者数については国から公表されておりませんので把握しておりません。
今後の設置基数等の増加見込みですが、これも先程と同様10キロワット未満を除いて数えますと、現在県内には国の認定は受けたものの稼動していないものが9,730件ございます。
様々な事情から今後電力会社との接続契約ができないものもありますので、稼動するのはこの中の一部と見込んでおります。
次に4つの御提案について順次お答えを申し上げます。
まず、法改正を国に求めることの提案でございます。
パネル設置に対する安全性などにつきましては、議員御指摘のとおり、様々な問題事例が発生しております。
本県でも、全国知事会を通じて、あるいは本県独自の要望制度において、安全性確保のための基準の整備などを国に要望してまいりました。
こうした動きを受け、国においても太陽光発電設備の規制の見直しの検討を進めてきたところでございます。
今後、経済産業省の産業構造審議会において、50キロワット未満を含む全ての太陽光発電設備の設備基準の改定の検討を進めていると聞いております。
県としても、こうした動きを加速するよう国に働きかけるとともに、議員からいただいた問題提起や市町村の現場の声などをしっかり受け止め、必要な改正を国に要望してまいります。
次に、事業者に環境保護規制や義務を課すべきとの御提案でございます。
太陽光発電設備の設置に際しましては、地域との共生が図られるよう周辺環境に適正な配慮をしなくてはならないと考えております。
その設置については、いわゆるFIT法に基づく固定価格買取制度における国の認定が必要です。
その制度の中では、土地利用を始めとする他の法令を適切に守ることによって、環境への配慮を担保する仕組となっております。
しかし、これまでは、他法令違反があってもいわゆるFIT法には直ちに認定の取消をする制度はありませんでした。
国はこのFIT法を改正し、来年度当初より施行いたします。
その中で、従来なかった事業計画の提出の義務や、他法令違反があった場合の改善命令、認定取消の実施などが明確にされました。
これにより、関係法令が適切に守られるようになり、一定の環境への配慮が担保される仕組へと変わっていくものと考えます。
県といたしましては、まずは改正された新しいFIT法の枠組の中でさらに適正に環境面からの配慮がなされるよう国に働きかけてまいります。
また、認定にあたって問題が生じた場合には、県や市町村に環境面での意見を述べる機会が与えられ反映されるよう併せて要請してまいります。
次に、既存の設備に対して安全面に問題があった場合、規制の遡及適用を求めるとの御提案です。
いわゆるFIT法の改正により、他法令違反が判明し事業を適正に実施していない場合は、例え認定後であっても経済産業大臣が改善命令や認定の取消をできることとなりました。
今後、問題が発生している案件については、国の動きを待つだけでなく、県は市町村にも働きかけ、積極的に情報収集し、これらを国に通報し、特に安全面の問題がある悪質な事例については、認定取消を含めてその改善につなげてまいります。
最後に、メガソーラーの適地を県が指定を行うべきとの御提案でございます。
メガソーラーを含め土地の利用につきましては、利用調整を図る各種法律で規制されているところでございます。
これらの規制に加えて新たにメガソーラーの適地指定を行うことは、適地外への設置を制約することとなり、土地利用に厳しい規制を課すことになります。
メガソーラーの用地指定の創設については、十分に慎重な検討が必要であると考えております。
まずは、今般行われる電気事業法といわゆるFIT法の改正の趣旨にのっとり、現行法令の厳格な適用によって乱開発などへの対応を図っていく必要があると考えます。
これに加えて、メガソーラーが大規模施設であり周辺への影響も考えられることから、認定に当たり県や市町村の意見を聞く機会を設ける仕組について国に働きかけてまいりたいと思います。
再Q 諸井真英議員(自民)
太陽光発電施設には規制が必要というところで、環境部長のほうから縷々御答弁いただきましたけれども、答弁全体がFIT法改正は確かになされたわけでありますけれども、施行がまだ先になっております。そういうことも含めてですけれども、ちょっと国任せな姿勢というのが目につきました。
私が申し上げた中でいろいろ、もちろん法でやっていただくというのは大前提でありますけれども、県内に1万4,325件、その太陽光施設があるという御答弁がありましたけれども、現状では規制がないから、私、遡及適用というのも求めましたけれども、危険な簡素な造りの太陽光パネルというのが多く設置をされているはずであります。
今年もこの夏、台風の季節とか豪雨の季節が来るわけでありますけれども、是非ですね、その前にどれが危なくて、どれが大丈夫なのかという確認を、これは法が施行されるのを待っているとその季節が来てしまいますので、確認を是非していただきたいというふうに思っております。
実際に危ない簡素な造りのものというのが大変多くなっておりますので、全部その法任せ、法が改正されたら考えますということではなくて、県としてやれることを、まず県民の安全のためにやっていただきたいというのが一つなんです。それについての御答弁をいただきたいと思います。
再A 宍戸信敏 環境部長
市町村とも十分に連携をし、可能な限り情報収集に努めてまいります。
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