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掲載日:2019年6月26日

平成28年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(諸井真英議員)

社会福祉法人の役割と株式会社が運営する福祉施設について

Q 諸井真英議員(自民

国が保育や介護をサービス産業と位置付けたことによって、株式会社の福祉分野への参入が相次いでおります。一方で、一部マスコミ、学者による既得権益にしがみついているとか、新規参入を邪魔しているなど社会福祉法人への批判も目につきます。この既得権益は、ある程度欲が抑制されている既得権益であって、その抑制が保育の質を保つ大切な要素でありました。簡単に言えば親を叱れる、時にはアドバイスできる仕組み、親へのサービスより子供のことを優先する場面がしばしば起こり得る、そういう既得権益だったのであります。言ってみれば、祖父母の役割に似た仕掛けがそこにあったのだと思います。しかし、サービス産業にはこんなことはできせん。
3年前に自民党同僚議員有志で江東区の株式会社運営の保育園を視察した際、私はわざとこう質問しました。「私はお金がいっぱいあるからオプション料金も全て払うから24時間、365日子育てしてくれという親がいたらどうするのか」というふうに聞きましたら、答えは「料金をいただけるのならもちろん対応します」ということでした。サービス産業であれば当たり前の答えかもしれませんが、心ある保育士であれば間違いなく親を指導し、叱るはずです。でも、サービス産業はここまで行く可能性を持っているのです。親に注意や指導などできない、それで親心が育つのか、子供は健やかに育つのでしょうか。
今年2月には、川崎市の会社経営の老人ホームにおいて、施設の6階から転落させたとして元職員が逮捕された事件がありました。会社が利益を出すために少ない給料と夜勤続きの厳しい労働環境の中でストレスがたまり、日常的に虐待が行われていたことが明らかになりました。保育園での虐待、死亡事故も構図は全く同じであります。しかし、止めることができない。
全ては利益のため、経済のため、子供の未来よりも今の親のニーズに応えないと批判をされて選挙に落ちてしまう。そして、悪質な業者を排除したら、保育も介護も受入枠が減ってしまう。結果、どんな業者でも事業を続けることができる。その間、子供たち、老人たち、弱者が犠牲となる。これが今の福祉の現実であります。
そのような状況にもかかわらず、埼玉県内でも株式会社運営の利益優先の保育園が増えている現状について、このまま放置してはいけないのではないか、現場を視察し、現状を把握しているのか、知事にお伺いをいたします。
そして、以前この議場でも提案をし、昨年私が委員長を務めた少子・高齢福祉社会対策特別委員会でも規則を守らない悪質な運営者に対して罰則規定を含めた埼玉独自のルールを作るよう求め、少子政策課長が早急に考える旨の答弁をしましたが、あれから1年たっても全く何もしていないんですが、やる気があるのかないのか、やはり受入枠が減るのは困るのでそういうことをする気はないということでいいのか、課長に聞くことはできませんので、福祉部長に伺いをいたします。

A 上田清司 知事

株式会社の運営する保育所が増えている現状についてでございますが、平成12年に保育所の設置主体の制限が撤廃され、株式会社も認可保育所の設置が可能になりました。
平成27年4月1日現在、株式会社が設置している認可保育所は61か所、市町村認可による地域型保育事業所が103か所、認可外保育施設は203か所、合計367か所ございます。
株式会社による保育所の運営についても、法令に基づく基準により行われており、極端な営利主義を取ることは困難ではないかと思われます。
例えば、保育所の運営費収入について、使途が制限されており、保育所以外の事業に転用したり、配当に回すことができないことになっています。
むしろ、株式会社では、自然と触れ合うプログラムなど、より特色のある保育を展開しなければ新規参入の価値を認められないようなものがあるのではないかと思っております。
私は、川口市内の株式会社が運営する企業内保育所を視察したことがございますが、そこでは、保育士資格を持った社長が経営しており、女性社長でございましたが、明るい保育室でアットホーム的な環境のなかでの保育を進めておられ、なかなかいい感じを私は受け止めております。
問題はきちっとチェックができるかどうか、このことが一番重要ではないかと私は思います。
県並びに市町村では、保育所の適正な運営を確保するために、設置主体に関わらず、毎年度、書面または実地による指導監査を行っております。
特に、課題のある保育所や指摘事項の多い保育所に対しては、これらの問題が解消されるまで、丁寧に指導をしております。
今後とも、こうしたチェック体制により適正な保育が実施されるように努めてまいりますし、また色々な課題がでてくると思いますので、このチェック項目を常に改正していくというのでしょうか、きちっと見直していくことも重要だと思います。
諸井議員から御指摘があれば、直ちに現場に急行して、こうした問題の把握に努めてまいりたいと思っております。

A 田島 浩 福祉部長

児童福祉法では、悪質な運営を行っている保育所に対しては、改善勧告を行うことができます。
それでも改善しない場合には、児童福祉審議会の意見を聴いて、事業の停止を命じ、更に従わなければ、設置者に懲役や罰金が科せられます。
平成27年度に施行された子ども・子育て支援法では、市町村においても、悪質な保育所に対し、改善勧告や運営費の補助の打ち切りなどを行うことができ、罰金の規定もございます。
県といたしましては、これらの法律に基づき、対応してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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